受け身の姿勢からの脱却

ちょっと自虐的になりますが。

温室育ちで打たれ弱かった私は、最初に勤めた会社で、大きな挫折を味わいました。

3年目の人事評価で、同じ部署内の、殆どの同期が昇級する中、私は据え置きとなり、結局その屈辱に耐えられず、居たたまれなくなって退社したのでした。

「人数の関係でそうなっただけで、特に理由はない」と言われたからもあり、尚更、“必死で働いたのに、認めてもらえなかった”という思いが残りました。

会社への不信感から、正社員よりも派遣社員として働くことを選び、もうあんなに頑張らない、言われたことだけしかしたくない、“自分で学んで、仕事の中で何かを掴み取る”でなく、ドライに、会社から何をもらえるか”を考える、という、くれくれ星人的な姿勢になっていました。

頑張って、評価されなかったらまた落ち込むから、それを避けたい、という防衛本能も働いていたのだと思います。元々ベストを尽くしたい性格なのに、それに逆らっているのは、自分の中で大きな迷いと矛盾もあったと、今では思います。

今の仕事では、オーナー側の管理会社へ修理詳細をメールし、修理代金の承認を得たり、掲示物の作成などもあるのですが、最初は、苦手です、と避けていました。エッセイなどでたくさん賞をいただいて、書くことに抵抗はないはずの私が、頑なに断ったり、周りにどういう評価をされるのかを気にして、ハードルを下げるための言い訳をしていたことが、今は不思議に思うほどです。

受け身の姿勢から、180度転換させるのに勇気が要ったんだな、と自分で分析していますが、この件に限らず、“これが私の、今のベストです。何かあったらご意見ください”と、腹を括って全部出すようにしてから、状況が大きく変わり始めました。

例えば掲示の文章は、マネージャーに最終判断をお願いしています。体裁や文言のチェックをお願いすると、「何かいろいろ言っちゃうけど・・・。まぁ、書き方の癖もあるからね」と遠慮しつつ、毎回幾つか添削が入りました。

考えてみたら、この歳になってなお、社会経験豊富な年上の上司に、こんなふうに時間を割いて教えていただけることは、とてもありがたいことだと思い、「こんな機会はなかなかないので、いろいろな文書に慣れていらっしゃる立場から、改善点あったらどんどん教えてください」と、伝えました。

こういう姿勢で臨むようになってから、教えていただいたことをどんどん吸収するようになった気がします。添削で指摘される回数もどんどん減って、今では、ほぼ変更ナシで掲示することが殆どです。上司も私の変化に気付いて、一年ほど経った頃には、「最近すごく変わったけど、何か心境の変化でもあったの!?」と、聞かれたのを覚えています。

歳は取りましたが、“何か起こったら人のせい”、でなく“自分で責任を持って人生を歩んでいる”という実感を得られるようになった今が、一番幸せです。

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