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1企画50本!とにかく提案し続ける。好きなことを仕事に変える方法(#003:モノづくり大好きプランナー・小池恭平さん)

「PENGUIN GARAGEの生態図鑑」3人目は、ふるさとの岐阜でモノづくりに関する事業を行っている小池恭平さんです。

メンバープロフィール:小池 恭平/モノづくりプランナー
出身:岐阜県
好きなこと:スポーツ、BBQ、お酒
お仕事:ものづくりに関する営業・企画・PM
自分を一言で例えると:チャレンジャー

異業種からモノづくりの世界へ

はじめまして、小池と申します。

いまは出身地の岐阜県で、モノづくりに関する営業や企画とかプロジェクトマネジメントとかをやっています。

といっても、実はいままで仕事でモノづくりに携わってきたわけではありません。もともと電気工事の設計士をやっていて、フィリピンに行ってみたり、そのあとはレディースアパレルのショップを立ち上げてみたり、いろいろな失敗も重ねてきました。

自分に何ができるか模索するなかで、実家が金型工場ということもあり、モノづくりと何かを掛け合わせると面白いことができるんじゃないかと思って、現在の「モノづくりプランナー」という立ち位置に至りました。

私たちの会社では、モノづくりの受託開発とか製造、いわゆるOEM事業と、アウトドアブランドの企画から販売までを担うメーカー事業を行っています。

メーカー事業としては「地元の町工場で始めたモノづくり集団」という特色を活かして、8社から9社の町工場の人たちと一緒に、岐阜の職人技術を掛け合わせて面白いものをつくろうと!という感じで運営しています。

伝統、IP、趣味。持っている資源を掛け合わせる

集めて掛け合わせる。その何が面白いかというと、「素材×技術×伝統」ですね。

モノづくりって設備に依存することが多くて、機械もすごく高いので、単独でやろうとすると大変なんです。それが、それぞれ特色のある町工場が集まることで、いろんなものに挑戦ができるようになるんです。

あと、地域性の高い伝統技術を掛け合わせることによって、ストーリー性が高い製品開発ができるんです。

いま、新たな「掛け算」を目指して挑戦中のものでいうと、まずは「伝統工芸×海外市場」です。

私自身、知識も経験も全然ないので、一からモノをつくり出すことは難しい。そうしたらやっぱり、いろんなものを掛け合わせるしかないんじゃないかということで、ひとつ目に思いついたのが「日本の伝統工芸」、そして「海外市場」です。

僕の地元の岐阜県関市は刃物で有名な町なので、日本の刀匠がつくるナイフを海外で売ってみようということで、今年の5月からアメリカで販売を始める予定です(※現在、販売中)。

次に、「モノづくり×知的財産(IP)」。

アニメなどのIP製品を掛けたら面白いものができるんじゃないかなということで、ある有名アニメのサブライセンスを取得しました。私が漫画好きだからという面が大きいのですが(笑)IP製品と未開拓かつ親和性の高い市場を掛けたら、何か面白い展開になるんじゃないかなと目論んでいます。

それから、「趣味×IoT」。趣味領域のハードをIoT製品化したらどうなるんだろう、と。

IoT技術の知見は全くないんですけど、伝統工芸のストーリー性の高い製品を現代化したいと思い、東芝テクノロジーが運営する「ifLinkオープンコミュニティー」に入っています。200社ぐらい入っているコミュニティなんですけど、なぜかトップランナーとして、コミュニティ内のファーストプロダクトをつくろうとしているところです。


リスペクトしているからこそ大事な”ケンカ”

モノづくりって、職人に対しても買い手に対しても、「誰が・何を・どのように伝えるのか」っていうことがすごく重要なんですよね。モノづくりの知識と経験がないと誰も共感をしてくれないですし、それに開発できる人に対して私自身ものすごくリスペクトを持ってるので、職人さんたちに対して「いや、こうしましょう」みたいな別角度からの提案をしづらいということを感じていて。

私の場合は兄がモノづくりの職人なので、兄を介して仕様だけでなくてコスト面とかの相談もできるようになってきました。その分よくケンカになりますが、ぶつかれる相手をつくることも大事だと思います。

営業から開発へ、役割をスライドさせていく

あと、営業と開発、両サイドの知識と思惑が大事だと実感しています。

事業開始時はモノづくりの知識がないので、開発は丸投げして営業ばかりに集中してたんですけど、まだまだ小さな企業なので、結局は自分で営業して、その後そのまま自分がプロジェクトマネージャーになるんですよね。

そうやって役割がスライドしていくことがほとんどなので、営業だけじゃなくて開発側の知識とか思惑をちゃんと理解して全体像を描いていかないといけない。ひとりで営業しているときって躍起になってしまうので、開発を意識できてないと大変なことになるんですよね。

補助金を活用するのもおススメです。ちょっと手間だとは思いますが、挑戦の幅がぐっと広がるので、定期的に補助金をチェックしておくといいと思います。地域によっていろいろな補助金がありますからね。

好きなことを仕事に変える方法

これは持論なんですが、趣味とか好きなことを仕事に変える方法というと、提案が全てなんじゃないかなと思っています。

お客さんのニーズをヒアリングすることも大事ですが、やっぱり自ら提案し続けることで開けてきたように思います。

私は1社につき50個ぐらい企画を出すことがあります。それを月に10社分とか。時給いくらなんだよっていう働き方かもしれないですね。

でも「やりたい!やりたい!」って言い続けていたらやらせてもらえたという感じ。IoTのプロダクトも「つくりたい!つくりたい!」と言い続けていたら、周りがどんどん協力してくれていって。

「やりたい!」って言って提案し続けて、人を巻き込み続けて、そして協力してくれる人を裏切らないように頑張る。そうやって僕はモノづくりを続けています。

【編集後記】

ひとりブラック企業化していくというのは、フリーランスあるあるだと思います。営業から制作まで自分で担い、土日も関係なく働く。声がかかる仕事は断らない。「やりがいがあるから乗り越えられる!」という方もいるかもしれませんが、どこかのタイミングで心身に無理がくるときがくるものですよね。

小池さんの「提案し続ける」というのは、フリーランスにとってひとつの生き延びる術だと感じました。下積みとしてクライアントワークをひたすらやって、信頼を得てから自ら提案するというプロセスではなく、まずは「やりたい!やりたい!やりたい!」と周囲に言いまくる。それによってやりがいも生まれるし、応援者も生まれる。実績はあとから付いてくる。

知識や経験はなくても、何なら才能やセンスがなくても、好きから始められる。背中を押してもらった気分です。


取材・執筆:廣畑 七絵


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