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展示会ブースの基本構造とは?|「木工」と「システム」の違いについて

展示会ブース|2種類の構造

これから展示会に出展する、展示会ブースをこれから考える、という出展者の皆様のために、まずは展示会ブースの構造、つくりはどんな種類があるのか、ということについてお話ししておきましょう。
展示会ブースの構造は大きく分けて「木工」と「システム」の2種類に分かれます。「木工」ブースは文字通り木をベースに壁紙を貼って作られたブース。一方で「システム」ブースとは、金属等のあらかじめ準備された様々なパーツを組み合わせてつくるブースのことを指しています。

木工ブースの特徴は?

木工ブースは、その名の通り、木でつくられたブースです。大工さんが事前に木工でブースを製作し、現地で最終的に組み上げます。その上から壁紙を貼り、さらに言葉や写真などの貼り込み、その後照明をつける、という流れです。当社のブースは基本的にこの木工でできています。木工の良さは、寸法や形状を自由にできることで、表面に壁紙を貼ることで、見栄えもかなり良い印象にすることができます。ただし、費用的には高くなる傾向があり、展示会が終了すると、廃棄しなければいけない部分も多くなる、といったデメリットもあります。木工ブースで用いられる壁紙は、表具と呼ばれる展示会ブースに使われる専用の壁紙となります。住宅や店舗などで使用されるビニルクロスとは異なり、色数や柄などはかなり限定されたものとなります。

まず、木でブースの形状を作り、その後壁紙を貼っていく
木工によるブース木材をベースにして、壁紙を貼り、文字・グラフィック関係(サイン関係)の掲示を行う
木工のブースは、デザイン性が高く、寸法的な自由度が高い反面、費用は高くなる傾向にある。

システムブースの特徴は?

一方、システムブースは、あらかじめ準備された金属系のパーツを組み合わせてブースを構成するものです。施工が比較的に簡単で、使いまわすことができますので、費用的に安くすることが可能ですが、反面、何度も使っていることから各部材にはどうしても細かな傷がつくことになります。このことだけを取り上げると、システム部材はあまり良くないものなのだ、と捉えてしまうかもしれません。ですが、実際にシステム部材のことを知っていくとその「可能性」に展示会ブースの未来を感じることができます。
システム部材、というと「オクタノルム」というドイツのシステムが有名で、多くの展示会で世界的に使われています。柱材や梁材など、様々なパーツがあってそれを組み合わせることによって、壁面や展示台など様々なものを作ることができます。(本稿最下部にリンクあり)
日本の展示会では、オクタノルムなどのシステム部材は「安価」で「施工性の良さ」のみが強調され、重宝されている傾向にあり、本来有している「デザイン性」などの側面はこれまでほとんど強調されることはありませんでした。これは、日本の展示会ブースの「デザイン面」が海外展示会ほど重要視されていない、という業界全体の課題が関係しているのでは、と個人的には感じています。
木工ブースに比べると、システム部材は良くない印象を持たれる傾向がありますが、最近では、一般的なシステム部材の他にも様々なシステム部材が出てきたため、印象の良さなどは工夫次第で木工と同等かそれ以上の印象を作り上げることは可能です。環境面への配慮も含めて今後もますます使われるべき構造なのですが、そのためには、日本におけるシステム部材の使い方などの慣習や根本的な概念を変えていく必要があるのかもしれません。

システム部材によるブース。主催者による基本パッケージブースとして取り入れられることも多い。
日本において、システムブースは「安価」と「施工性」のみが強調(重視)される傾向にある

どちらの構造が集客しやすいのか

では、上記どちらの構造のブースが「集客しやすい」のでしょうか。木工によるブースはシステムのブースに比べて「見た目の印象」は明らかに作りやすくなります。(ただし、先述のようにシステムブースデザイン的な印象を挙げることは可能です)。
一方で「集客」の成果は?となると、システムブースでも木工と同じように集客の成果を出すことは可能です。別記事でお伝えしましたが、集客を達成するためには、最小限の「基本3原則」をブースに反映する必要があることをお伝えしましたが、それはシステムブースにも反映することは可能だからです。基本3原則。つまり「何を扱っているかを掲示する」「通路際を活用する」「立ち方・待ち方を工夫する」。この3点をブースにしっかりと盛り込むことで、ある程度の集客は見込むことが可能です。加えて、照明の選択と当て方によって、ブース内を明るくし、商品の陳列をしっかりと整える。これにより、十分に集客効果を出すことは可能なのです。
ですので、見た目の印象の作りやすさを除くと、木工ブースでもシステムブースでも、集客を実現させることは十分にできる、とお考えいただいて大丈夫です。

ブースを構成する素材

 次に、これらの基本構造部材の他に展示会ブースで頻繁に使用される素材系の話をしておきましょう。まず、床ですが、展示会では一般的にパンチカーペットという素材を使用します。よくエレベーター内の壁に取り付けられているフエルトに似たもの、と言えばイメージが付きやすいかもしれません。そんなに色数はありませんが、比較的安価で施工可能であるため、展示会では多く使われています。木目等のテクスチャーのある床にしたい場合には、建築で一般的に使用されるCFシート(クッションフロア)という素材を使用することもあります。素材として軽量で加工がしやすいため、木目調だけでなく石目調や柄の入ったものなど、単色のパンチカーペットではブースのイメージが作りにくい場合などに使用します。ただし、費用的にはパンチカーペットに比べて高くなりますので、使用に際しては全体的なコストを考えた上で決めるようにします。また、ブースに使われる照明器具も、店舗などの商業施設とは異なります。展示会における照明器具は基本的にレンタルとなり、あまり選択肢は多くありません。照明については、ある一定の種類の中から照明器具を選定し、使用することとなります。店舗空間で使用する照明器具を利用したい場合、出展社自身で購入して展示会ブースの電気工事担当者に取付けてもらう必要があります。

展示会の床材はパンチカーペットが主流(通路との境には「への字」という見切り材を使用)


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