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【まどかのバングラ日誌】お宝発掘!から村を挙げての一大イベントへ

みなさんこんにちは! ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジの長年のパートナーであるバングラデシュの現地NGO「タナパラ・スワローズ」(以下、スワローズ)で、インターンをしている、笹田まどかです。

今回は、私が発案からマネジメントまで担当した、スワローズでのイベントの様子を皆さんにお届けします!

眠っている「宝」を発掘!

2024年6月23日~24日の2日間、スワローズの敷地内の小学校の校庭で、売り尽くしセールのイベントを開催しました。スワローズの倉庫に眠っていた商品やサンプル品を安く販売したほか、村の方々により楽しんでもらえるような仕掛けを盛り込みました。元々は1日限りのイベントの予定だったのですが、初日に村の方々からの強い希望があり、急遽2日間開催することになりました!

イベント当日の様子

このイベントの発端は、スワローズのショールーム(直営店)や工房内の棚に、たくさんの素敵な服が活用されずに取り残されていることを知ったことでした。商品開発の段階で購入した一般マーケットの製品や、デザイン開発の際に作成したサンプル品、そして予備として生産された商品など、行き場に困っている服を処分できずに、スワローズはゴミのような形で抱えていました。

片付けを進めてみると、その数は何百にも及び、その中には洗ってアイロンをかければ新品同様に使用できるくらい綺麗な状態の服もありました。「スワローズが抱えているものはゴミではなく、宝だ!」と思い、在庫売り尽くしセールのイベント開催を考案しました。

それからは、何年間も棚で眠っていた商品を手洗いし、乾かし、アイロンをかけて……という毎日。一部の富裕層を除いて、現地のほとんどの家庭には洗濯機がなく、洗濯は手洗いで行います。新しい棚を開けると大量に服が出てきて、途方に暮れる作業でしたが、それもとても良い思い出の1ページです。

手洗いの様子。糸の染色で使う洗い場を貸していただきました

また、ふだん刺繍部門で女性たちと共にお仕事をしている中で、「昔はよくスワローズでお祭りがあって楽しかったんだよね」という過去を懐かしむ話を聞いていました。最近は村でお祭りが少なくなっているということだったので、村の方々により楽しんでいただけるように、子ども向けのゲームコーナーを設置したり、軽食の屋台やおもちゃ屋さんに声をかけて出店していただいたりして、村を巻き込んだお祭りを企画しました。


子ども達に人気のおもちゃ屋さん


人生初めて、ものづくりのプロセスを実体験!

また、イベントを開催するにあたって、私は初めて「もの」をゼロから企画して発注し、形にするプロセスを経験しました。ポーチやハンカチなどの小さな商品を陳列するためのかごがなかったため、以前別の仕事を通じて知っていた、竹製品の生産が得意な近くの集落を訪れ、特注の竹かごをつくってもらうことにしました。

マーケットでプラスチック製のかごを購入したほうが時短で価格が安いことは分かっていました。しかし、スワローズは村に根差した活動をするNGOだからこそ、地域の伝統を守ったり、集落の収入のサポートをしたりという活動に少しでも繋げられる選択をするべきだと考え、今回のオーダーに至りました。

集落の様子。竹製品の生産は重要な収入源のひとつだそう

集落に足を運んで私のイメージを伝え、サンプルを作成していただき、修正を入れて、必要個数を作成してもらって……というように、かかった時間と手間は膨大でした。本オーダー後も進捗確認をしに集落へ行ったり、電話をかけたりとこまめなコミュニケーションを心がけました。

このようにしてできあがった竹かごを見たときの感動はとても大きく、ひと目見て一気に愛着が湧いてきた感覚は、これまで経験したことのないものでした。手仕事によって生まれる製品が持つパワーを感じました。

この竹かごはイベントで大活躍でした!

つくり手さんとそのご家族(トップ画像も)がイベント当日も来てくださいました!
竹かごはこのように活用されています!


ベンガル語の特訓を活かして

そして、実は私は今、ベンガル語の筆記を猛勉強中でして、イベントの値札づくりでさっそく役立てることができたので併せてご報告です!

