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第3章(コラム)学校・授業の使い方

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私は高校1年生時に独学すると決めたため、学校の授業はほとんど聞かない選択をとりました。しかし、これは一つの方法であり、授業を聞く選択をしている方も多いかと思います。そこで、本コラムでは「学校、授業の使い方」について少しお話しようと思います。


何のために学校に行くのか

皆さんは何のために学校へ行っていますか。毎日朝早く起きて、徒歩や自転車、電車など利用し学校に向かいますよね。なぜ学校に行くのでしょうか。

「行かないといけないから!」「勉強するためにきまってるでしょ!」という声が聞こえてきそうです。

私は学校に行く目的は何でもいいと思っています。勉強するため、部活をするため、彼女や彼氏、友だちに会うため。何でもいいです。それより重要なのは、1日の多くの時間は学校で占めているという事実です。1日を思い出してみましょう。朝7時に起きて7時半に家を出発します。8時前には学校に到着して朝礼が始まります。そして怒涛の授業が続きます。16時半にやっと学校が終わった…と思ったら放課後には部活があります。ヘトヘトになりながら家に帰り、着くのは夜20時。つまり朝7時から夜20時まで学校にいるわけです。ということは、自由な時間は残りの3-4時間しかありません。1日のほとんどの時間を学校で過ごしています。従って、学校の時間を有効に使わなければ、毎日があっという間に終わってしまうのです。

学校の時間を有効に使う第一歩は目的を決めることです。だから最初に質問をしました。そして目的は何でも良いと言いました。なぜなら目的は変わっていくからです。高校1年生は学校に慣れること、友達を作ることを目的にして良いです。高校2年生の夏に好きな人ができたとしたら、全力でその子のために学校に行っても良いです。高校3年生は部活で最後の学年。大会で優勝するために全力をかけて学校に通っても良いのです。学校は勉強が全てではありません。もっと多くのことを学ぶ場です。とにかく目的を自分で設定し、達成するために全力を注ぐことが何より大切です。

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授業を有効活用できている人は少ない

さて、本書は勉強に関する本なので勉強を目的に学校に行くことを前提とし、お話します。学校で勉強が関わる時間は当然授業です。授業は学校や学年によって異なりますが一般的に1限50分。6~7限程度あるので、300分~350分。すなわち5時間から5時間50分授業があることになります。この時間を有効に使えば、学校の時間だけで5時間以上勉強していることになります。これだけ聞くと勉強は学校で十分ですよね。しかし多くの人は塾に通ったり、家庭教師を雇っています。学校以外の勉強があまりにも当たり前になっていますが、よくよく考えると少しおかしいですよね。

この事実は多くの学生が学校の時間を有効に使えていないことを示しています。皆さんは学校の授業を聞いているかと思いますが、全ての授業内容を理解できていますか。全ての授業に毎日ついていけていますか。きっと自信もって頷く人は少ないかと思います。

学校の授業時間を有効に活用できている人は少ないです。だから多くの人は塾や家庭教師を利用し、学校の勉強をカバーしなければならないのです。しかし1日の大半を費やす授業を上手に使わない限り、いくら学校以外の勉強時間を増やしても限界があります。従って、学校の授業時間は何よりも最優先で改善しなければならないのです。

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聞かない授業を選択しよう

次に授業中についてお話しましょう。皆さん、授業中は何をしていますか。「授業を聞いています」、「勉強しています」、「寝ています」、「ぼーっとしています」。なるほど。ありがとうございます。これらは「授業時間」を何に使っているか表しており、『意図的』であれば非常に有効な使い方をしていると言えます。

ここで『意図的』という言葉を頭につけてみましょう。「意図的に授業を聞いています」、「意図的に勉強しています」、「意図的に寝ています」、「意図的にぼーっとしています」。意図した行動には必ず理由が存在します。ある人はノートを全くとりません。その理由は先生の話を(授業を)最優先にし、集中して聞くためです。ある人は午後1番の授業で必ず寝ます。その理由は眠いのを我慢することで集中力が落ち午後全ての授業や放課後の自習が台無しになるのを防ぐためです。この人たちは勉強の中心に自分を置き、戦略的に授業時間を利用しています。一方、「学校の授業は聞くものだ」と思い込んでいる人もいます。この人達には「寝る」という選択肢はありません。授業を「聞く」選択しかなく、その理由は学校のルールだから。いわゆる思考停止状態です。さらに自分中心の勉強ではなく学校に勉強をやらされている状態にあります。

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どちらが今後成長するでしょうか。当然自分が主体となり勉強を設計している「目的をもって寝ている人」でしょう。やらされることなく、自発的に学習しているのですから。ここに授業を選択する意義があります。


授業を選択することで生まれる3つの効果

授業時間は「授業を聞く時間」ではありません。「授業を聞く」は選択肢の1つです。そう考えることで、3つの効果が生まれます。

1つ目に自主性が生まれます。
例えば、何もない一本道を歩くとしましょう。この道を歩くために何かを考える必要はありません。ぼーっとただひたすら歩けば前に進むことができます。そこに思考はいらないわけです。進む道は一つしかありません。だからその道を進む。しかし、これは自分が道を歩いているのではなく、道に自分が歩かされている状態です。

