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ダサい服で仕事に行く。それが私のプライベートに色をつけていることを、あなたは知らなくていい。

久しぶりに筆をとる。
もう気温はすっかり暖かくなり始めていて、冬物コートを着ている人を見かけなくなった。

そろそろ衣替えをしないといけない。
去年その辺で買い足した3000円の安物冬コートのポケットには穴があいてしまった。
どうせ仕事でしか着ないコートだ。来年も安物を調達しよう。

最近になってやっと冬物コートを卒業した。
クリーニングは来週でいい。
トレンチコートは着古して、去年捨ててしまった。
いよいよ今年の春は仕事に着ていくものがない。
奮発して買った10万円のレザージャケットはクローゼットに入れたまま、出勤のときは見向きもしない。

これでいいか。
そっとパーカーを羽織った。

揺れる車内、窓ガラスに映る姿は自分で見ても好ましい姿ではなかった。

もっと綺麗でシャキッとした社会人になる予定だったのに。この理想はどこに投げ捨ててきたのだろうか。

隣に立っているお姉さんがとても綺麗だった。
シワひとつないパンツに低めのヒール。羽織ったジャケットの下には白いブラウスが見える。いつかの私が描いていた理想の社会人だった。
胸元のネックレスも綺麗に光っていた。

仕事は全力でしているつもりだが、どうしても出勤にエネルギーを使えない。
メイクは最小限。服は汚れてもよく、洗えて、安くてすぐに買い替えられ、かつ動きやすいもの。GUとユニクロには頭が上がらない。

今日なんてアイシャドウを塗るのを忘れて出勤した。
その上ぼろぼろのパーカーだ。
同僚には笑われたが、これが私の仕事スタイルだ。
いくらでも笑え。
綺麗な服を着たら汚さないように気を遣ってしまって仕事どころではなくなってしまう。
真面目に働くために私はこの服装なのだ。

大したプライベートさえ送っていないけれど、お出かけの時はきちんと服を着る。少し高い質のいいお洋服。メイクもしっかりするし、髪の毛だってきちんととかす。

これが私のスイッチなのだ。

ああ、今日はゆっくり寝られる。
好きなことができる。
好きな人と会える。
好きなように時間を使える。

このオフの日の充実感がたまらなく好きだ。

少し背伸びした洋服に身を包み、そよ風の中を背筋を伸ばして歩いていく。

出勤の時とは違う、会社の人が絶対に知ることのない私の姿が私は好きで、この姿を保つために私は今日もダサい服で働きに行く。

未熟ですが、精一杯気持ちを文章にしていきます。よろしくお願いします。