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小説まとめ

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オリジナル小説中心のまとめです。
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記事一覧

#24 反重力のおじさん

朝の散歩に出かけたら、 反重力のおじさんを見た。 反重力のおじさんは、ある日を境に重力に…

羽佐間ペルノ
3か月前
2

Twitter三題噺「溶かしバター・譜面台・眼精疲労」

 ドヴォルザークのチェロ協奏曲 ロ短調 作品104は過去に何度も演奏したことのある曲ではあ…

羽佐間ペルノ
5か月前
2

Twitter三題噺「三半規管・爪切り・夕立」

 蒸し暑い空気が、アパートの六畳一間に満ちる。シダの葉のような模様を描く黒カビだらけの壁…

羽佐間ペルノ
5か月前

アンドウという男

 私が安藤に初めて会ったのは、二十二歳の頃の夢の中だった。そう話すと、ほらその顔だ。夢の…

羽佐間ペルノ
5か月前
2

創作落語台本「最期の鯛」

・あらすじ  戦国時代、都のある京よりほど近いとある一帯を治めている将軍・淀永春康は、彼…

羽佐間ペルノ
5か月前
2

うさぎ

 先程まで公園のベンチでうたた寝をしていたはずなのに、目を覚ますとプラチナを砕いたような…

羽佐間ペルノ
5か月前

とあるパン屋の言うことには

 新鮮な小麦、産みたての卵、出来たてのバターに、決して潰えないかまどの炎。そこで生まれたパン達が、この街に暮らす人々の腹と心を満たしていくのを、キミは知っているだろうか。  フレビーチェクを2つ買ったのは、お城に住まう錬金術師。チーズとハムのものと、トマトと卵のもの。急いで食べて、すぐに出ていく。大きくて黒いマントは、いつも店の床のパン粉を拾っていく綺麗好き。手に持った籠には、きっと黄金を生み出すための物があるのだろうと覗きこめば、きっとガラクタだらけ。  でも、そんなモノか

アダム・ジシュカの霞の本

 これは、現在のチェコ共和国の首都プラハにて、14世紀に書かれた2人の男の手記と、またそ…

羽佐間ペルノ
5か月前

ナスタジオ・デリ・オネスティと神経毒の花

※グロ描写があります。ご注意ください。  朧げな意識がゆっくりと浮上する。目をそっと開く…

羽佐間ペルノ
5か月前
8

星見の塔で聞いた旅行話

 ある夜、星見の塔にいた青年が目を見開くと、そこには風来坊の男がいた。  青年は天文学者…

羽佐間ペルノ
5か月前
3

プラハ奇談2017

 最初に言わなければならないが、誓って私は生まれてこの方ドラッグに手を出したことは無い。…

羽佐間ペルノ
5か月前

プラハ奇談2016

Prologue 「ここには私1人で住んでいるの。 奇遇にも今夜は私とあなたの2人きり。 お皿の上で…

羽佐間ペルノ
5か月前

パイナップル絶滅大作戦

 もし、自分が仕事も立ち行かなくなり、恋人や配偶者にひどいフラれ方をされ、友人には裏切ら…

羽佐間ペルノ
5か月前
1

再会

※捉えようによってはグロく感じる部分がありますのでご注意ください。   空耳かと疑うくらいの年月が流れたことを、あの聞きなれた足音が知らせた。ドアが開けられる。見慣れた彼の顔だ。 「ただいま」 「おかえりなさい」  想像以上に静かな対面。彼は一つもバツの悪そうな顔を見せないが、手が震えているのは見ないでも分かった。言葉に窮した彼が、手に下げた紙袋を私に手渡す。 「これ……」  私はそれを受け取る。中身を覗くと、私が好きだったケーキ屋さんの箱が見えた。 「何年前のことだか……