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『阿修羅のごとく』観劇

作:向田邦子/脚色:倉持裕/演出:木野花

言わずと知れた向田邦子の名ドラマを木野花が演出して舞台化。
四姉妹を演じるのは、小泉今日子、小林聡美、安藤玉恵、夏帆。
垂涎物の豪華女優陣。
その他の出演者は、岩井秀人と山崎一。

ちなみに皆さん、演出の木野花は分かるんですかね?
「あまちゃん」のメガネ会計ババアです。

舞台批評めいたことは書きません。書けません。
映像作品と違って誰でも見られるものでもなければ、私自身も見返せるものでもないので、あくまで「観劇したなあ」ってメモ。
なので、他の記事をどうぞ。

公式サイト

ステージナタリー

オリジナルは1979年のNHKのドラマです。
私、このドラマを見過ぎてるんですよ。
原作の文庫本(小説ではなく脚本)も何度も読んでいます。脚本の手本。
ずいぶん昔ですが、このドラマの演出家の和田勉を偶然見かけて、この原作本にサインをもらおうとしたらその日は持参してなかったので断念したという思い出があります。和田勉存命中ですからずいぶん昔の話だ。
もっとも、和田勉に会ったら「『ハリマオ』(1989年)は駄作だったな」と罵りそうだったので、声を掛けなくてよかった。

つまり私は、もちろん森田芳光の映画版(2003年)も観ていますが、このドラマが、オリジナルの『阿修羅のごとく』が好きすぎるのです。
生涯ベスト1ドラマ。

NHK放送史

そして今回の舞台は、実に忠実だった。
時代設定やキャラクター設定はもちろんのこと、ほとんどの台詞がオリジナルのままだったように思います。
その結果、それが良いとか悪いとかではなく、私は目の前の舞台を観ていませんでした。その向こうに、オリジナルドラマを見ていたように思います。

元来、私の舞台観劇はミーハーで、
「ワーイ!小泉さんだー!」
(今年3月に40周年記念ライブに参戦してるので生Kyon2は2度目)
「ワーイ!小林聡美だ!」
「ワーイ!安藤玉恵だ!」
(本谷有希子の舞台「甘え」(2010年)で見ているので生玉恵も2度目)
「ワーイ!夏帆ちゃんだ!夏帆ちゃんだ!」
とヨダレを垂らしながら女優たちを見るのが通常なのですが、今回は違いました。

彼女たちの向こうに、加藤治子や八千草薫やいしだあゆみや風吹ジュンが見えちゃったんだ。
男性陣は緒形拳先生と宇崎竜童に重なっちゃったんだ。
佐分利信は見えなかったけど。
あのオープニング曲が、勝手に俺の耳に鳴り響いちゃったんだ。

狭い小屋で、中央舞台(舞台を囲んで四方に客席がある)で一番遠くても舞台から5列程度という、かなり至近距離の芝居だったにも関わらず、遠い何かを見て、私は泣いていました。

正しく舞台を観ていなくて、ごめんなさい。

(2022.09.22 世田谷パブリックシアター シアタートラムにて観劇)

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