[シン・ニホン]この国の命運は”若者”に委ねられた〜次世代に誇れるようなバトンをつなげ〜

※この記事は約3800字です。


「若さは才能であり、1日1日と目減りしていくリソースと考えるべきだ。」
(P161)



どうも、ヒロです。


お待たせしました。
本日は「シン・ニホン」(2020/02/20 第1刷発行)のまとめ&考察記事です。


結論

日本はもう一度海外諸国と肩を並べて戦える。

はじめに

さて、今回は名著と呼べるこの本に恥じぬ記事を作ろうという思いで、いつもより気合が入っております。


ちなみに、この本の内容は著者:安宅和人さんが以前から様々な場所で講演されていたものをまとめたもの。
よって、既知の方からすれば確認のような本になるのかもしれません。


安宅和人(あたか かずと)

1968年富山県生まれ。

ヤフー株式会社CSO(最高戦略責任者)。
データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長。

東京大学大学院生物化学専攻修士課程終了。

その後マッキンゼーに入社し、4年半の勤務をしてイェール大学脳神経科学プログラムに入学し、平均7年弱かかるところ3年9ヶ月で学位(Ph.D)取得。

世界的メンバーの一員として商品・事業開発、ブランド再生に関わったり、慶應義塾大学で教鞭をとったり、著書には「イシューからはじめよ」があったりとその活動は非常に多岐に渡る。

「シン・ニホン」は”全社横断的な戦略課題の解決”というスタイルが色濃く反映された、完成度の高い1冊となっている。



ヒロはというと、勉強不足により日本の現状を全然知りませんでした。

頭をハンマーで殴られるようなとはよく言ったもので。
目を覚まさせてくれるような、そんな本です。


何となくお察しの通り、日本の現状は悲惨です。
世界の流れから取り残されています。

しかし、ただ悲観することは誰にでもできます。


「単なる悲観論、それは逃げだ。」
(P2)


「本当に未来を変えるべきと思うなら、なぜもっと現実に向かい合い、建設的(Constructive)な取り組みやイニシアチブ(積極的な取り組み)を仕掛けないのか。」(同P2)


「はじめに」には安宅さんの強い思いが記されています。


私のような大学生や、もちろん高校生、何なら中学生に特に読んでいただきたい内容です。

勉強は確かに必須。

ですが広い視野を得ることは、問題を解くという手段を取らないだけで、同じ”思考力トレーニング”であると考えます。


安宅さんの思いを少しでもあなたに伝えられたら。
そしてあなたの心に火を灯すことができれば。

少しずつですが、この国の未来は変わってゆけるのでしょう。


第1章 想像を凌駕するスピードで

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指数関数的変化

現在の世の中が劇的に変わっていくことを、多くの方が身を以て体感していることでしょう。

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ほんの12年前には、スマホはありませんでした。

そして深層学習は実装されてわずか4年で囲碁のトッププロ(イ・セドルやカ・ケツ)でも敵わないレベルに到達しました。


「現在不可能なことの多くは5年後、10年後には可能になる。(P26)

機械にできる作業の範囲は想像以上のスピードで広範に、そしてハイクオリティになってきています。


では、我々が次世代の日本を切り開くのに必要なものは、、?
キカイに存在意義を奪われない道は、、?


安宅さんの答えはシンプルに1行で示されます。

「未来=夢×技術×デザイン」だ。(P59)


これまでと圧倒的に差別化がみられるのは”夢”です。


多くの本でも同じように語られることに、”質的差異”があります。

人と異なる自分だけの強みを見つけ、価値を作るという生き方が、一部の世界においてですが常識になりつつあるのです。


「『未来を変えている感』が企業価値になり、これをテコに投資し、最終的に付加価値、利益につながるという真逆の流れになった。」(P55)


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(ちなみに比較するとよく分かる。)

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(こちらは工業、オイル系にIT系が加わる形で上位にいます。19年で世界を席巻する企業は様変わりしました。)


もうすぐ、5Gが当たり前になります。

私たちは今、生活を一変させるような技術革新が急激に進む”稀な時代”に生きていることを自覚しなければなりません。


第2章 イノベーター

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そこで必要になってくるのは、必ず若者の力です。
なぜなら、若さは才能であり、可能性の塊だからです。

ジョブズは21歳でウォズニアック(25歳)とアップルを、
ラリー・ペイジとセルゲイ・プリンは共に25歳でグーグルを創業しました。

世の中を本質的に刷新したと言える人たちを俯瞰してわかるのは、驚くほど若い人が多く、30代前半までに挑戦が集中しているということだ。(p161)


