豊島区日中友好協会がコロナ禍の外国人を支援
『人民日報海外版日本月刊』編集部
東京都豊島区日中友好協会は、公益財団法人三菱財団と社会福祉法人中央共同募金会が社会貢献事業の一環として公募した「新型コロナウイルス感染下において困窮する人々を支援する / 外国にルーツがある人々への支援活動応援助成」に応募し、2020年9月に助成が決定。同年11月に「日中友好医療相談・通院支援センター」を開設し、2021年5月末日を以って活動を終了した。以下、尾崎隆信・豊島区日中友好協会会長に取り組みについて伺った。
■応募のきっかけ
2019年末からコロナウイルス感染が世界に広まり、日本でも東京など大都市から全国的に広がりました。感染の広がりは個々人の行動にも大きな影響を及ぼし、とりわけ中国にルーツをもつ在日の華僑や華人への影響には深刻なものがありました。具体的には、「病院の待合室などで受ける眼差しに厳しいものがある」、また「医療の場面での日本語のやり取りに苦労することが多く、病状を正確に伝えることが出来たか不安である」、等々の声を聞いたからです。
■活動の内容
日本語が不自由で、孤立しがちな在日中国人高齢者を対象に①通院・診療の不安解消、②医療通訳員の同行による患者・医師間の病状と診断の正確な伝達、③処方薬の受領手伝い、などで、応援助成金を活用して、これらにかかる費用は検査・治療費・薬品代を除きすべて無料として取り組みました。
■活動の成果
患者30名の方に延べ76回の医療通訳を行うことが出来ました。患者からは①公的機関の支援もあり安心して依頼できた、②医療通訳士のおかげで医師に対しての不安が解消され不信が信頼に変わった、③事務的な問題が解消された、などの声が寄せられ、医師からは「症状の把握と診断の説明がスムーズに行え、診察時間の短縮にも繋がった」などの意見が寄せられました。
■活動を通じて感じたこと
2020年の第一次緊急事態宣言時から一年経過した現在、中国人へのコロナに対する偏見は見られません。これは、ウイルスによる感染は人類共通した試練であり、国際社会全体で協力して取り組むべき重要課題との認識が浸透した結果と思われます。しかしながら世界においては人種・民族差別という新たな問題が生じ深刻化しているのが残念です。
■今後の友好協会としての取り組み
中国の方々には在日華僑や華人の人々が形成する中国人社会に留まらず、豊島区日中友好協会や地域の活動にも参加してもらいながら日本文化の理解を深めてもらい、また受け入れる地域住民の側にも「理解」「対話」「寛容」へと意識を啓発しつつ、異文化間における相互識別から相互理解に繋げ、地域社会の構成員として共に生きていくことを目指してまいります。
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