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【読書】言語学バーリ・トゥード Round1  AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか

 つづかない……正確な自己分析による予言的記事を書き、そこからはや3ヶ月。
けっしてnoteの存在を忘れたわけではなく、ただ生きているだけで磨耗しつづけ、ウマ娘。を周回していた結果が、秋。今日である。
その間、コロナのニュース、ワクチン予約、仮想通貨のチャート、ウマ娘の今日のノルマ、スマホの画面に触れるゆびの指紋が、日々の家事と育児と仕事とキータッチとスワイプと、そういうものでどんどんすり減っていき、本をめくるにはかっぴかぴになりすぎていた。たぶんそういうことなのだ。
 積ん読のなかから、本日の一冊。ジュンク堂にならぶ表紙を見た瞬間の直感。上島竜兵とサブタイトルのインパクトもさることながら、なによりこのタイトルがすごい。言語学バーリ・トゥード。お恥ずかしながらバーリ・トゥードの意味を知らなかったのだが、なんだかバーフバリを連想させるエキゾチックさ(勝手にエンタメも期待)、高尚かつ学術的な概念に触れているかのこの響き、なにより「トゥー」ですよ。口をすぼめて「トゥー(ドゥッ)」って言っちゃった。
 そんな期待をあざやかにすり抜ける、フリースタイルな文章群。にやにやしながら読む。
 これはこんな本だ、わたしはこう思った、こういう点がおすすめである、と書いていくための場所がこのnoteなわけだが、それがつづかないまま3ヶ月経つのは、本音をいうと、言葉をならべる怖さ(と緊張)に手がとまるのが、1番の理由なんだと思う。さらにいうと、ぼんやり考えたことを言語化、文章の流れにした際に、誠実に過不足なくならべようとすると、正直面倒くさく、でもそこの手を抜くと奈落の底へまっさかさまな感じもしておっかない。
 この本の作者の川添さんは、その怖さを熟知していらっしゃり、掲載された短いエッセイそれぞれの、言葉のコントロールに大変神経を使っている。その点はご自身でも、文章中の「カギカッコ」の多さに触れ分析されている。それでいて「ありとあらゆる種類の言葉を知って、何も言えなくなるなんて、そんなバカな過ちはしないのさ」と、ちょうど良いいい加減さで言語学のトピックスに触れ、読者に対しいろんなポーズを見せつつ、興味の扉をあけてくれる。
 あえて言うと、プロレスネタがほぼ分からない(けど巧みに読ませるスキルがすごい)のと、一つ一つのエピソードや登場する人物が、知識としては知っているけど自分は当事者じゃない感(すこし上の先輩の面白エピソードを聞いている感)で、爆笑はできないのだが、とか言いつつ自分も初期の小沢健二の歌詞になにかと託してみたりして。
 最後にnoteで注はどうつけるのだろう。きちんと調べてこの本に頻繁に登場する「STO先生スタイル」をオマージュするまでがセットでしょ!って頭ではわかりつつ「正直面倒くさい」のでカギカッコで察してください。


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