私はこれまで、コミュニケーションに特化してベンガル語を勉強してきたので、文字の読み書きが一切できませんでした。ベンガル語の音をアルファベットで表記する方法があり、現地の方にそのスペルを教わる形でコミュニケーション力を習得していました。ベンガル文字を介さなくても現地の方と日常会話ができるようになったため、ベンガル文字の勉強のモチベーションが上がらずに今日まで来てしまいました。しかし最近、文字が読めないことによる情報の制限を感じる機会が多々あり、現地での学びの最大化のためにもベンガル文字の習得から逃げてはいけないと感じ、勉強をはじめました。

今回のイベントで使用した値札は、現地スタッフに助けていただきながら完成させました。文字のバランスの取り方、手書きならではの癖など、現地の方から直接チェックを受けられてとてもありがたかったです。その分、書き損じは数知れないですが……。

相当な時間をかけて何とかつくりました!
皆さんが実際に読んでくださるととても嬉しかったです


素敵な"出会い”が生まれたイベント

こうして準備段階から多くの学びを得たイベント。当日は老若男女が賑わい、まさに「お祭り騒ぎ」でした! イベント会場に来た方々が集まって、いつの間にか会話が盛り上がるという光景もたくさんあり、村の方々が楽しめる空間がつくれたのでは、と思っています。

子どももお金を握りしめて買いに来てくれました!
仕事終わりの夕方の時間帯が最も盛り上がりました

商品の販売では、新しい使い手が見つかって良かった!という瞬間が数多く生まれました。
コロナ禍に大量に生産したであろうマスクが300個程見つかり、イベントで販売しました。マスクを着ける文化がそもそもなく、この真夏の季節に売れるか不安だったのですが、1人の男性がデザインを吟味して買ってくれたので、なんで購入してくださったのか、伺ってみました。

「私は農家で、殺虫剤をまくときにマスクを着けるんだよね。デザインがかわいくてつくりがしっかりしていたから購入したよ! 明日から使うね」

スワローズにとっては「いらないもの」かもしれないけれど、誰かにとっては必要なものなのだと実感しました。

村の方々と直接会話をする機会に恵まれたもの嬉しい副産物です


ショールームのリニューアルオープン

加えて、イベント初日に併せて、スワローズのショールームをリニューアルオープンさせました。元々は在庫の服だらけで、商品を販売する場所とは言い難いお店でした。そのため、今回のイベントに向けた片付けを機に、「村の方々がふだんから立ち寄りやすい店」を目標に、ショールームを刷新しました。

スワローズの商品は海外に向けて販売するものがほとんどです。そのため、スワローズの商品は自分には手に届かないものだから……と考える村人も少なくありません。

一方で、スワローズでも現地の方々向けの製品をつくっていますし、何より、スワローズがあるタナパラ村からどんな商品が世界へ届けられているのか、もっと多くの地元の方に知ってほしいです。そのためにも、もっと村の方々に近い存在としてのショールームになることを願い、リニューアルオープンを迎えました。

まだまだ発展途上ですが、ひとまずは再スタートを切れたことに喜びを感じています!

バナーのデザインも私が担当しました

最後に

今回のイベントは大成功で、売り出した商品の9割を新しい持ち主へお届けすることができました。また、次のイベントはいつ?と、質問が殺到しています。

このイベントを通じて、スワローズが地域に愛される存在として更に発展していけるのであれば、本望です!

現場からは以上です。次回もお楽しみに!

【フェアトレードの現場でインターン! まどかのバングラ日誌】

Vol.1 自己紹介と研修プロジェクト調査報告会参加レポート
Vol.2    みんなで祝った世界フェアトレード・デー!

グローバル・ヴィレッジのブログ「The Fair Trade Style」より



笹田まどか(ささだ まどか)

青山学院大学4年生。国際政治を専攻
2022年3月~2023年3月 現地NGO「エクマットラ」のインターンとしてストリートチルドレン支援活動に従事
2024年3月~2025年2月予定 ピープルツリー/グローバル・ヴィレッジの生産者パートナー「タナパラ・スワローズ」でインターン。主にハンディクラフト部門で活動
毎日インスタグラムで日々の暮らしや仕事ぶりを投稿中
勝手に協力隊!?バングラデシュの地方NGOで奮闘する女子大生の物語


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