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脳の働きと目的

はじめに

脳はどんな働きをしているのでしょうか?
脳はどんな目的を持っているのでしょうか?

なんとなくわかっているけど、普段改めて考えることはないですよね。

脳科学者ではないので論文は書けないですが、AIの勉強をしているうちに少しわかってきたことがあるので記事にしました。

脳は何のためにあるのか?

  • 目に見えた物を認識するため

  • 耳に聞こえた音を認識するため

  • 体を動かすため

  • あれこれ考えるため

  • 人とコミュニケーションするため
    ・・・

すぐに思いつくのはこんなところでしょうか。

どれも正しいと思いますが、「本当の目的は?」と聞かれるとちょっと理由にはならないかもしれません。

脳がないと目と耳が正常でも何も認識できない。脳がないと何も考えられない。脳がないと体が動かない。

これくらいで脳の働きの説明としては十分ではないでしょうか。

ただ人間に近いAIを作り上げるには脳の目的を理解するのは重要だと考えています。
エンジニアリング技術だけでは、人間と同じような思考ができるAIは生み出せません。

最近Googleの社員が「ついにAIが意識を持った」と騒ぎ出して、会社に公表を止められたと話題になりましたが、これは営業的な話題作りか、てきとうに盛った話でしょう。

問いかけに対して期待した答えを得られたからといって、人間のような思考をしているわけではないのです。
スマートスピーカーは人間の話を理解しているように感じるかもしれませんが、人間のように思考はしていません。

では脳の目的は何なのか?

先に結論を言うと「未来をシミュレーションして予測するため」です。

たぶん、この答えにはなかなかたどり着かないのではないでしょうか。
脳科学は脳の「機能」には着目すると思いますが、「目的」にたどり着くには少し遠いような気がしています。

ポイントは「脳の働き」ではなく「脳の目的」という点です。

「今日のお昼ご飯何たべようかな」とか「今度の夏休みはどこか旅行に行こうかなー」とか考えることはあると思いますが、このときは未来をシミュレーションして予測してますよね?

脳の進化によって人間は、目や耳で認識した情報を利用して未来をシミュレーションする事ができるようになりました。

たとえば今日のお昼ご飯を考えているときに、脳はシミュレーションしています。

「あれ食べようかこれ食べようか」と頭の中に食べ物のイメージがわいてくると思いますが、あれは脳が「未来をシミュレーションして予測」している状態です。

目の前の本物が無くても、イメージを作り上げることができる。これが脳の「働き」です。

「目的」は? というと「未来予測」です。

では、未来を予測できると何がいいのでしょうか?

動物を例にするとわかりやすいと思いますが、以下のメリットがあります。

  • 身に迫っている危険が予測できる

  • 食料の場所、獲物の場所を予測できる

どちらも生きるために必要ですね。
どうやって生き延びることができるか? という問題に対して脳は進化を続けました。

予測するためにはシミュレーションが必要で、頭の中で考え事をしているときにイメージしているのがシミュレーション環境です。

人間の脳は動物よりさらに進化して、言語情報だけでシミュレーション環境を頭の中に生み出すことができます。

「リンゴ」と聞いて、頭の中に「リンゴ」のイメージを生み出すことができるのです。
目の前にリンゴが無いのに、頭の中でリンゴのイメージが浮かぶのって改めて考えるとすごいことですよね。

人間は、頭の中に仮想空間をすぐに作ることができます。

もちろん自分の頭の中の仮想空間は他の人とは共有できないですが、メタバースがなくても自分で自分の頭の中に仮想空間は作れるのです。
(でも、そのうち脳波の研究が進んでくれば、頭の中の仮想空間を現実世界に投影できるようになるかもしれませんね。実際そういった研究は進んでいます)

そうやって、人間は言語でコミュニケーションができるようになりました。
相手がしゃべっている言葉を聞いたとき、相手が思っていることを頭の中で高速でシミュレーション環境を作り上げ、予測をすることにより、相手の気持ちが予測できるようになるのです。

