加害的好奇心

5年くらい前の夏、駅の床に這いつくばっているカナブンを20歳前後の女が自転車で潰していたのを見たことがある。太い黒縁で分厚いレンズの眼鏡をかけており、「クシャッ」と音を立てて粉々になったカナブンを見てニヤッとして颯爽と帰って行った。
僕は彼女のことを「異常」だと軽蔑した。でもよく考えると、その行為自体にではなく、大人がそんなことをしている、ということに引いていたのだ。だって、カナブンを潰していたのが小学生の男子グループだったら「あ~僕も小学生の時はやってたかもな~」とか思っていたはずだから。実際、僕は小学生の時カエルに爆竹を飲ませて遊んだことがある。

「知的好奇心」があるように、全ての人間には「加害的好奇心」というものがある。(特に10~16歳くらいはそれが強い)でも、それ自体が悪いことではなくて、その加害欲とどう付き合わせていくかが大事なのだと思う。最もヤバイのは、子供の加害欲を認めてない人たちで、例えばその人たちは自分の子供がクラスメイトを虐めていても「私の子供がそんなことするわけない!」と言う。

昔 テレビで哀川翔が「うちの子供たちはみんな反抗期なかったんだよ!」とどこか自慢げに言っていたが、それは反抗心を親に向けられなかっただけで、もしかしたら、その反抗心は加害欲となり、他の誰かを傷付けていたかもしれない。そう考えるとなんか超怖いな~と思う。
とか書いてる僕の部屋のクローゼットには、イライラして蹴った時に空いたデッカイ穴があるんですけどね。それでも、人を傷付けるよりマシか。ごめんよ、クローゼット。

映画『許された子供たち』を見てそんなことを思った。

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