しかし、日本は理工学系の学生が非常に少ないという現状があります。その割合は、医・薬学部を除き約2割。(お隣・韓国では2/3の大学生が理工学系)


この情報社会で生き抜くためには、理数系の教養は必須。

必要な若者が十分な人数育たないため、不足が深刻なのです。


「OECDの某局長と何時間か議論した際には、大きな経済国かつ出資国である日本人スタッフをもっととりたいが、適格(eligible)な人が見つからなくて採れないと直接言われた。」(p 249)

そしてこの”世界との差”は人材だけに留まりません。


第3章 突きつけられる”差”

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「海外のインターネット、データ×AI系の企業においてはCTOはPhDなのが普通だが、日本ではまだ例外的だ。」(p 249)


「日本には博士課程まで学んでも職がない」

これはかなり異常な事態だと言われます。


さらにこんな話を聞いたことも。

アメリカでは学位によって給与が明確に区分されている、だから学生は借金してまで学位を取ろうとする。


加えて、日本では給付型奨学金制度が世界に比べてまだまだだそうで、有能な人材はどんどんと海外に行く&引き抜かれていきます。

「米国の研究大学プログラムの場合、基本学費も生活費、医療保険も大学側からサポートしてもらえることが当然であり、経済的な理由で進学を諦める必要はない。」
「実は世界の主要国でPhD取得に明示的にまとまったお金が必要な国は日本しかない。」
(p282)


社会保障費に大量の税金が投入される一方で、研究費は削られるという”おかしなこと”が当然の如く行われています。

若い芽が、高齢者の犠牲になっていると言わざるを得ません。


”ローマの剣”と呼ばれる常勝将軍マルケルスは言います。

「老人を生かさんがために、若者を犠牲にするような国に未来はない」
(P321)


さらに、筆者は米国のパーティーで友人にこう言われた、と。

「日本は『G7で初めて引退(retire)した国になった』と言われはじめている」
(P320)


現状の想像以上の深刻さに衝撃を受けた方は多いでしょう。

しかし、安宅さんは希望の光もしっかりと詳細に記してくれています。


第4章 力を合わせる

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希望の光。

それは”不揃いの良さ”という考えです。

上の写真は「薬師寺」。

「薬師寺の東塔に入ったら、ほんま、不揃いな木ばっかりだ。
それでも力強いんだな。
あれも不揃いの良さや。
外側はちゃんと整っているが、裏では不揃いが総持ちで支えているっていうのは、やはり最高のものだろうな。」

(p135)

第3章では、あたかも若さが正義のような主張を並べました。

しかし実際は、その支えとなる熟練者の手が欠かせません。

のちのソニーとなる東京通信工業は1946年、終戦後の荒廃の中、井深大、森田昭夫の30代、20代の青年2人によって立ち上げられたが、この2人を元宮内庁長官、元文科大臣などの大物シニア層が支えたことは知る人ぞ知る事実だ。
(p134)


現在、定年という制度のせいで能力に限らずシニア層が社会から線を引かれる状況にあります。

本書での例えは”伐採”。

これでは年齢の不揃いによる多様性が無くなってしまいます。


豊かな森の条件の1つは、多種多様であることです。

若い、ピシッとした綺麗めの木もある。
一方、年月を経て、味わい深くなった優しい木もある。

このような森では様々な”化学反応”が起き、今にも新たな生命が誕生しそうです。


定年を無くせば今まで通り働いて生計も立てられる。

そうすれば社会保険料を”生み出す側”になることができる。


ほんの数%の予算を研究開発費に回すだけでいい。


沈みゆく日本を変える。

新たにこの国に生まれる命に、誇れる国を引き渡したいと強く思ったのです。

おわりに


以上でほぼおしまいになります、、!

まとめきれず、本書の魅力を皆さんにほとんど伝えることができなかったかもしれません。

ただ、少しでも読みやすくなるよう今までより章ごとの繋がりを意識して書きました。

全体の流れを汲んでいただけるとより理解していただけると思います。


若手とシニアの共生。

言われてみれば当然ですが、どちらに偏っても良くないわけです。


若手の皆さん。

日本を見捨てるのはまだ早いです。


シニアの皆さん。

未熟で経験の浅い私たちを支えてください。


手を取り合うことなしに、この国が立ち直ることは不可能なのです。


[参考サイト]

1 https://programming-edu.jp/draw-exponential-function-with-python

2 https://narashikanko.or.jp/event/1300年の歴史を体感%E3%80%82国宝-薬師寺東塔大修理-東塔内/

[まとめのーと]

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[おすすめ本-次の1冊]

こちらの本も、未来について知見を広げてくれるようです。(ヒロは近日中に買いたい。)


[頑張って書いた記事!]




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