【勝手に考える】自動車産業の未来。
今の自動車メーカーはどうすべきか?
自動車産業に関わっている人間ではないですが、日本においては自動車産業が日本の基幹産業であり、必然的に自動車産業の未来が日本の未来を左右すると考えています。
なので、日本人で日本に住んでいる者としては、日本の未来も心配するのは当然のことで、日本の未来を左右する自動車産業の未来も心配しています。
自動車産業の動き
「日本は技術大国なので、これからもずっと自動車メーカーは安泰」、「日本の自動車は世界に認められている」、「日本の自動車は性能良し、品質良し、しかも安い」・・・
日本に住んでいると上記のようなイメージを持っている人が大半だと思います。たしかに日本にいるとほとんど日本車ばかりですね。あとは高級車のベンツ、BMW、アウディあたりもよく見かけますが、日本車のほうが圧倒的に存在感があると思います。
「家電と違って自動車は新規参入のハードルが高い」という点も「自動車メーカーは安泰」というイメージにつながっているかもしれません。
ただし、近年世界の流れが変わってきているのはみなさんご存じのとおりと思います。
◆【発表】2035年に発売できる新車は、排出ガスゼロ車のみとする(EUの欧州委員会が発表した規制)
EUでは、あと15年でハイブリッドカー含めて、内燃機関の自動車は発売できないということですね。電気自動車など排出ガスゼロの車だけが販売できるようになります。
「日産は以前からリーフという電気自動車作ってるし、他のメーカーもハイブリッドカーを作っているので、電気自動車も簡単に作れるはず」、「世界に誇る日本の技術力をもってすれば、電気自動車でも世界でトップクラスになる」、「そんなにすぐに電気自動車に完全シフトしないだろう。充電設備とかのインフラが整ってないから実際はハイブリッドカーが主流になってガソリン車は残る」・・・
ふつうに考えると上記のように思いますよね。自分もそう思ってました。
一方、以下の意見もあります。
「電気自動車になると家電メーカーも簡単に車を作れるようになる」、「他国の安い電気自動車が普及して、家電と同じように日本の自動車産業が潰れる」・・・
たしかに今の自動車メーカーにとっては、電気自動車が普及するとライバルが増えて、過酷な価格競争に巻き込まれるかもしれません。
では水素エンジンなどの燃料電池車はどうでしょうか? 電気自動車と違って、エンジンを使っているため、電気メーカーは参入しずらいと考えられます。また排出ガスがゼロなので、将来の規制にも対応できます。
自動車メーカーは急いで燃料電池車の開発を進めたほうがよいのでしょうか? もしくは電気自動車に注力したほうがよいのでしょうか? もしくは今までの延長線上でハイブリッドカーを軸に進めていけばいいのでしょうか?
燃料電池車はどうなのか?
結論からいうと普及はしないでしょう。電気自動車と比較して消費者にとってメリットがありません。水素ステーションの普及が前提となりますが普及の気配すらないです。電気自動車と違って家庭で補給できることもできないでしょう。今開発してるのはトヨタくらいしか思い浮かびませんが、トヨタ1社では当然普及することもないです。
世の中の流れどおりに電気自動車にシフトするのはどうか?
電気自動車は家庭でも充電できるのが大きなメリットですね。充電ステーションも街中でそこそこ見かけるようになってきました。今のところハイブリッドカーが主流ですが、そろそろ電気自動車も普及し始めそうです。燃料電池車も排出ガスゼロにはできますが、消費者の立場にたって電気自動車と比較してメリットはあるかどうかという観点で考えると自然と答えは出ると思います。
ジャガーは2025年までに100%電気自動車とすることを表明
フォードは2030年までに完全に電気自動車へ移行
ホンダは2040年までにすべてEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)に移行(米国、中国がターゲット)
上記以外のメーカーも続々と電気自動車(EV)シフトを表明しています。電気自動車へシフトしていくのは間違いないでしょう。
ホンダが内燃機関のガソリン車をやめるという宣言をしたのには驚きましたが、世界の流れを考えると仕方ないかもしれません。内燃機関にこだわってもいずれ衰退するしか未来がないでしょう。ホンダはホンダジェットも作ってはいますが、大きな自動車メーカーにとっては自動車以外のビジネスもすぐには見つからないので、自動車の枠組みの中で最適な選択肢を深く考えるとカーボンニュートラルを掲げるしか道は無かったのでしょう。おそらく深い議論の末に出した答えと想像しています。
電気自動車が普及したら自動車メーカーは存続できるのか?
