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お風呂はお風呂のために

窓を開けて電気はつけず、床に寝転んでいた。何をするでもなく時間を過ごし、お風呂に入ろう、そう思った。

仕事を始めて1ヶ月。家に帰れば、明日もまた仕事へ行くために残りの今日を過ごさないといけない。まずは手洗いうがい。米をとぎ炊飯器の予約をする。お風呂に入ったら今日の仕事着と脱いだ服を洗濯。その間に風呂掃除。ちょうどよく洗濯が終わり、干した後は風呂場を拭き上げる。終わる頃にはご飯が炊けるいいにおい。

効率のいい生活をすればするほど、今している何かは次の何かに繋がっている。今していることは、次の何かのため。次の何かを思いながら今のことをする生活に、疲れた。

お風呂に入るのは、お風呂に入るため。洗濯をするのは、洗濯をするため。お風呂の次の洗濯、洗濯の次の風呂掃除のための今ではない、今のための今を過ごしたい。

障害のある未就学児の通う幼稚園のようなところが私の職場。子どもたちに、立ちましょう、歩きましょう、座りましょう、と言っている。子どもたちはそれを拒む。しかし、ふとした瞬間に動くことがある。寝転んでいるうちにお風呂に入ろうとふと思ったあの瞬間、その瞬間が、子どもが立ったあの瞬間、なのかもしれない。

それでも毎日は明日に繋がっているから、明日のためのお風呂に入るしかない。せめて金曜日の夜くらい、お風呂のための、お風呂に入る。

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