羽佐間ペルノ
日記・エッセイシリーズ「パンとX」のまとめです。
エッセイ作品のまとめです。
オリジナル小説中心のまとめです。
実体験と妄想、幻覚、幻聴の狭間に揺れる虚構のエッセイ。ある意味で、詩。
動物の生態に関連した3つの短編小説の連作です。
「パンとX」とは何か。 それはパンセクシャルでXジェンダーの略称だ。 まるで、パンを齧りながら、ダラダラとスマホでX(旧Twitter)を眺めてるような、自堕落かつ優雅な休日の昼下がりみたいな言い回しだが、ただの私のセクシャリティである。 そういうとまるで「パンに性的興奮を抱く人」と思われそうだが、無論そこまでの特殊性癖は無い。 ……いや、個人経営のパン屋を見つけるとノータイムで入っていき1人で2000円分くらい爆買いしたやつを、冷蔵庫にぶち込んで数日に分けて食べるのは好
だから! 酒飲む前に日記を書けと!! また飲んで日記を書くハメになったぞ! なんでって、今日は新宿伊勢丹でやっていた世界のワイン展に行ったからさ!! 友達とアレコレ見ながら、生粋のワインクラスタ(ソムリエ)の話を聞いていると、欲しいワインがめちゃくちゃ増えてくるんだよー ワインは詳しくないけど、話を聞いていると本当に奥深いよな。ブドウの品種、土地、ブレンド、製造者……色んな要素が組み合わさって出来上がるワインって面白いよな。 んで、ワシャ今回はフランシス・フォード・コ
ウチの家族はデリカシーのない人が多い。 デリカシーがないと一言に言ってもさまざまだな、ウチの場合は軽率な発言が多いタイプになる。まぁ、祖父母・両親の世代と、私たちの世代で価値感が異なるのは仕方ないとしても、発言する前に「流石にこれは言い過ぎかな」とか「この子の世代には合わないかな」というブレーキがかからないことが多い。 どこの家でもありそうな「早く結婚しないと行き遅れるぞ」とか「ずっと会社勤めで結婚しないとか、お前お局になる気か」とかは、よく父から言われており、祖父もそれ
Thanks God, It's Friday!! てなわけで、金曜のハッピーな夜ってワケさ! 酒飲む前に日記書こうと思ってたけど、すっかり忘れて完全に出来上がってるんだわ! いいよな?! 日記だもんな?! 今日の晩酌はですね。 千切りキャベツパックを皿にぶちまけて、その上にいなげやのプルゴギお肉を焼いて乗せたヤツやで!!!!!! そいつをビールでグゥーーーーーーーですわ!!!!! カァーーーーーーーーーーーーッ!!!! んでね、久しぶりにコレ食べたいなと思ったので
昨晩から我が家に居候し始めたヤツがいる。 名前はハートマン、私が名付けた。 ヤツはアシダカグモだ。 昨晩いつもの日記を書いている時に、いつの間にやってきたのか、キッチンの壁の隅で飼い猫のシグマに追いやられているのを見つけた。 普段見慣れない大きなクモのシルエットに驚き「ぎょえ〜!」と叫びながら、シグマを追い払ってどうにかこのクモを外に追い出そうと画策していた。 私は虫が得意では無いが、かといってアシダカグモを追い出そうとしたのはコレが気持ち悪いからではない。我が家の肉食
週に一回は食べないと気が済まないものはないだろうか? 私の場合はパスタだ。 その理由は遡ること10年前。 大学生の頃、私は単発のものも含めていくつかのバイトを掛け持ちしており、いずれも卒業まで長く続いたものだった。 ローソンの店員、スポーツ番組のAD、歌番組のサクラ、子供向けイベントの手伝い、サッカー会場のビール売り……そしてイタリアンレストラン。 私が働いていたイタリアンレストランは、当時地元の商店街に新しくオープン予定の店だった。そこのオープニングスタッフとして募集
今日は日記じゃないです。 今の季節にピッタリな創作怪談です。 お好きな方はどうぞ先へ。 あぁ、最近多いですよね。 恐怖番組といいますか、 オカルト番組といいますか。 心霊写真の鑑定をしたり、 タレントが心霊スポットに行ったり、 いわく付きの品を見たり……そういう番組。 もうそんな季節ですか、早いですね。 ……えぇ、彼のことは確かに存じております。 昔の話ですが、彼と一緒に修行もしましたね。 ご存知でしょうが、この辺は仏教の中でも○○宗総本山のお膝元でしてね。 最近は登
タイトルの通りで、行ってきました。 何の映画で行ったと思う? ……『温泉シャーク』 そう、温泉シャークなんだ。 「オマエ、一昨日ルックバックからの温泉シャークはどうなんだ」と言いたい気持ちも分かる。 でも、温泉シャークなんだ。 しかも、観るのは2回目。 温泉シャークは公開初日に見に行き「あー、私もクラファンしてれば!」と悔し涙にくれながら「絶対、発声可能上映向きの作品だよなぁ」と思ってたので、実現して本当に良かったと思う。 んで、私の予感は的中しており、やはり発声可
