次男の誕生と、結婚指輪をなくしてしまった話
いま私にできることってなんだろう?と考えたときに、最近あった明るいニュースをシェアすることかもと思ったので、書きました。
・2020年5月11日、次男誕生。
予定帝王切開のため、前日に入院したはなちゃん。ここからお店は産休を取って、ぼくと長男とふたりきりの生活がはじまった。
この夜には270回以上『さみしいさみしい』と布団の中で連呼しながら涙を流し眠りについた長男。
そして彼は出産当日の朝、いきなり
『今日は自分の自転車で保育園まで行く!』と宣言。早朝から4km弱の道のりをストライダーで走破するのにつきあうことになった。
途中にあるお気に入りの消防署。たまに消防士さんが手をふってくれる。
朝からの手術だったので、保育園から病院までダッシュ!
はなちゃんと顔を合わせたのは、手術室まで歩いた3分間。あとは家族待合室で本を読んで過ごす。待っていたところに、次男を抱いた看護師さんが来てくれて、生まれた次男を抱かせてくれた。
2分後、次男を抱いて看護師さんは部屋を出た。
しばらくしてぼくは執刀してくれたお医者さんの説明を聞いてすぐに病院を出た。出産した病院は地域の医療を担う大病院。3日後には、はなちゃんが他の産婦人科へ転院することも決まっていた。
・2020年5月18日、結婚指輪をなくす。
産後、転院したはなちゃんが病院を出られず、低血糖と黄疸でNICUに入った次男にぼくひとりで会いに行っていた。
家族控室のロッカーに携帯ふくめて全ての荷物を預けて施錠し、NICU入り口で指輪を外して、ポケットに入れ、手を洗い、体温を測って、体温計を消毒してから入室という流れ。
次男の転院当日も、はなちゃんとふたりで同じ手順で入室し、次男の退院手続き。担当医さんの話を聞いて、看護師さんから説明を受けた。
もろもろの手続きを終えて、荷物と次男をふたりで抱えて、病院の入り口からタクシーに乗せてもらって転院先の病院へ。転院先でもぼくは病院に入れなかったので、入口まで。そのまま昼下がりの市電に乗って市役所に出生の手続きをしに行った。
手続きが終わって、あ、そういえば指輪はずしたままだったとポケットに手をいれて『ん?』となった。
指輪がない。
一気に血の気が引いた。
市役所の中を探して、
タクシー会社に電話をして、
市電の事務所に電話をして
NICUに電話をして、
転院先の病院でも探してもらった。
どこからも出てこなかった。
指輪をなくした、とわかってすぐ入院しているはなちゃんにLINEを送った。
転院先の病院では、はなちゃんが自分であちこち探してくれた。
それでもなかなか見つからなくて落ち込んでいた時はなちゃんがLINEをくれた。
『もし見つからなかったら、また一緒に指輪作ろう』
『一番へこんでるのはろくちゃんだよね。だいじょうぶ?』
胸が熱くなった。
なんで大事な指輪をポケットなんかに入れたんだ、と後悔して下を向いていたから。
そもそも指輪じたいを大切に扱ってなかったからじゃないか、と落ち込んでいたから。
・指輪をなくした、その後で。
2日後の5月20日に、はなちゃんと次男が無事退院。長男とふたりで過ごした10日間がおわった。
指輪をなくしてしまった日、ぼくは東京にあるジュエリースタジオの方に連絡を入れていた。
ぼくらが自分たちで結婚指輪を作るために何度も通ったスタジオ。世界一周から戻った時には磨き直しもしてもらった。
すぐに返事を返してくれて、
しかもあたたかく励ましてくれて。
夜中にほんと申し訳ありませんでした。。。
指輪がなくなって、左手の薬指にはずっと違和感があった。
ぼくは左手の親指で結婚指輪を触るクセがある、ということに改めて気づかされた。
気持ちが沈むというわけではないが、親指で薬指の根元を触るたびになんともいえないさみしさがあった。
・2020年6月1日のこと。
産休も終わり、お店を再開して、またいつもの毎日が戻ってきた。
・・・なんてわけはなく笑
次男がいることでまた家族の生活がリニューアルされていっている。
次男のおっぱいとおむつと睡眠のはざまで、どんどん疲れていくはなちゃん。出来る限り家族が一緒にいられるようにスタッフみんなに協力してもらってなんとか乗り切っているという状態の毎日。
ものすごいスピードで過ぎていった2週間。
そして6月1日の朝、いつものように自転車で長男を保育園に送っての帰り道、はなちゃんから携帯に電話がかかってきた。普段この時間にかかってくることはほとんどない。
『ろくちゃん!!!』
朝からやたらとテンションが高い。明らかにおかしい。
『見つかったよ!!!』
ん?なにが?理解が追いつかない。
『指輪!指輪が見つかったんだよ!!!』
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うそーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
どこでどこでどこでどこで?どこにあったの????
『タクシー会社から電話があって、車から出てきたって!』
すぐ運転手さんに電話して、受け取りにいった。
笑顔の運転手さんに御礼を言って、指輪を薬指に。
そしてその場で写真を撮って、はなちゃんにLINEを送った。
そしたらはなちゃんからも自分の左手の指輪の写真が送られてきた。
この人と結婚できて、ほんとに幸せだとあらためて思った。
子育てしてる大人たちが心からリフレッシュできる飲食店を作っていきたいと思っています。応援してくれたらとってもうれしいです。