おっぱいがワンカップ上がって嬉しかった話

小さい頃から母に言われてきたことは大人になってからも覚えているもので、時にはそれが自分のコンプレックスになっていたりする。

私の場合、その中のひとつに"胸"がある。

あなたおっぱいが小さいのよね
かわいいおっぱいね

小さい子を可愛がるような口調で放たれたその言葉を私はいまだに忘れたことがない。

胸が小さいから私にはブラジャーなどいらない

周りがスポーツブラをつけ始めた頃、心の中で私はそう呟いていた。ブラジャーは胸の大きい人がつけるものだと思っていたから、スポーツブラをつける自分がなんだかとても恥ずかしかった。

しばらくするとその気持ちが一転する。
大きさどうこうではなく、ある一定の年齢からはブラジャーをすることが常識だといつしか分かり、次はスポーツブラが恥ずかしくなった。

可愛いブラジャーがつけたい。

母は下着屋に連れて行ってくれたが、サイズなさそうだね〜と店内をぐるぐるしていた。

あ、これかわいい

そう思ってサイズを見ると、一番小さくてCカップだった。
それは大きすぎるでしょ。こっちは？
そう言った母の手の中にはAカップの下着があり、なんだかすごく腹が立った。

採寸も試着も断り、なんとなくでAカップの適当な下着を選んだ。デザインだけは好みのものだった。

それ以来、私はきちんとサイズを測ったこともなく適当に選んだ下着でここまで生きてきた。

ストラップが落ちてくる
カップがパカパカする
アンダー部分が上がってくる

着ける下着によって毎回悩みを抱えながら、ブラなんてこんなもんだと勝手に思い込んでいた。

高校生の頃、一度だけ地元から離れた場所で採寸してもらった。もう二度と来ないであろう場所のショッピングモールでひっそりと。
言われたサイズが自分のつけているサイズと全然違ったので、この人きちんと測ってくれないんだなと店員さんのことを勝手に決めつけ何も買わずに店を出た。

それから随分経ち、今では私もいい大人だ。
成長と共にカップのサイズは勝手に更新し、アンダーのサイズも適当に変えていったがいまだに胸はぺたんこだし服に綺麗なラインが出ない。悩みも相変わらずだ。

胸　小さい　サイズ測る

Google先生に相談したら同じ悩みを持つ人の投稿をちらほら見つけた。

"小さいのがコンプレックスで採寸にもいけない"

私と全く同じ悩みを持つ人たちがこぞって締めくくった言葉は"測ったほうがいい"だった。

カップが上がる
自分にも胸ができる
正しいブラのつけ方を教えてもらえる
ラインが綺麗になる

みんなが口を揃えてそう言うものだから少し希望が持てた反面、どうせ私より胸のある人たちの話だろうとどこか信じられずにいた。

そうこうしているうちに私の下着にも寿命がくる。そろそろ買い替えどきだ。さてどうするか。

意を決して採寸をお願いした。
人当たりの良さそうで真面目そうな店員さんを選んで声をかけた。
胸が小さくて測るのが嫌だったこと、ブラジャーがフィットしておらず身につけていて沢山悩みがあること、全て聞いてもらって採寸をした。測ってもらったサイズで試着もした。

すると

ワンカップアップしたのだ。

ブラの正しいつけ方も教えてもらった。

アンダーがズレることもなく、肩紐が落ちることもなく、カップの上がパカパカすることもなく、本当にジャストフィットで丸みを帯びた綺麗な胸が出来上がった。

私にもちゃんと胸がある。

嬉しくて店員さんと手を叩いて喜んだ。

今日からきちんと教わった方法で正しく下着を身につけよう。
次に新調するときも、きちんとサイズを測って試着してから買おう。
お洋服の内側から綺麗にすることがこんなにも自分の気持ちを晴れやかにするなんて今まで感じたこともなかった。

下着はボロボロのものではなく、綺麗で清潔感のあるものを使いなさい。そこにはお金をかけなさい。

母から嫌と言うほど言われていた言葉を思い出した。
何かあった時、万が一救急車に乗せられた時、意識のない中で治療のため服を切られた時、ボロボロの下着だったら目が覚めた時に絶対一生後悔するわよ、と。

サイズが上がり、綺麗な胸を作れる自分のブラのサイズを知り、今だからこそ私もわかる。

ブラジャーのサイズは、測っておいた方がいい。
そして、自分に合う綺麗な下着を常日頃から身につけておいたほうがいい。

着る洋服のラインがいつもと全然違って見えて、身だしなみこそ内面からだと実感した。

サイズピッタリの下着をつけた今日の私は、本当に丸一日とても気分が良い。