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セルフコンパッションのやり方【解決できる悩みと3つの大原則】

「リケジョのコンディショニングコラム 010」


このコラムは東工大出身のリケジョ、製薬会社勤務を経て現在はヨガインストラクター、そして1歳児の母であるEriが、科学の視点も踏まえて、ベストパフォーマンスを発揮するためのヒントをお伝えしていきます。

今月のテーマは、「セルフコンパッション

「ポジティブ思考」や「自信」「自尊心」より、「セルフコンパッション」の方が、成功やパフォーマンス向上に繋がるのでは?なんていう意見もあるほど。

「セルフコンパッションとはなんぞや?」という基礎的な知識から、実践的なやり方まで、ご紹介します!

セルフコンパッションとは?

コンパッションを直訳すると”思いやり”や”慈しみ”となります。

つまり、セルフコンパッションとは、他者を思いやるのと同じように、自分自身を大切にし、思いやりの心を持つことを意味します。

セルフコンパッションを高めると、解決すること

セルフコンパッションに関する研究を踏まえて、役に立つ場面や解決できる悩みを具体的に考えてみます。

セルフコンパッションで解決できること3つ


①失敗して落ち込んでいる時

失敗をした時、大なり小なり落ち込んでしまいますよね?

落ち込んだまま立ち直れない人と、立ち直って失敗から成長する人の違いを決めるのが、セルフコンパッションだと言われています。

カルフォルニア大学の研究によると、例えば、失言をしてしまい、そのことを後悔している時に

・セルフコンパッションで対処した人は、同じような発言をしない傾向にある
・ポジティブ思考で対処した人は、懲りずに失言を繰り返す傾向にある

(1)

ということがわかったそうです。

セルフコンパッションで対処するというのは、「自分に優しくする」ということ。

友達が同じ失言をしてしまった時に、自分ならどう声をかけるか?と想像し、その言葉を自分にかけてあげる感じです。

一方、ポジティブ思考で対処するというのは、「自分が思っているほど、深刻な失言ではない」「きっと相手はそこまで気にしてないから大丈夫」など、状況をポジティブに捉えることです。

「ポジティブなのは良いこと」というイメージがありますが、行き過ぎてしまうと事実を歪めて捉えてしまうリスクもあるので、注意が必要ですね。

②仕事を先延ばしにしてしまう時

仕事を先延ばしにしてしまうのは、「怠け」や「やる気」が関係しそうですが、750人を対象に行った研究(2)によると、「セルフコンパッションが低い」というのも一因であると示されています。

セルフコンパッションが低いと、

  1. 仕事を先延ばしにする

  2. 自分を責める

  3. 自己批判の思考が頭を離れなくなる

  4. やらなくてはいけない事に集中できない

  5. さらに先延ばしにする

という負のループにハマってしまうのだとか。個人的にすごく思い当たりがあります…。

これを打開する方法としては、

・自分のミスを必要以上に責めない。
・ミスをした友達を励ますように、自分を励ます。
・「先延ばし」をするのは自分だけでなく、多くの人によくある現象だと認識する。

(2)

ということが挙げられ、これがまさにセルフコンパッションです。

③完璧主義・自己嫌悪から抜け出せない時

完璧主義の人は自己嫌悪に陥りやすく、ストレスを溜めやすいと言われています。ある研究では、完璧主義の人は自殺率まで高い(3)とか。

では、完璧主義によるストレスを軽減する方法はないのでしょうか?

オーストラリア カソリック大学の完璧主義の人を対象にした研究によると、自尊心やメンタルの強さを差し置いて、セルフコンパッションが最もストレスを軽減するのに有効だった(4)ということです。

「失敗して落ち込んだ時」と同様に、自分に優しく接することで、自己嫌悪によるストレスを緩和することができるのですね。

セルフコンパッションの大原則3つ

セルフコンパッションの3つの大原則

セルフコンパッションを高めるには、3つの大原則があります。

この原則を知っているだけで、いろんな場面で応用できるので、ぜひ頭の片隅に入れておいてほしい原則です。

①他者にかける言葉を自分に(self-kindness)

これまでにもご紹介してきましたが、セルフコンパッションの根幹をなすのが、「自分に優しくする」ということです。

「他者にかける言葉を自分にかけよう」とすると、意外と難しいものなので、

自分が尊敬している人や好きなキャラクター、もしくは架空の人物を想像して、「その人だったら今の自分になんて声をかけて励ますかな?」と想像する方法がオススメです。

②他者も自分と同じ(common humanity)

「先延ばし癖」の解決策で出てきた

「先延ばし」をするのは自分だけでなく、多くの人によくある現象だと認識する。

というのが、まさにこの項目です。

「他の人は出来るのに何故、自分だけ出来ないのだろう…」と感じたり、「自分だけが苦しんでいる」と被害者意識に掻き立てられたりすると、余計に苦しくなるものです。

自分と全く同じ悩みを抱えている人がいる」「誰もが苦しい時期を経験する」ということを意識すると、苦しみから解放されていきます。

③ありのままを受け入れる(mindfulness)

自分の感情に蓋をしてしまった経験はないでしょうか?3つ目の原則は、これを止めることです。

自分の感情に蓋をしてしまうと、いつまでも消化出来ず、脳を少しずつ蝕み続けます。

その結果、慢性的なストレスになったり、物事を先送りしやすくなったりする訳ですね。

自分の感情をありのまま受け入れること、過大評価したり過小評価することなく、「そこにある事実」として物事をありのままに受け取ります。

セルフコンパッションがオススメの理由

"ありのままに受け取る"という点において、前述したように、ポジティブ思考を突き詰めすぎると"曲解する"というリスクが付きまといます。

また、「自信を持ちなさい」というアドバイスもよく聞きますが、そのメリット・デメリットを明らかにした研究(5)によると、

【自信がある人のメリット】
・自分のことを成功者だと思いやすいので幸福感が高い。
【自信がある人のデメリット】
・仕事の能力が高くなるわけではない。
・リーダーシップが高くなるわけではない。
・長期的に見ると、嫌われやすい。

(5)

という結果が示されており、自尊心もメリットばかりではないことがわかります。

一方のセルフコンパッションは、デメリットが少ないのが特徴です。

自己批判が減ることで、メンタルが安定し、実行力や幸福感が高まる、非の打ち所がないツールと言えるのです。

このような理由で、個人的にはセルフコンパッションが最近、興味のあるテーマなんですが、興味を持って頂けたでしょうか?

落ち込みやすい人、先延ばし癖がある人、完璧主義の人、慢性的なストレスに悩んでいる人に、特にオススメです。

参考

(1)Zhang JW., et al, Pers Soc Psychol Bull, 2016 Feb;42(2):244-58.
(2)Sirois FM., et al, Self and Identity, 2012 Jan;24:128-145
(3)Blatt SJ., et al, Am Psychol, 1995 Dec;50(12):1003-20.
(4)Ferrari M., et al, PLoS One, 2018 Feb 21;13(2):e0192022.
(5)Baumeister RF., et al, Psychol Sci Public Interest. 2003 May;4(1):1-44.


<この記事を書いた人>

ととのえサポーター
ヨガインストラクター
尾賀 絵里

ととのえでは働く皆さんの「身・心・場」をととのえ、パフォーマンスを上げて社員のQOLと業績向上を同時に目指す様々な商品、サービスをご提案しております。
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