恋愛心理の研究は何のために必要か?
長い人生を生きていれば,誰しも一度は恋愛に関心を持ち,恋愛が上手くいかないことに悩んだ経験があるのではないか?
松井(1990)が評論している「青年の恋愛行動の構造」に関する論文によると,日本の恋愛研究は,青年心理学,社会心理学,家族社会学の3分野で研究されてきたそうだ。
ネット記事などに溢れる「恋愛テクニック」は参考にならない
恋愛心理に関して,世間では,いわゆる「恋愛テクニック」と呼ばれる情報が,ネット記事や雑誌に書かれている。
相羽(2009)は,日本の雑誌・ホームページにおける「恋愛テクニック」に関する記述を以下のように整理している。
恋愛心理に関する情報が世間で溢れているのは,誰しも恋愛に関心があり,悩んでいるからであると考えられるが,相羽(2009)では,そのような情報については実証的な根拠があいまいで,鵜呑みにするのは危険であることが指摘されている。
ネット記事などに溢れる恋愛テクニックに関する記事は信憑性が低いから参考にしない方が良いと言える。
恋愛関係におけるコミュニケーション・スキルを高めるには?
恋愛関係には,「親密性」と「任意性」が高いという特徴がある(松井,2010)。そのため,恋愛関係には,コミュニケーション・スキルが求められる。
恋愛心理に関する研究では,恋愛関係におけるコミュニケーションの取り方として,「恋愛スキル」のトレーニングが行われており,そのようなトレーニングが,恋人との付き合い方を改善することが明らかになっている(相羽・松井,2013)。
相羽・松井(2013)の「恋愛スキル・トレーニング」では,男性を対象に,2回のセッションに分けて,以下の内容をトレーニングしている。
コミュニケーションの観点から,恋愛心理に関する実証的な根拠を示していくことは,現実場面で恋愛に悩む人に対して有益な示唆を与え,人々の恋愛関係を円満にすることにつながる。
だからこそ,恋愛心理の研究を実証的に行う意義がある。
引用文献リスト
相羽 美幸 (2009). 日本の雑誌・ホームページにおける恋愛スキルに関わる記述の内容分析 読書科学, 52, 38-48.
相羽 美幸・松井 豊 (2013). 男性用恋愛スキルトレーニングプログラム作成の試み 筑波大学心理学研究, 45, 21-31.
松井 豊 (1990). 青年の恋愛行動の構造 心理学評論, 33, 355–370.
松井 豊 (2010). 朝倉実践心理学講座8−対人関係と恋愛・友情の心理学− 朝倉書店
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