ブックリスト:指輪の歴史

指輪を作ることになった。

こういうとき何事も、歴史を学ぶことから始めるようにしている。というわけでいくつか本を読んだりチラ見したりしてみた。

『図説 指輪の文化史』浜本 隆志/河出書房新社/2018年

古代エジプトからデビアス社まで、さまざまな指輪がカラー図版とともに紹介され、その役割と歴史がまんべんなく網羅されている。古代から指輪は護符として、契約の証として、メモリアルリングとして、また結婚指輪として利用されてきた。その基本的な歴史とともに、ちょっとへんな指輪も紹介されているので(スパイ用指輪とか……)基本を押さえられるとともに読んで楽しい。絵画上の指輪や文学上の指輪についても詳しく言及されている。

ちょっとしたトピックをひとつ触れると、結婚指輪は地域や宗教によってつける指輪が異なる、ということを初めて知った。気にしてみると「ドイツでは右」とかそういう情報は手に入るが、これについてもこちらの書籍には1ページ使って一覧表が掲載されている。詳しい!

『指輪88―四千年を語る小さな文化遺産たち』諏訪 恭一/淡交社 /2011年

コレクターによる名品録。
88点の指輪が大迫力のアップ写真とともに解説されている。仕掛けのある指輪(フタが開いて物を入れられるようになっているとか、裏に刻印があるとか)などは、細部を見られて大変よく分かる。
年代順に収録されていて、古代~中世は少ないが、現代のアートとしての指輪などは上記の書籍には言及が少なかったので、こちらで補完的に見ることができる。

以下はまだ読んでいない本。メモとして。

『図解 装飾品』池上 良太、福地貴子/新紀元社/2012年

名称や構造の図解が充実している。

『指輪―古代エジプトから20世紀まで』東京都庭園美術館/淡交社/2000年

庭園美術館でおこなわれた展覧会の図録。

『詳説 日本の宝飾文化史』露木 宏/東京美術/2019年

ところで日本においては、古代以降いわゆる宝飾品というものがほとんど姿を消す。というふうに、『指輪の文化史』でも言及されている。仏教美術や祭礼の中では生き残るものの、たとえば江戸時代に民衆が身につけていたのは、くしやかんざしといった髪まわり、あとは帯留めや根付といった半実用品がせいぜいである、という。
これについては「言われてみれば」で、そのうちこちらの書籍で詳しく学んでみたいと思っている。

なお、今回はあくまで「指輪の歴史」、またどちらかというと広く一般的な文化史における指輪についての学びであり、超高級品としてのジュエリーや宝石部分をメインとした書籍については手に取っていない。一応1冊挙げておくと、このあたりが見ごたえありそう。

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ものを作る、デザインする、とはやはり歴史と文化史を知るところから始まる。ものにこめられてきた思い、その形が意味する概念と役割を知って初めて、そのうえに自分がなにを作るのかを考えることができるのではないかと思う。
というわけで、指輪つくりnote、そのうち上げます。

最後まで読んでいただきありがとうございます。 もし応援をいただけましたらドイツ語の参考書を買います。