それから数か月したある日の事、妹が部屋に来て言いました。
「ねぇねぇちょっと聞いてよ。怖いことがあったんだよね」
うわぁ出た!またトイレに行けなくなるから聞きたくないけど、怖い話は好きなので聞きます。
以下は妹の話。
登場人物は妹、妹の友人A子、その彼氏B。A子とBはともに霊感が強く、いわゆる見える人らしい。
「ちょっと待った!ひょとして公園の前の新しい道路を通って橋に行ったりしてないよな」と僕が話を遮りました。
「えっ!なんかあったの?ちょっといやだ・・・あの新しい橋?」
「やっぱりあの橋か?」
なんだかこれだけで滅茶苦茶怖くなってしまい、聞くのをやめようかとも思ったのですが、もやもやが残るのも嫌だし、橋を越えてどっかに行ってからの話かもしれないで、鳥肌を立てまくりながら続きを促しました。
「いや、俺あの橋は渡ってないんだわ」
「そうなの?」
「それで?」
「何か見たか出たかした?」
「お前は何にも見えなかったの?」
「全然、外真っ暗だし前はヘッドライトで明るいけど、ただの道路だし。でさ、まだ続きがあんのよ」
「それ聞いて何も見えないけどビビりまくっちゃってさぁ。しばらく店にいたんだけど、4時前になって外が少し明るくなってきたのね」
「お、おう」
その後も特に何かあったわけでもありませんし、今になるまでそのあたりでの怪談話を聞いたことはありません。
それだけに僕と妹が別々のタイミングで、同じ場所で奇妙な体験をして、片方は同じ場所で二人が同時に恐怖感を覚えて、もう片方は信じる信じないは別として、自称見えるという二人が同じものを見ていて、霊的な現象が起きていると言っています。
あれからあの橋を通った事はありません。
おしまい