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南無阿弥陀仏

今日は怪談を・・・
これは僕の妹が体験した話です。

最初に補足説明として、当時の僕は社会人にもかかわらず、寝るのがとにかく遅く、ゲームをやり込んで、平日は2時過ぎに寝ていました。その癖寝つきが悪く、寝ている時に起こされると非常に不機嫌になるという、嫌な奴でした(今は寝つきも寝起きもいいのに)

さて、その日妹は彼氏とドライブをしていて、22時頃家から車で20分ぐらいのところにある海岸の駐車場に車を停めて、話をしていたそうです。そこは僕も昼となく夜となく何回も行ったことがあるところです。
海岸といっても、広い砂浜があり、さらには鬱蒼とした防風林の松林があり、駐車場からは海が見えるわけではありません。
駐車場からすぐ防風林になっており、真っ暗ですが一個だけ松林の中に薄暗い街灯がありました。

話をしながら、風が強いなと妹は思ったそうです。なぜなら、街灯が松の枝で隠れたり出たりしているのが見えていたからだそうです。
そのうち彼氏が「ねぇ、あれってさ・・・人魂だよね・・・」と前を指さすので、つまらない冗談だと思い「街灯だよ」と答えたそうです。
すると彼氏が「街灯あんな高いところにあるわけないじゃん」と。
よく見ると、松林のはるか上の方にぼんやりとした丸い光があり、しかも左右に大きく動いているのが見えたそうです。
二人で息を呑んで目を凝らしていると、スーッと車に向かって飛んできて、マズイと思った時には上を越えて行ったのかフロントガラスからは見えなくなったそうです。
慌てて後ろを見ましたが、後ろの窓からは何も見えず・・・

「帰ろうか」と言った時、突然屋根がバコン!ベコン!と大きな音を立て始めたそうです。誰かが乗ってる!!!
慌てて車を走らせ、人家もまばらな寂しい道を走って、ようやく家の近くのコンビニへ。
明るく人のいるところで二人で降りて屋根を確認したそうですが、特に足跡などは着いてなかったそうです。

そこからすぐの家まで送ってもらった妹は、すっかり怖くなってしまい、今日は兄貴の部屋に布団を持って行って寝かせてもらおうと考えていたそうです。
階段を上って二階に行くと・・・なんと僕の部屋の電気が消えている。夏でドアは開けっ放しにしているので、中を覗くとガーガー寝ていたそうです。
どんな事があっても日付が変わる前に寝る事が無い僕が、その日に限って22時30分ぐらいには寝ていたようです。
うわぁ、ここで起こすと怒られそうだなぁ・・・そう思った妹は、仕方なく隣の自分の部屋へ。
もう怖いのでシャワーも明日の朝でいいやと、そのままベッドへ入って電気を消して、怖いのでタオルケットを頭被ったその瞬間!

ガッ!とタオルケットの上からすごい力で顔を押さえつけられ、息ができなくなったそうです。明らかに大人の大きな片手。
そして、同時に金縛りで声も出せないし、身体も動かせない状態に。
あっ、さっき何か連れてきてしまったんだ・・・そう思いながら、このままでは息ができなくて死んでしまうとパニックになり、とりあえずお経、お経、お経・・・出てこない!
咄嗟に頭の中で南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と繰り返したそうです。

すると耳元で「フッ!南無阿弥陀仏ってほどの者でも無いんですがね・・・」とあざけ笑うような口調で男の声が聞こえ・・・気を失ったのか気が付くと朝になっていたそうです。

ビビリの僕はこの話を聞かされて、怖いものだからなんとか気のせいだった事にしたく、金縛りは寝入りばなに起きる事が多いから、夢だったんだよと言いましたが、横になって電気を消してタオルケットを被る5秒の間に寝ねぇよ!と瞬殺されました。

その後は霊が再び現れたり、家に居つくなんて事もなく、この話はそれっきりで終わりました。霊も何がしたかったんでしょうね。




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