ここからがポイントになります。ソニーがプロトタイプの自動車を作ったり、Appleも自動車産業に参入しそうな動きを見せています。もしソニー、Appleが参入してくるとテスラ以上に魅力的な電気自動車が発表されそうです。ブランド力もあるので、価格、性能面で大きな違いがなければ家電メーカーの自動車に消費者が流れていくことが想像されます。
あと、すでに中国では安価でそこそこ走れる電気自動車が販売されているため、今後日本にも上陸して普及することも想像できます。満タン充電で20kmくらい走れる電気自動車が10万円くらいで販売されたら、セカンドカーとして一気に普及するかもしれません。
では今の自動車メーカーは、新たな未知のライバルに対して、どういう戦略をとればいいのでしょうか?
・ソニー、Appleといった企業と共同研究を進める
・家電メーカを買収して将来のライバルを取り込んでおく
・研究開発を電気自動車に完全にシフトする
・自動車産業の強みを生かして、自動車以外の他のビジネスを模索する
・・・
生き残りを賭けて熾烈な戦いになりそうですね・・・
自動車の枠組みから外れて自動車以外のビジネスといっても、自動車メーカーの場合、そうそうフットワーク軽く変革できないような気がします。でも自動車産業にとどまっている限りは、ジリ貧になっていくのも容易に想像できますね。成長できない企業は衰退する道しかありません。
空を飛ぶ自動車はどうでしょうか? 今のところドローンスタイルの乗り物が空を飛ぶのに一番適していると考えられます。垂直に離陸できるしドローンなのでモーターだけで空は飛べるでしょう。ただ、その場合電気自動車と同じ構図になって家電メーカーがライバルになりそうです。
自動車メーカーは自動車以外のビジネスに参入できるか?
自動車メーカーは、自動車以外のビジネスに参入できるのでしょうか?・・・考えてみましたが家電メーカーとかIT企業とは違って、方針転換が難しそうですね。会社自体が大きいのもそうですが工場を持ってるというのも実は大きい足かせなのかもしれません。
自動車メーカーの今後について
以下メーカーそれぞれに対して今後のことを考えてみます。
トヨタ
トヨタが実験都市であるウーブン・シティを発表しました。
詳しい説明は省略しますが、今の社長が健在なうちはトヨタは大丈夫な気がしています。理由は自動車メーカーの危機を感じ取っていて対策も実行できているからです。自動車以外の分野を模索しているように見受けられます。現時点で正解に進むかどうかはわかりませんが、少なくとも何も手を打たずに衰退することはないでしょう。
ホンダ
カーボンニュートラルを発表しましたが、それ以外のビジョンが見えないですね。ホンダジェットは好調みたいですが、将来性を考えるとどうでしょうか。飛行機が自動車のように一家に一台という未来になれば、大きな市場にはなりそうですが、今は一家に一台ドローンのほうが現実的でしょう。ドローンの場合はホンダに強みは無いですね。
飛行機よりは一家に一台宇宙船のほうがまだニーズはあるのかもしれません。いきなり宇宙に飛び立つのは無理だとは思いますが、しばらく上空に飛び立つくらいから始めるとハードルは低くなるでしょう。
あと、ホンダといえばレースというブランド力はあると思いますので、それを生かした事業を模索するのもよさそうです。
ロボットのASIMOはどうでしょうか? 一時期2足歩行ができた時点ではすごいと思いましたが、その後とくに話題もなく既に開発もストップしたという情報も見かけました。お手伝いロボットは家庭でも需要があると思いますが、研究費がかさんでいたのでしょうか。AIを活用すれば、未来が見えてきそうでしたが、古くから研究してたためにAI技術を活用する方針にうまく転換できなかったのでしょうかね。
ホンダは技術力はあると思いますので、ビジョンはしっかり掲げたいところです。
マツダ
マツダは少し苦しいでしょうか。近年良い車、良いデザインの車を販売していますが、今後の戦略が見えてないように思います。デザインは海外でも評判は良いので、ブランド戦略の確立を急くのが後々で地味に効果が出てくるかもしれません。