昨日、父親と共にルックバックを観に行った。 特に内容やネタバレには大きく触れないが、気になる人は回れ右だ! 私が実家に住んでいた頃は、私と父の観たい映画が被ると、夕飯終わりにレイトショーでよく映画を見に出かけたモノだ。 それも、私が一人暮らしをし始めてからはなかなかそういう機会も無かったので、随分久しぶりな感覚がある。 映画館内は、珍しく10代後半〜30代前半くらいの若年層で満席。広告を大々的に打っているわけでもないのに、ここまで集客できる凄まじさに観る前から圧倒されて、
人生を豊かにするものとは何だろうか? 友人、恋人、家族など人とのつながりか。 金、名声、地位などの富だろうか。 それとも、シンプルに”愛”だろうか…… 私は”謎”こそ、人生を豊かにするものだと思う。 知らないことや分からないことは、すぐに調べて答えの出せるこの時代において、あらゆる英知を駆使しても理解の出来ない謎があることで人間の本能として備わっている”好奇心”が刺激され、活動的になり、そしてその謎に翻弄されながら新しい世界を見つけ出せる。 ”謎”こそ、自分の世界を広
「何が愛か?」という問いにはきっと無限の答えがあるに違いない。 何でもかんでも貢いでくれなきゃイヤ!という人もいるし、自分の意見を肯定してくれなきゃイヤ!というのもあるし、ただ側に居れるならそれでいいというのもあるだろう。 そういや、少し前に『オペラ座の怪人』の解釈に関して議論が起こっていたけれど、あれも複雑な愛の物語だ。 クリスティーヌとファントムには、大きな共通点として「才能はあるけど孤独」という特徴がある。 大好きな父を亡くして以降、生前約束された"音楽
今日は弟が初めての賞与で夕食をご馳走してくれた。場所はTO THE HERBSというイタリアンで、家族でよく行っていた最寄駅にある店で、行くのは実に数年ぶりだ。 今は夏季限定のウニとイクラ、イカ、カラスミの冷製パスタが提供されている時期で、夏に1度は食べたいメニューの1つだ。ちょうど食べたいと思ってた頃なので、タイミングが良い。 しかし、1つ残念なことがある。 実は家族全員大好きなメニューがあるのだが、これが数年前から内容が変わってしまったのだ。 それはフラ
3年前からウチで飼っている飼い猫がいる。 名前はシグマ、メスのマンチカンだが足が長い。毛色はいわゆるサビ猫で、顔の真ん中を分断するように黒い模様があるのが特徴だ。 猫を飼う前、私の知る猫はSNSに流れてくるあらゆる妙な生態を持つ気まぐれな生物がそれであった。 家にあるものにイタズラしたり、飼い主の撫でる手を拒否したり、かと思えばずっと足元に擦り寄ったり……とそんな感じ。 実家では犬を飼っていたので、きっと猫はまた異なった生態だろうと思っていた。しかし、飼っていた犬もあまり
再生、ブラウザバック、再生、ブラウザバック、再生、ブラウザバック…… 先程からパソコンに向かい、YouTube上でこれをずっと繰り返しているが、私としては真剣そのものである。日々聞いている音楽にそろそろ飽きを感じて、新しい音楽を探しているのだ。実家の棚にあった母親のサザンオールスターズのすいかボックスはすっかり聞きつくして、もはや私のものになっている。高校の図書館から借りたQUEENのベスト盤や、友人から借りたthe pillowsのアルバムも、たった6GBしかないiPo
ドヴォルザークのチェロ協奏曲 ロ短調 作品104は過去に何度も演奏したことのある曲ではあるが、自分がメインでやるのは初めてのことだ。この日、何度目かの練習を終えて帰ろうとする間際、指揮者のペトルが私を呼び止めた。呼び止められる理由に心当たりが無いわけではない。メインとして、今の自分は十分な働きが出来ていない。 国営放送後援の交響楽団に入団してから一年。そこからチェロのメインパートを任されるのは四十代を前にして異例の早さであり、自分のこれまでの実績に期待あっての任命であるこ
蒸し暑い空気が、アパートの六畳一間に満ちる。シダの葉のような模様を描く黒カビだらけの壁の向こうから、住人同士の怒鳴り合う声がかすかに聞こえる。時計を見ると、もうすぐ五時だ。かれこれ一時間くらいお隣さんは喧嘩している。 パチン 八月のど真ん中に似つかわしくない雪の結晶があしらわれた、いかにも昭和らしいすりガラスの窓。そこに、先程から急に降り始めた雨が当たり続けている。僕は、早くこの時間が終わらないだろうかと、雨の音を聞きながら思うばかりだ。 パチン 僕のよそ見に気づい