ニューバランスとジョブズと、時々ナイキ
3ヶ月ぐらい前、素晴らしい映画を観ました。
「AIR」っていう映画なんですけど。
これは閉鎖の危機にあったナイキのバスケットシューズ部門が、「AIR JORDAN」というアイデアをぶち上げて当時ルーキーだったマイケル・ジョーダンとの契約を勝ち取り、伝説への一歩を踏み出すという映画です。
これがもうめちゃくちゃ面白くて、映画館で3回観ました。ついでにフィル・ナイトの「SHOE DOG」も一気に読みました。そしてもう「AIR JORDAN」を買おうと決意し、友達と表参道に繰り出しました。破竹の勢いで試着しました。
そしたら全然似合わなかったんですわ。AIR JORDANだけ浮きまくってるんですわ。いや、ジョーダンだから浮いてるとかそんな冗談ではなく。は?
で、流石に買えないな〜と思って退散した帰り道、たまたまニューバランスのお店があったのでちょっと寄ったんですよ。そしたらなんか地味だし、ごちゃごちゃしてるし、全然かっこよくねーじゃん?って感じでさっさと帰ってきたんです。
時は流れ、昨日。
イチ推しYouTuberのRap EJがこんな動画をアップしてたんですよ。
え? ニューバランスの人気って復活してんの!?
てか ニューバランスって、人気あったの??
で、どんどん調べていったら、俺が敬愛してやまないあの師匠が愛用してたって話じゃないですか!!!
師匠!!!そういうことは言っといてくださいよ!!!
スティーブ!!!
どうやら、あのスティーブ・ジョブズは毎日ニューバランスを履いていたらしいんです。イッセイミヤケの黒ハイネックとリーバイス501までは知ってたけど、足元はちょっとマークしてなかった。「AIR」観るまではスニーカーなんて全然興味なかったから。
で、ニューバランスの「992」というスニーカーがiPhoneを発表した頃の彼のトレードマークだったらしいんですね。そしてその992は既に廃番になっていて、プレミアがついているんだそうな。
へー、俺も欲しいなー。プレミアかーそりゃそうだよな〜。
…なんて思ってたんですが、その時ふとジョブズの言葉を思い出したんです。それは彼の病状がかなり悪化しつつあったとき、後任のCEOを引き継ぐことになったティム・クックにかけた言葉です。彼は「スティーブだったらどうするか、とは決して考えるな」と言ったんです。
凄いですよね。Appleの人間だったら、スティーブだったら…って絶対考えちゃうじゃないですか。それを見越しての強烈なアドバイス。
でも、確かにその通りなんですよ。もし本当にジョブズが生きていたら、ジョブズはきっと誰よりも先進的な情報に触れて、さらに新しいことを考えていくでしょうから、きっと「我々が想像するジョブズ」は常に「実際に生きていた場合のジョブズ」の後塵を拝するんですよね。だから「スティーブだったらどうするか」と考えると、どんどんズレていくということなんじゃないかと思います。そのアドバイスをしっかり実行したティム・クックも素晴らしい経営者ですよね。
で、この話をニューバランスの話に雑に応用すると、スティーブ・ジョブズが今も生きていたら992を履いてないんじゃないかと思ったんですよ。後世の人間はプレミアつけてありがたがっているけれど、その想像もちょっとズレているのではないかと。
そしたら見つけたんですよ。こんなブログを。
このブログを書いた方は、彼の「ニューバランス歴」を丹念に追っていった結果、こんな結論に至ります。
ジョブズ愛に溢れる洞察ですね。こんな丁寧な言葉遣いをする方はきっと実際にお会いしても魅力ある方でしょうよ。
この結論をふまえると、992をめちゃくちゃありがたがるのはちょっとズレていて、真にジョブズとシンパシーを感じたいなら今売られている最新のニューバランスを買えばいいということになるんですね。
ただ、この「スティーブ・ジョブズが今も生きていたら最新のニューバランスを履いてるんじゃないか」説も、「スティーブだったらどうするか、とは決して考えるな」という掟に早速背いているという問題があります。
というわけで、俺は全てを忘れてアディダスを買おうと思います。
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番外編
ここからは蛇足なんですけど、Appleが最近Vision Proを発表したじゃないですか。あれには専門家から市井の方々まで色んな意見がありますけど、個人的にはあの発表を見てとても嬉しかったですね。Appleがジョブズ時代のようにNext Big Thingを生み出す気概があるという何よりの証ですから。
Vision Pro、ひいてはVision製品群やその競合製品は、これから5-10年で我々の生活をもっと楽しいものにしてくれるでしょう。エンターテイメントの楽しみ方やリモートでのコミュニケーションの在り方がガラッと変わり、それはまた新たな変化の波を呼ぶのでしょう。
あわよくば、その波に乗っかってなにか面白いことがしたいものです。
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