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狂騒のGW

こんにちは。

ゴールデンウィークも終わり、日常が戻ってきました。今回はまさかの10連休でした。ぼくはうち7日間を単身地元で過ごすという妻帯者にあるまじきバケーションぶり。観月ありさよろしく「楽しいな」の一言に尽きます。

基本的には麻雀・映画・アニメ・睡眠・飲酒という普段の休日と同じ過ごし方ですが「実家」という環境の変化で充実感は当者比4倍は上振れしていました。そこに懇親や競艇というイベントも加わり華のあるバケーションぶり。志村けんよろしく「楽しいな」の一言に尽きます。

ただ帰りの電車で事件が…


2022年05月07日
実家での休暇を終え電車で一途千葉の自宅に向かっているときのこと。特急電車を降り、地下鉄に乗り換えるために駅のホームを歩いていると後ろからいやな視線を感じたんです。

じとぉ~・・・

なんとも陰湿な視線。うなじの部分がねっちょり湿るような不快な気持ちになりました。でも駅のホームだしいろんな人がいるし気にしていても仕方ないよな。そんなことを考えながら昇りエスカレーターに乗った直後でした。

カシャ!

え!?耳を疑いました。後方からシャッター音が聞こえたんです。

「これってもしかして盗撮…!?」

ぼくが後ろを振り返るタイミングで横を追い越していく人影。そして後ろには誰もいません。ってことは今エスカレーターを駆け上がっているあいつがシャッターを切った盗撮犯に違いない!ぼくは意を決してそいつを追いかけました。

「ちょっと待て~!誰か!あの人盗撮犯です!捕まえてください!」

周囲の人たちもぼくの声に気付きその人を一緒に追いかけてくれました。

「待ちなさ~い!」

逃げる犯人を追いかけるぼくと屈強な10人の男たち。しかしどうして、なかなかスピードが伸びず距離も縮まらない。すると近くにいたおじさんがぼくに話しかけてきました。

「わたしも追いかけます!あの人を追えばいいんですね!」

するとそのおじさんは犯人めがけて一目散に走り出し、みるみる距離を詰めます。いいぞ!これで犯人逮捕だ!と歓喜した次の瞬間。

「きゃう~!」

おじさんは犯人の背中に飛び掛かりましたが躱されてしまったのです。おじさん!ぼくは心の中で叫びました。おじさんは転倒のダメージでその場にうずくまり動かなくなってしまいました。

「待ちなさ~い!はぁはぁ…」

我々11人と犯人のスタミナ。どちらが最後まで保つのか…我慢比べの展開となるなか、ぼくに追随してくれている屈強な男たちもスタミナ切れによりひとり、またひとりとリタイアしていきます。

「がんばれ!」「がんばれ!」「がんばれ!」「がんばれ!」「がんばれ!」

倒れてなおぼくの背中に声援を送ってくれる屈強な男たち。ありがとう!ぼくは心の中でお礼を言って犯人を一心不乱に追いかけます。屈強な男たちはぼくを除いて残り5人。ぼくのスタミナも限界が近づいてきました。

「みんな!あれをやるしかない!」

ひとりの屈強な男が声を上げぼくの前を走り始めます。そして彼を先頭に残りの4人が2人ずつ左右に展開して一種のフォーメーションのような態勢になりました。

「こ、これは…!?」

屈強な男たちはぼくのスタミナを温存するため渡り鳥のV字飛行のように風除けになってくれたのです。名前も知らないぼくのために…!涙で前がゆがんでくる気がします。みんなありがとう!心の中で何度も泣き叫びました。

「なんて楽に走れるんだ!」

ぼくらのスピードはどんどん上がります。それもそのはず。屈強な男たちは自分たちの最後の走りと言わんばかりに全力疾走。犯人との距離も10mほど空いていたのに今では3mほどに縮まりました。すごい!すごいスピードだ!

「いっけぇぇぇぇぇ!」

犯人との距離2m!左右の屈強な男が2人リタイアしてなお距離はどんどん詰まっていきます。

「ラストスパートだ!」「かませよ!」

犯人との距離1m!先頭の屈強な男の脇を固めていた2人の屈強な男も続け様に倒れ込む中犯人との距離はまた縮まります。

「俺たちの分もたのむぞ!」「がんばれよ!」

そしてとうとう犯人と並走!ぼくの前を走っていた屈強な男もとうとう倒れてしまいました。

「君ならできるぞ!」

みんなありがとう!ぼく絶対に成し遂げるよ!そんな気持ちでいっぱいになりました。そして…

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

そしてぼくはとうとう犯人を追い抜きました!やった!やったんだ!ゴールテープはないけれどぼくらの心に大きく太くきれいな虹がかかったような気がします。みんな、ぼくやったよ!優勝だ!そして、

「確保!!」

犯人を抜いた感動も束の間、ぼくは振り向きざま犯人に向かって飛び掛かりました。盗撮犯を自らの手で捕らえた瞬間です。

「こら!盗撮しただろ!スマホを見せなさい!」

ぼくは毅然とした態度で犯人の手に握られていたスマホを奪い取ると写真フォルダを確認しました。するとそこにはエスカレーターを昇っているぼくのパンチラ写真が紛れもなく激写されていたのです!絶対に許せません!

「駅員さん!駅員さん!」

ぼくは犯人の身柄を引き渡そうと大声で駅員さんを呼びます。しかしこの時、実はとても恐ろしい出来事が起こっていたのです。そう、ぼくは犯人を追うのに夢中になり過ぎてとっくに駅から出て随分と遠くまで爆走していたのです。もちろん周囲に駅員さんなどいるはずありません。

「くそぉ!これじゃあ誰がこいつを捕まえてくれるってんだよ!」

悲しみと悔しさに苛まれるぼく。すると後ろから見覚えのある人影が近付いて来ているのが見えました。

「おじさん!!!」

そう、それは序盤に犯人に飛び掛かったおじさんでした。おじさんは実はぼくが盗撮された駅の駅員さんだったのです。ぼくはおじさんに事情を説明して犯人の身柄を引き渡しました。

あとから聞いた話ですが、あの犯人はぼくのようなミニスカートを履いた男性のパンチラを専門で狙っている常習犯だったそうです。


世の中というのは善良な一般市民がいつどんな危険に晒されるか全く予想ができない恐ろしいところです。自分は大丈夫、自分は関係ない。そんな風に考えず明日は我が身だと気を引き締めて過ごしていかなければと身に染みました。

みなさんもお気をつけて平穏な日々を。


画像は草です。

では~。

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