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大学教員公募の忘備録 第3話

私の研究分野は複数の分野にまたがっています。その分野をA、B、Cとします。私はA分野の学部教育を受け、大学院時代と学位取得後はB分野の研究を進めてきました。助教時代の教授もB 分野の専門家です。助教時代の後半は独自研究としてC分野の研究もはじめたところでした。以下の各公募ではその対象となる分野をA、B、Cで表記します。

3年目:本気で公募に取り組んだ転職期間

いよいよ学部長から直接、昇進がないことを伝えられました。いくら成果があっても、トップダウンの方針には逆らえません。せめてもの救いはパーマネントなので昇進はできないものの、定年まで万年助教として食いつなぐことはできるということです。とはいえ、私自身上昇志向は強いので自分の研究室を持ちたいという希望があり、いよいよ本気で公募に取り組むことにしました。そんな3年目です。

16校目:地方大規模私大(書類落ち)
募集分野はA分野。この公募は今までの中で唯一引っ越しをしなくても良い自宅近くにある大学だった。また12校目の先生から推薦書の協力もいただき、本気で取り組んだ大学のひとつである。
しかし応募から1ヶ月後に郵送でお祈り文書が届く。翌年、着任した人を確認すると私と研究分野が近く、決して分野違いによる落選ではないことを知る。その中で敗因を探すと、前任校との繋がりを不必要にアピールしすぎたことではないかと思う。この辺りはノウハウ編で詳しく考察したい。

17校目:首都圏工科系私立大(書類落ち)
募集分野はA分野。引き続き12校目の先生の推薦書をいただく。締め切りから1ヶ月程度でお祈り文書が郵送で届いた。やはり分野違いなのか・・・という疑念が頭をよぎる。

18校目:首都圏工科系私立大(書類落ち)
募集分野はB分野。応募がネット上で全て完結する素敵な大学だった。B分野の応募は記念すべき1校目以来なため、書類(教育・研究の抱負)も半分くらい描き直す。応募から1ヶ月半くらいでメールにてお祈り文が届く。

19校目:首都圏大規模私立大(書類通過)→1次面接(通過)→選考辞退
募集分野はC分野。締め切りから10日後にメールで面接の連絡が届く。連絡の10日後の日曜日に面接日が指定された。これまで面接と異なり、研究成果などスライドを用いたプレゼンテーションがなかった。その代わり、専門外の先生にも研究内容のわかりやすい説明を口頭で行う必要があり、事前に十分な対策を行った(スライドを使わないことは事前のメールで通知されていた)。面接はC分野の学科の先生のみで、ほぼ全員が参加していたと思う。面接翌日に電話で次の選考(理事長面接)に進むことを告げられた。また理事長面接の対象者は私1人であることも暗にほのめかされ、実質的な内定と確信した。
しかし理事長面接前に20校目の内定が出てそちらを受諾することとなり、理事長面接は辞退することなった。

20校目:首都圏大規模私立大(書類通過)→面接(内定)→内定受諾
募集分野はB分野。締め切りの2週間後にメールで面接の連絡が届く。面接連絡の2週間後に面接。B分野の面接は初めてのため、受け答えが多少心配だったが、問題なくこなすことができた。B分野の教員に加え、学部長、副学部長も臨席していたとのこと(面接会場にいた人数が多く、当時は全く気付かなかった)。面接の3日後に内定の通知がメールで届く。教授会や理事長面接も通っていない段階なのに内定を出すのはすごいと思ったが、逆に現場の力が強い大学ということなのだろう(実際は内々定通知なのだろうが、採用まで選考委員長が責任を持つということなのだろうと理解)。学部長と副学部長が実際に面接に参加し、候補者を見極めた上なら教授会・理事会を通すのに支障ないということか。内定なので現任校の上層部には異動することを話しても良いとのこと(ただし、さすがに教授会を通るまでは報告を自粛した笑)。いずれにしてもこの最短内定によって私はこの大学に着任することになった。

21校目:地方小規模私立大(書類落ち)
募集分野はA分野。締め切り後に私のWebページに最も多い回数アクセスしてくれた大学である(仕込んでいたアクセス解析で判明)。締め切り1ヶ月後にお祈り文が郵送で届く。しかし本公募は再公募となった。やはり分野違いではあったものの、最後まで私を面接に呼ぶかどうか迷っていたのだと思う。

22校目:地方国立大学(書類落ち)
募集分野はA分野。募集締め切りから3週間後にお祈り文と共に応募書類一式が書留郵便で届く。書留で書類を返送して頂いた大学は初めてであった。ただし締め切りの1週間後に19校目の実質内定が出ていたため、面接に備えた事前対策はまったくやっていなかった。

3年目は一番最初に内定を頂いたところに行くと決めていた。もし20校目の内定通知が遅かったら19校目に着任していた可能性が極めて高い。教員公募を行う大学は最短での内定通知についてぜひ参考にしてほしい。


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