要するに「相手の気持ちがわかる」状態になります。
相手の気持ちがわかって、それに応じた返事をすることで、はじめてコミュニケーションが成り立ちます。

今のAIは「人間の気持ちがわかって返事をしている」わけではないのです。
なぜなら、人間の考えていることを「シミュレーションして予測していない」からです。

今のAIは大量のデータから「この会話が来たら、この返事をするのが正解」というパターンを計算して返事をしているだけです。

困った脳

脳の進化により、言語によるコミュニケーションや、未来予測ができるようになった人間ですが、この「未来予測」によって困ったことも生まれるようになってきました。

「心配」、「不安」、「憂鬱」、「恐怖」・・・

などです。

みなさんは、心配や不安な気持ちになったことはないでしょうか?

僕は心配性なので、将来のこととか先のことがいつも不安です。笑

たとえば試験勉強しているときも、

「試験受かるかなー、落ちたらどうしようかなー、どうせ落ちるんだったら今がんばって勉強しても無駄だしなー、ちょっと休憩しようかなー」

という思いがわいてくると思いますが、あれも脳が勝手に頭の中でシミュレーションを始めて、勝手に不安になって勉強に集中できなくなっています。「雑念」というものですが、まさに余計な考えです。

これくらいならまだいいのですが、「仕事で失敗したらどうしようかなー」とか「怒られたらどうしようかなー」とか、雑念は集中力をなくすもとになります。
人間の脳は余計なシミュレーションも勝手に頭の中で始めてしまいます。

心の病も同じ仕組みで、頭の中のシミュ―レーションが悪い方向に行ってしまった結果です。

シミュレーションさえしなければ、「心配」や「不安」は生まれません。
目の前の現実を見ているだけですから。
「山がある」、「川がある」、「空がある」、「雲がある」、「風の音が聞こえる」・・・
それだけです。現実が目の前にあるだけで、何もシミュレーションが動かなければ、現実があるだけです。つまり、余計な解釈が無い状態です。

庭にいる「アリ」はきっと「不安」や「心配」なことはなく、毎日目の前の現実だけをとらえて生きているはずです。
なぜなら、脳が頭の中でシミュレーションして未来を予測できるほど進化できてないからです。

今目の前にある現実だけ見るようになると、頭の中のシミュレーション環境は消えて、目の前のことに集中できるようになります。

脳の進化とともに、「不安」や「心配」という不都合なものまでできてしまいました。

でも、目の前にある現実だけを見る場合と、シミュレーション環境で未来を予測するときと、うまくコントロールできるようになると、人間の脳ほど素晴らしいものは無いだろうと考えています。

今は人間も進化の過渡期なのかもしれないですね。

現実と未来

脳の目的は「未来をシミュレーションして予測する」でしたが、その先の目的は何でしょうか?

それは「未来を創る」のが目的です。

「未来をシミュレーションして予測する」だけでは、もちろん現実世界は何も変わりませんが、人間は頭の中でシミュレーションしたものを現実世界にフィードバックすることが可能です。

「お昼ご飯にラーメン食べる」という未来をシミュレーションした後、現実世界でラーメンを食べるという行動を起こして、現実世界で実現することができます。

たとえ話のために、身近なラーメンの例を挙げましたが、これが近未来の夢のようなことを頭の中でシミュレーションして、現実世界でチャレンジしようとする人たちが一定数存在します。

イーロン・マスクがいい例ですね。火星に人類が移住するという未来をシミュレーションして、そのシミュレーション内容を現実世界にフィードバックして実現しようとしています。

イーロン・マスクは極端な例でしたが、同じように未来をシミュレーションすることによって、未来が現実になっていきます。

頭の中でシミュレーションできないことは、現実世界でも実現できません。

逆に人間の頭の中でシミュレーションできることはすべて実現可能と言われています。

脳の進化は未来を創るために、どんどん進化しているのです。

まとめ

人間の脳の仕組みが少しずつわかってきたところで、やっぱりAIが人間の脳に近づくのは、まだまだ時間がかかるなーと思っています。

今のAIは機械学習、ディープラーニングが主流ですが、AIが脳の動きを模倣できるようになるには、仮想空間でシミュレーションできるという点も意識しないと実現は遠そうです。








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