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若き俊英たちの共演!〜東響名曲全集 第165回〜

3月13日、約1年半ぶりに川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールを訪れた。
今回はホールと、川崎市フランチャイズオーケストラである東京交響楽団の主催で行われる"名曲全集"シリーズの第165回。
なんと言っても今回の目玉(主役)は、指揮を務めたカーチュン・ウォンと、ソリストのピアニスト 藤田真央の2人。

カーチュン・ウォンはシンガポール出身で、現在はニュルンベルク交響楽団の首席指揮者を務め、日本のオーケストラにも頻繁に客演している今引っ張りだこの若手指揮者。
藤田真央は、2019年のチャイコフスキー国際コンクールで第2位に選ばれた実力派のピアニストであり、これを機に活躍の幅を大きく広げている。
そんな、注目の2人が出演するとのことで、何としても駆けつけたかった。
当初は別の指揮者の出演が予定されていたが、入国規制措置により来日出来なくなり、代役としてカーチュンに白羽の矢が立った。

チケットは完売。1席空けずに100%の収容で開催され、数席の空席があった以外はほぼ満席。藤田真央効果もあって女性層が多め。

溶け込んでいくような音色

ウェーバー:オイリアンテ序曲からオケの鳴りが良い充実感溢れる演奏。
藤田真央がソリストのモーツァルトPf協奏曲24番、しっとりした曲調の中に粒立ちの良い音色がクリアに響き、真央くんが音楽に溶け込んでいくような表現。聴衆もとろけそうになるくらいにその世界観に引き込まれる…
藤田真央の凄さには圧巻…!
舞台袖からふわふわ出てくるのに、ピアノの前に座ると何かが乗り移ったかのようにビシッと弾きこなす。これこそ、逸材というか天才というのか…!
実演を聴きたい!と思っていながらも、コロナ禍になってしまい聴けずにいたのがようやく実演に立ち会え、その凄さを目の当たりにできた。

カーチュン&東響の一体感を感じた北欧の名曲

休憩を挟み、後半は北欧フィンランドの作曲家シベリウスの交響曲第2番。季節が冬から春へと移り変わるまさに今の時期によく合う情熱的な快演!カーチュンの細かな指示とそれに応える東響との一体感。
弦のたっぷりとした響きを軸に、高らかに響く金管の音色、細かなパッセージが煌びやかな木管の音色など全体として雄大な流れを作り出した名演。第4楽章のクライマックスは思わず鳥肌が立つほど!

天才的な才能と感性を持ち合わせた2人

今回の主役、カーチュンと藤田真央の2人の若い俊英達。どちらも天才的な才能と感性を持ち合わせていることを実演を聞いて改めて実感。
前回、読売日本交響楽団と2人の共演時、チケットが取れず後悔したことがあったものの、今回の共演に立ち会えたことでリベンジを果たせた。
客席が1列目から埋まり、コロナ禍以後久々に満席のミューザでの響きを体感できたのも嬉しかった!やはり音響が素晴らしいホール。

カーチュン・ウォンはコロナ禍で引っ張りだこで、今後も客演の予定が詰まっている。今月は既に上旬に日本フィルと、中旬に今回の東京交響楽団との公演を終え、下旬に兵庫芸術文化センター管弦楽団に客演。来月は読売日本交響楽団に代役で客演が予定されている。
さらに今後は9月に神奈川フィル、仙台フィルに登場予定で、この2公演は是非足を運びたいと考えている。
コロナ禍での代役が多めだが、これを機にたくさんの聴衆に彼の魅力が広まり認知度をもっと高めてほしいと願うばかり。

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