日本の「政治不信」とポピュリズムの台頭①

 皆さんは、政治家に対してどのようなイメージを持っていますか?
「寝てばっかり」「仕事をしていない」「選挙の時だけ」「高給取り」「税金泥棒」「上級国民」「国民の敵」「無能」「高齢者」「老害」……
 最近、こんな声が色んなところから上がってきます。では、これは本当に正しいことなのでしょうか。これらの意見について、シリーズとして考えてみたいと思います。

①議員の給料は本当に高いのか

まず、第一に「給料」について考えます。
 「政治家の給料は高すぎる」「まずは政治家の給料を減らせ」という意見があります。私は反対です。なぜなら、むしろ政治家は「給料不足」という現状があるからです。

「国会議員の給料は3000万円!」「居眠りしてるのに」というような見出しのツイートや新聞記事が出回っていますが、皆さんは本当にその「内訳」を見たことがあるのでしょうか。

まさか、見てもいないのに政治家に「給料泥棒」なんて罵詈雑言を浴びせていたりしませんよね?

まず、試しに「国会議員 給料 世界」とでも調べて頂ければ、「メディアの操作」が垣間見えるのではないかと思います。
「🔎国会議員 給料 世界」で出てきた先頭4つの画像がこちらです。

対象国家や年度、グラフの表示形態などの些細な違いはあれど。
同じことを表してるはずなのに、全然グラフが違うと思いませんか?

なんでこんなにグラフが違うの?


という疑問を持ってくれたらそれがスタートです。
そもそも、「国会議員の給料」と言われて、何を指されるかが曖昧であるというのがこうしたグラフに表れています。(詳しくは後述)

最近、自民党の女性局がフランスのパリに研修に行って、エッフェル塔の前で写真撮影をしたことが炎上したのを知っている人も多いと思います。

それに対して、「国民の税金で…💢」「無駄遣いをする岸田政権を許すな」といった声も沢山上がっています。
落ち着いて下さい。

そもそも、今回の研修は「自民党女性局」の研修なので、「自民党」の組織としての研修になります。
従って、自民党の「政党交付金」からの歳出が主となるわけです。それに加えて、各議員が自分のお給料から「自己負担」をして、今回の研修は成り立っていたわけです。

「国会議員の給料から出ているなら税金じゃないか!」そんな声がどこかから聞こえてきますが、議員さんの「給料」の多くは使い方を指定されています。(そもそも税金だからってダメならば公務員は誰も旅行に行っちゃいけないなんて話になってしまいます。教員に自由に使える給料が与えられるように、議員に自由に使える給料が与えられるのは当然の話です。)

それが「文通費」であったり、「通信費」であったり、「政務調査費」であったりするわけです。
これについては次回の研究でお話します。

では、議員歳費の中からそうした「使い方を指定されたお金」を引いた、残ったいわゆる「給料」は自由に使えるのか、と言われたらそういうわけではないのです。これに、議員の苦労があります。

中学校の公民や、高校の公共、政治経済で習うこととは思いますが、国会議員には議員特権として給与を国家が負担する「公設秘書」を3人設ける権利があります。(※内1人は政策秘書)

でも冷静に考えてみて下さい。
議員さんって、事務所にずっといるわけではないんです。全国、自分の地元を飛び回りながら、東京の国会議事堂で、議員会館で、党本部で活動する。

そんなとき、3人だけで足りるわけがありません。
考えてみて下さい。飛び回る国会議員の側には、常にサポートする秘書が必要でしょう。それとは別に、事務所の運営をする秘書、党で政策立案に関わる政策秘書、地元周りの調節をする秘書……

スタッフが、公設秘書だけで賄い切れるはずがありません。そうしたスタッフを雇うのは、「政党」であったり、「議員」個人になります。

例えば自民党などは、大政党の手厚いサポートで、そうしたスタッフや秘書を党からのお金で負担してくれるかもしれません。けれど、自民党の国会議員262人(衆)+118人(参)=380人全員の秘書やスタッフを党が雇うなんてのはハッキリ言って不可能です。

これは党の規模が小さい他党も同じ。立憲も、維新も、公明も、国民も、もっと小さなれいわや社民だってそうです。

では、公設秘書ではないスタッフはどうやって雇うのか。
もう、お分かりだと思います。

そうしたスタッフの人件費や事務所に掛かる運営費、土地代諸々は全て議員の歳費で自己負担されます。

その量を考えれば、見かけの上での「3000万円」といった数字に踊らされることの無意味さも考えられるのではないでしょうか。

私の知っている国会議員は、莫大な選挙費用と事務所運営に追われ、自身の持っていた家を担保にしてまで議員として活動しています。これは地方議員でも同じことです。(地方議員のパターンについては次回以降お話します)

まさしく、現状の国会議員の給料事情は「身銭を切らせる」、国会議員の担い手を減らしてしまうほどに厳しいものであることがご理解頂けたかと思います。

しかし、額面上の莫大な数字や、世界の国との比較を根拠として、政権や政治家という存在自体を否定する人は絶えることがありません。私としては、そうした目で政治が見られているという事実が残念でならない、というのが正直な思いです。

世界の国とのデータ比較は一見日本の議員の「特権階級性」を想起させますが、ハッキリ言ってこの比較には何の意味もありません。

なぜなら、「議員数」「国会議員に与えられる給料の幅」「国家の経済規模」何もかも軸が違っているからです。
日本は仮にも1億2000万人を抱える大国です。
例えば、人口100万人を切る比較的経済規模も人口も小規模な国を比べて、「日本よりも国会議員の給料が低い!」「国会議員の数が少ない!」などと主張することに合理性がないことは明白でしょう。

さて、皆さんにもう一度問います。
「本当に国会議員の給料は高いですか?」
「本当に、国会議員は給料泥棒ですか?」

「これまで、こうした考え方を以て政治批判を行いましたか?」

具体的な数字やデータを見ることは重要です。
それ以上に、そのデータを都合良く利用人々に騙されないことも大切です。

第一回としてデータに表れやすい「給料」をテーマに概論を述べさせて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

一高校生の戯言ですので、誤りのある部分があるかもしれません。そうした誤りについては、ぜひコメントでご指摘をお願いします。

それでは、次回も政治不信についてお話させて頂く予定です。次回の研究でお会いしましょう。

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