トーリー

クラシック音楽、本について書きます。 コンサート備忘録も。

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最近の記事

天才音楽家・山本直純に想いを馳せる夏〜生誕90年&没後20年に寄せて〜

"山本直純(やまもと・なおずみ)"という人を思い浮かべることのできる方はどれくらいいるだろうか。実際に目の当たりにしたのは今や一定の年齢層に留まってしまっているのではないか。かく言う自分自身も全然世代では無い。 さて、山本直純は昭和の後半から平成前半にかけて作曲家・指揮者・司会者とマルチに活躍した音楽家だった。1932年生まれでちょうど今年が生誕90年ということになる。しかし、彼は早くにこの世を去ってしまった。2002年(69歳)のことである。今年が奇しくも没後20年の節目

    • マエストロ・ムーティと精鋭たちの響宴〜東京・春・音楽祭2022〜

      マエストロ リッカルド・ムーティがコロナ禍に3度目の来日を果たしてくれた。今回は毎年春の風物詩、東京・春・音楽祭で特別編成される東京春祭オーケストラを指揮するための来日となる。 運の良いマエストロ先述したが、ムーティはコロナ禍になってから今回で3度目となる。2020年は無念の中止となったが、昨年の東京春祭は、緊急事態宣言の間をくぐり抜けて来日した。また昨年秋にはウィーンフィルと共に来日し日本ツアーを敢行。そして今年は2月末まで外国人の新規入国停止措置が3月に解除されての来日

      • 広上淳一&京響 14年間の集大成

        歴史的な寺社仏閣や伝統文化があふれる古都京都に西洋音楽を演奏するオーケストラがある。それが京都市交響楽団(京響)だ。1956年の創立で、京都市民の文化力向上等を目的として日本で唯一自治体が設置者となった珍しいオーケストラでもある。 そのため財源も安定していることから、これまでに世界一流のアーティストとの共演や名高い指揮者が京響のポストに就いてきた。 そんな中、2008年に第12代常任指揮者に就任したのが広上淳一氏である。ここから京響の名声が一躍飛躍することになるが、それには

        • 人生初のウィーンフィル鑑賞記〜リッカルド・ムーティ指揮/ウィーンフィル来日公演2021

          世界最高峰のオーケストラと言われるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。37回目の来日となる今回の日本ツアーの指揮は敬愛してやまないリッカルド・ムーティ。今年はムーティ80歳記念&ウィーンフィルデビュー50周年&サントリーホール開館35周年記念と様々なアニバーサリーが重なった公演ともなった。 ムーティ&ウィーンフィル、このコンビなら絶対聴きたい…!と意気込んでチケット争奪戦に挑んでから待ちわびること3ヶ月、自分の中での"今年最大の日"が遂にやってきた。 ムーティ&ウィーンフィ

        天才音楽家・山本直純に想いを馳せる夏〜生誕90年&没後20年に寄せて〜

          佐渡×シエナ 5年ぶり河口湖に凱旋!〜富士山河口湖音楽祭20年記念〜

          富士山の麓の大自然の中に佇む古代ローマの円形劇場を模した野外音楽堂 河口湖ステラシアター(2007年より可動屋根付き)で2002年から指揮者 佐渡裕さんを音楽監修に迎えてスタートした富士山河口湖音楽祭。2016年に佐渡さんが15年間に渡る富士山河口湖音楽祭の監修にピリオドを打ってから5年。 昨夜、音楽祭の20周年を記念して5年ぶりに河口湖の舞台に帰ってきた! 自分自身の音楽体験の原点 佐渡×シエナの生演奏と出会って今年でちょうど10年になる。初めてプロフェッショナルの

          佐渡×シエナ 5年ぶり河口湖に凱旋!〜富士山河口湖音楽祭20年記念〜

          関西文化が詰まった究極のエンターテイメント!佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2021「メリー・ウィドウ」鑑賞記

