陳浩基『13・67』 上 感想 2/3 仁義なき戦い in 香港! 若き日のローがマフィア撲滅に奔走する
前回に続いて陳浩基『13・67』上 の感想です。
EP2 囚徒道義 任侠のジレンマ
若手のホープとして頭角を現しはじめたころのローと、警察を退職後に特別顧問として再雇用されたクワンが登場します。
大規模なマフィア撲滅作戦が大失敗に終わり、意気消沈していたローの下に、マフィアボスの愛人と噂されるタレントの殺害映像が届きます。無音声の隠し撮りらしき映像には、深夜に一人の女性が暴徒に追い回されたあげく歩道橋からつき落とされた様子が映されていました。
捜査が進むにつれ、被害者のタレントはある若手俳優とトラブルを起こしていたことがわかります。
その若手俳優はすぐさまマフィアボスの部下によって制裁を加えられていましたが、実はその俳優はライバル組織のボスの隠し子だったことがわかります。事件は報復合戦の様相を呈してきて、緊張感が高まります。
悪党同士殺し合えば楽になる、という誘惑にかられながらも市民を守る警察官としての矜持から、ローは敵対する二大マフィアの全面抗争を回避すべく全力をあげます。
その後捜査に行き詰まったローはクワンに相談しますが、事件に興味がないのかあまり力になってくれません。
しかしクワンにはある思惑がありました。ロー、マフィア双方を巻き込んだ一大コンゲームの図面が!
マフィアの描写が日本の任侠ものと言われても信じられそうなくらいそっくりで驚きました。昔気質の仁義にこだわる侠客とか手段を選ばないインテリヤクザとかw
また、終盤の展開には読んでいて思わず「おいジジィw」と思わずにはいられませんでした。『GREAT PRETENDER』かよ!とつい先日まで見ていたアニメを思い出してしまいました。この大ボラ吹きの詐欺師め!
今回はとにかくローが不憫な役回りでしたが、こうやって鍛えられていたからこそ、後年EP1のような活躍もできたのでしょう。
実は今回のEP2にはEP1で登場したエンジニアのアップルが若き日の姿で登場しています。彼女が、EP1で足の指先10枚の爪全てを黒塗りにしていた理由も明らかに。おそるべき執念。
今回はここまで。次回はEP3『最長的一日 クワンのいちばん長い日』についてかきます。
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