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人生初のウィーンフィル鑑賞記〜リッカルド・ムーティ指揮/ウィーンフィル来日公演2021

世界最高峰のオーケストラと言われるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。37回目の来日となる今回の日本ツアーの指揮は敬愛してやまないリッカルド・ムーティ。今年はムーティ80歳記念&ウィーンフィルデビュー50周年&サントリーホール開館35周年記念と様々なアニバーサリーが重なった公演ともなった。
ムーティ&ウィーンフィル、このコンビなら絶対聴きたい…!と意気込んでチケット争奪戦に挑んでから待ちわびること3ヶ月、自分の中での"今年最大の日"が遂にやってきた。

ムーティ&ウィーンフィルの十八番プログラム

プログラムは日程によって2種類用意されたが、今回聴いたのは11月11日のAプログラムと区分されるモーツァルトとシューベルトのプログラム。マエストロとオケの双方が得意とする、まさに十八番プログラムである。
前半はモーツァルト:交響曲第35番ハフナー。この曲はムーティが4月の東京春音楽祭でも指揮した曲であり(演奏は東京春祭オーケストラ)、それだけに期待も大きかった。近年のムーティは柔らかに聴かせる解釈の演奏が多く、今回もその解釈に近いものがあったが、連日のツアーでの疲れもあってかオケの演奏に疲れを感じる部分も見られた。ただ、演奏の根幹にはウィーンフィルらしい筆舌につくしがたい美しさがしっかりと保たれているようだった。

20分間の休憩を挟んだ後は、シューベルト:交響曲第8番グレイト。まず冒頭のホルンの美しい天上の響きに圧倒され、木管楽器の細かいパッセージの流麗さ、艶やかな弦楽器の響きなど、これぞウィーンフィル!と思わせてくれるフレーズが随所にあふれ、その優美なサウンドに魂を持っていかれそうな勢いの演奏に酔いしれた。ムーティの小さな動作の指示に倍以上のサウンドで応えるオケの面々に感服だった。
おこがましいことながら、個人的には前半のモーツァルトよりも後半のシューベルトのほうが断然感動して、ウィーンフィルを聴いているという実感が湧く演奏だと感じた。

真骨頂のウィンナワルツでアンコール

本編の2曲が終わり、数回のカーテンコールがあった後にアンコールに突入。ムーティが客席に向けて一言「ヨハン・シュトラウス…Kaiser Walzer」と言って始まったのは、今年元旦のニューイヤーコンサートでも同コンビで演奏された皇帝円舞曲。

芳醇な響きにウィンナワルツのあの独特な拍子感にゾワッと鳥肌が立って打ちのめされる…!サントリーホールいっぱいに響くウィーンの空気感、この雰囲気を体感できただけでも大収穫で、この1曲だけで充実元が取れた気分。

あっという間の2時間で、皇帝円舞曲のラストが近づくにつれて、あぁ…終わらないでほしい…と何度となくその想いに駆られた。
いつまでも余韻に浸っていたい…と思わせるひとときだった。一夜明けても、耳の奥で皇帝円舞曲がずっと鳴っている。

ちなみに…
サントリーホールに行く楽しみの1つに、ホール内のドリンクコーナーの存在がある。コロナ禍以後、感染防止のため営業を休止していたが、今回はホール主催公演ということもあってか久々に復活!
極上の音楽とともに、1年9ヶ月ぶりに美味しいコーヒーを味わうことができた。

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