          兵庫県立芸術文化センターの夏の風物詩、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ。劇場の開館した2005年から毎年様々な新制作オペラを上演してきたプロダクション。昨年はコロナ感染拡大防止の観点から無念の公演中止を余儀なくされたため、2年ぶりに夏の風物詩が戻ってきた形となった。 今年は2008年に同劇場で初演され大好評を博した、レハール作曲の喜歌劇「メリー・ウィドウ」をキャストを一新し改訂新制作として上演された。 演出は13年前と同じく広渡勲が務めた(自身の母校昭和音大客員教授でもある

          関西文化が詰まった究極のエンターテイメント!佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2021「メリー・ウィドウ」鑑賞記

          ムーティ、ラザレフ…海外巨匠が駆け抜けた春

          コロナの変異種が蔓延し始めた4月、クラシック音楽界にとってビックニュースであり喜ばしい出来事が相次いだ。それは、外国人巨匠指揮者の"奇跡の来日"である。 1月の2度目の緊急事態宣言以降、それまでの間は少し緩和されていた海外アーティストの入国も再び難しくなり、代役を立てての公演が続いていた。そんな中で3月下旬から4月上旬の間に各主催者からの朗報の発表がSNS上を賑わせた。 いずれも、自身は移動自粛のため公演会場に足を運ぶことはできなかったが、幸いにも昨今主流となっているライブ

          ムーティ、ラザレフ…海外巨匠が駆け抜けた春

          地元にオーケストラがやって来た 〜7年ぶりのN響甲府公演〜

          3月14日、我が地元である山梨・甲府にNHK交響楽団がやって来た。(noteタイトルは、かつて山本直純さんが司会を務めた伝説的音楽番組のタイトルにかけてみたり) 自分自身が高校生の時以来7年ぶりの甲府公演となった。(前回は2014年3月) 地元にプロオーケストラの無い山梨の住人にとってはまたとない機会である。そのためか自分が思っていたよりはるかにチケットの売れ行きが良く、自分がチケットを取ったときには(恐らく)最後の一枚だった。そうしたこともあり当日は完売。しかしながら、コロ

          地元にオーケストラがやって来た 〜7年ぶりのN響甲府公演〜

          若き俊英たちの共演!〜東響名曲全集 第165回〜

          3月13日、約1年半ぶりに川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールを訪れた。 今回はホールと、川崎市フランチャイズオーケストラである東京交響楽団の主催で行われる"名曲全集"シリーズの第165回。 なんと言っても今回の目玉(主役)は、指揮を務めたカーチュン・ウォンと、ソリストのピアニスト 藤田真央の2人。 カーチュン・ウォンはシンガポール出身で、現在はニュルンベルク交響楽団の首席指揮者を務め、日本のオーケストラにも頻繁に客演している今引っ張りだこの若手指揮者。 藤田真央は、20

          若き俊英たちの共演!〜東響名曲全集 第165回〜

          びわ湖ワーグナーの再出発 〜ローエングリン鑑賞記

          新型コロナウイルスが猛威を奮い始めたほぼ1年前の3月初旬、クラシック音楽界に前代未聞の出来事が起こった。 ちょうど、政府によるイベント開催自粛要請が出たとき、その数日後に滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(滋賀県大津市)で毎年恒例のホールプロデュースオペラの開催が予定されていた。 しかし、政府と県からの要請により中止が言い渡された。だが、そこで諦めることなく、ホール職員の発案により、(今では当たり前になったが)クラシック音楽界(オペラ界)初の無観客生配信が行われた。 https

          びわ湖ワーグナーの再出発 〜ローエングリン鑑賞記

          コンサートの再開−音楽は心のビタミン!

          昨年からのコロナ禍となり、自分の趣味としていたコンサートも軒並み中止や延期が相次いだ。 クラシック音楽の界隈も、昨年6月辺りから演奏会が再開されるようになってきたが、未だに海外のアーティストの入国が難しい面があるため、出演者の変更等を余儀なくされつつも何とか公演が開催されている。 そんな中、自分自身はというと、昨年2月末の公演(下記画像参照)を最後にコンサートに行くことを自粛せざるを得なくなった。緊急事態宣言等もあり行きたくても行けず…というのが本音。 コロナ前最後に行っ

          コンサートの再開−音楽は心のビタミン!