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【スターバックの本棚】『金子みすゞ名詩集』

金子みすゞ名詩集
金子みすゞ 著 / 彩図社

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金子みすゞの生涯は幸せなものではなかった。若くから詩の才能を開花させるが、夫の放蕩、乱暴と無理解に苦しめられ、離婚に際して娘の親権をも奪われそうになる。愛する娘を守るため、彼女は26歳で自ら命を絶ったのだった。

彼女の詩の中で僕がもっとも好きなのが『こころ』という題の一編だ。毒が体に回り意識が薄れゆく中で、彼女の心が最期に何を想っていたかと想像すると、なんともいたたまれない気持ちになる。

こころ

おかあさまは
おとなで大きいけれど、
おかあさまの
おこころはちいさい。

だって、おかあさまはいいました、
ちいさい私でいっぱいだって。

わたしは子どもで
ちいさいけれど、
ちいさいわたしの
こころは大きい。

だって、大きいおかあさまで、
まだいっぱいにならないで、
いろんなことをおもうから。

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小野雅裕
技術者・作家。NASAジェット推進研究所で火星ローバーの自律化などの研究開発を行う。作家としても活動。宇宙探査の過去・現在・未来を壮大なスケールで描いた『宇宙に命はあるのか』は5万部のベストセラーに。2014年には自身の留学体験を綴った『宇宙を目指して海を渡る』を出版。
ロサンゼルス在住。阪神ファン。ミーちゃんのパパ。好物はたくあんだったが、塩分を控えるために現在節制中。


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