SKYACTIVE-Xも価格差を補う価値が出てくれば、もうしばらく望みはありますが、内燃機関にこだわっていると衰退しか見えないと思います。
マツダは電気自動車のノウハウは無いと思いますので、モーターやバッテリーの研究開発している会社を今のうちに取り込むなど対策が必要です。
きっと、マツダであれば電気自動車でもドライバーの感性に働きかける魅力的な車を作ってくれるものと期待しています。
スバル
スバルも規模やターゲットは異なりますが、マツダと近い立ち位置と考えられます。アイサイトとか実績はあると思いますので、その強みを生かして電気自動車でも安全な車をブランド力にしてもよいのかもしれません。
自動運転ではホンダが世界で初めて自動運転レベル3を実現しました。もともとアイサイトでスバルのほうが自動運転は進んでいると見られてましたが、一歩リードされてしまった状況でしょうか。自動運転の実現に向けては安全、安心が重要なポイントとなりますので、安全という強みを生かして自動運転の開発に注力するとブランドが生きてくるでしょう。
日産
日産の場合は、電気自動車に完全シフトするのが自然な流れでしょう。それ以外にあまり道がないような気がします。
自動車メーカーの強みとは?
まず自動車の目的を改めて考えてみましょう。個人の自動車は日常の買い物や旅行に利用されます。商用だと配達など物を運ぶことが目的ですね。これだけ多くの移動が伴っているので、たくさんの移動データが収集できそうです。ここに価値を見出すのも良いですね。今でも渋滞データなどには活用されていますが、もっと趣味嗜好、物流の効率化などに生かせると思います。コロナの状況もあるので人流にも活用できそうです。
ただ、課題としては自動車のデータの場合は場所までは特定できても、それ以上の情報が推測でしか割り出せないのが難点です。
このあたりは自動車のデータではなく、他に適切なデータがあると思いますが、何のデータを活用するのが適切でしょうか? そうですね。スマホとかのデータを活用するほうが良さそうです。ではスマホのデータは誰が持っているかというと携帯電話キャリアが所持しています。このあたりは携帯電話とかのキャリアのほうが強いでしょう。今はスマホを1人1台肌身離さず持ち歩くので、自動車の移動データと同等以上のデータが収集できます。自動車と違って車1台分ではないので、より価値のあるデータとなるでしょう。あとスマホ毎に年齢、職業とかもわかるのもキャリアが収集しているデータの強みですね。
データ活用に関しても自動車メーカーは圧倒的な強みとはならないかもしれません。ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天と提携しておくのが安易に思いつく考えですが、すでに各社協業を進めているところでしょう。ただ、そのうちキャリアがスマホと同じように自動車を販売するような未来も考えられそうですね。ドコモ、KDDI、ソフトバンクでプリウスとか販売するようになると面白そうです。同じ自動車のプリウスでも契約するキャリアによって、利用できるデータに違いが出てくると、一気にデータ活用の推進が進んできそうですね。ただ、自動車メーカーとしてはあまり面白くない状況かもしれません。
結局、未来に向けて自動車メーカーはどうすればいいか?
簡単に思いつくことは述べてきましたが、「結局未来に向けてどうすればいいのか?」 に関してはまだまだ深堀する必要はありそうです。
自動車メーカーの未来は見えづらいということは改めて認識できました。方針転換も難しく当面は世の中の自動車業界の流れに任せることになるでしょう。環境問題がテーマの1つになりそうですが、どちらにしても自動車のコモディティ化は避けられないでしょう。
今のうちに、今まで培ってきた「自動車産業の強みは何か?」をじっくり考えるのも無駄ではないと思います。
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