#2 猫の生活

3年前からウチで飼っている飼い猫がいる。
名前はシグマ、メスのマンチカンだが足が長い。毛色はいわゆるサビ猫で、顔の真ん中を分断するように黒い模様があるのが特徴だ。

猫を飼う前、私の知る猫はSNSに流れてくるあらゆる妙な生態を持つ気まぐれな生物がそれであった。
家にあるものにイタズラしたり、飼い主の撫でる手を拒否したり、かと思えばずっと足元に擦り寄ったり……とそんな感じ。

実家では犬を飼っていたので、きっと猫はまた異なった生態だろうと思っていた。しかし、飼っていた犬もあまりに犬らしくない犬で、散歩は嫌いだし、人見知りだし、家でゴロゴロ寝てるのが好きで、変に構うと「またですか?」みたいな迷惑そうな顔をする、まるで猫のような犬だった。
だから、猫も一概に猫らしいとは限らないだろうとなんとなく思っていた。

さてシグマだ。
案の定、私のところにはおよそ猫らしくない猫がやってきた。家に帰れば真っ先に駆け寄って擦り寄り、しばらくは離れようとしない。むちゃくちゃに撫でても嫌がるどころか、むしろ満足そうな顔までする。来客があれば実家の犬より愛想が良く出迎える。しかも遊びや「構え」の催促も多いので、私は猫がこんなに人懐っこいとは思わず驚いたものである。

そんなシグマも先日で3歳。
以前、いつまでもシグマがずっと元気にはしゃぎ回るので、猫を飼っていた友人に「いつ、コイツは猫らしく日がな一日ゴロゴロするようになるのか」と聞いたら「3歳〜5歳くらいになれば落ち着くよ」と言われたことがある。

無論、その期待を裏切るのがシグマだ。

相変わらず、人がゴハンを食べてると「そんなことより猫に構え」と気を引くためにイタズラをし、おもちゃ箱を漁ってはこちらを見てくる。

とはいえ、最近は曇り空の日は大体ソファで寝てることも多くなった。

天気次第で体調に変化のある体質の人間はよくいるが(私もそう)、猫もそうなのだろうかとたまに思う。

単純な気まぐれだとしても、日々「猫とはこうである」という先入観を壊しながらも「やはり猫だな」と納得させてくる、この不思議な生き物がいるというのは、間違いなく人生の彩だと思う。

たとえ、言葉で通じ合うことがなくても、何となく気持ちを共有できる存在がいると、一人が全く苦では無いからだ。

……とか書いてるとまたシグマがイタズラし始めた。こっちの気も知らないで。
まったく、猫というのは。

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