一方、目の前に二方向の道があるとどうでしょう。左に進む道と右に進む道。ちょうど分かれ道です。どちらかを選んで前に進まなければなりません。すると、人は考え始めます。左はどんな道なのか、どんな危険があるのか、何か新しい発見があるのか。右の道についても同様に考えます。そして決断します。左の道に進むぞ。でもまだ安心できません。「左でよかったかな」「右じゃなくてよかったかな」と不安に駆られながら恐る恐る前に進みます。常に考えながら道を歩きます。なぜなら自分が覚悟を決め、選んだ道だからです。何にも歩かされず、自らの足で歩きます。まさに自分中心の状態です。道に選択肢があったから自分中心になれたのです。勉強も同じです。授業時間をどう使うか。選択肢が多ければ多いほどその時々の状況に合わせ、考え自ら選択し前に進むことができます。この選択の繰り返しが自主性を育むのです。

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2つ目にリカバリーするチャンスを作れます。
学校の授業で勉強する量は想像以上に膨大で、スピードも早いです。優秀な学生でもどこかのタイミングで必ず理解できない部分が出てきます。学校が終わると部活があります。家に帰ったらヘトヘト。でも宿題があるので、理解できないところを曖昧にしたまま、なんとか終わらせます。翌日の授業ではまた新しい分野を学びます。理解が曖昧な部分が積み重なり、テストを迎えますが当然解けません。このサイクルを何回か繰り返し、最終的にその科目を苦手になってしまいます。

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どうすればよかったのでしょう。理解できないところが出てきた時に対処していれば、悪い流れを食い止めることができました。このタイミングは自分しか分からないので、自分でどうにかしなければなりません。家に帰ってから勉強し直してもよいですが、部活後で宿題もあり、疲れ果てた体と頭を前にすると現実的には厳しいです。ならば別の方法を考えましょう。それが授業を聞かず、理解を優先した勉強に「一時的に移行する」方法です。

理解できない状態で授業を聞き続けるほど効率の悪い行為はありません。悪影響を及ぼすだけです。そこで、授業を聞かない選択を自主的に決断しリカバリーする時間を作るわけです。躓いたところで一度立ち止まり、インターネットや分かりやすい参考書など利用して十分に理解します。何度か自分で勉強して授業に追いついたら、また聞き始めてもよいでしょう。こうしてリカバリーに授業時間を使うのも自分を中心とした良い学習と言えます。勉強を点でなく線として捉え、長期的な目線で捉えましょう。誰のためでもない。自分のための勉強です。そう考え、優先順位をつけ授業時間を利用するのであれば全く問題ありません。

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3つ目は苦手科目ができにくくなります。
苦手科目は理解できない所を放置した結果、問題集やテストで解けず「自分はこの科目ができないんだ」と苦手意識を持つことから生まれます。つまり苦手科目は実際に苦手、ではなく単に苦手意識をもっているだけなのです。苦手意識の芽は授業で理解できなかった時に芽生え始めます。この初期段階で芽を摘み取ることができれば、苦手意識を持つことはありません。当然、早ければ早いほど苦手意識の芽は簡単に摘み取ることができます。つまり芽生え始めた時が最も摘みやすいタイミングです。ということは、授業中に摘んでしまえば早いですよね。授業時間で苦手意識の芽を摘み取るのは非常に有効な時間の使い方と言えます。

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勉強は自分のためにするのであって、学校や塾や親のためにするものではありません。覚悟をもって授業時間を有効に使う決断を下さなければ最後に困るのは結局自分なのです。


授業中は覚えなくても、できなくてもいい。とにかく理解する

授業を選択する重要性について述べました。ではどのような基準で選択していけば良いでしょうか。結論を言うと「授業中はできなくても覚えなくてもよく、とにかく理解に努める。そして6割以上理解できる授業は聞く選択をし、2割程度しか理解できない授業は聞かない選択をする」です。第2章でもお話しましたが「理解」には自覚的理解(自分が納得する)と他覚的理解(人に説明して納得させる)の二種類あり、授業を選択する際は自覚的理解(自分が納得する)の割合を基準にします。

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もし授業を聞かないと選択した場合は、私と同じように独学をすることになります。一方授業を聞く選択をした場合もただ聞いていれば良いのではありません。授業は知識をインプットする(頭に入れる)ことであり、「できる」や「覚える」はアウトプットする(頭から出す)ことです。インプットとアウトプットは異なります。

従って授業を聞く(インプット)際は、できなくても良いですし、もちろん覚えなくても良いです。とにかく継続して自覚的理解(納得)に努めることが重要です。その上で自覚的理解(納得)できる所とできない所に分け、理解できない箇所に必ずチェックをつけましょう。これだけです。これ以上のことをする必要はありません。

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なぜなら、先ほど話したように理解できない箇所は苦手の種であり、放っておくと知らないうちに成長して取り返しがつかなくなるからです。そして学校の授業にはたくさんの種が落ちています(だから塾や家庭教師でカバーする人が多いのです)。即ち、授業は苦手意識をもつ原点となりうる危険な時間でもあるのです。従って苦手の種を見逃さないためにも、種の場所にしっかり印をつけ、種を摘む(理解する)復習へとつなげることが、授業において最も重要な作業です。

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以上まとめると、「授業は理解を基準に選択し、聞くと決めた授業では自覚的理解ができる所とできない所に分け、後者に必ずチェックをつけて復習につなげる」。これが授業の使い方です。

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