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第2回:Web解析の基本的な指標

第2回は、①アクセス解析を可能にしているインターネット技術の基礎についてと、②ウェブ解析の基本的な用語や指標について、【改訂版】Web解析士認定公式テキスト2020から要点をまとめた内容を記載したいと思います。

参考文献:【改訂版】Web解析士認定公式テキスト2020
ちなみに第1回は、Web解析士のお仕事についての要点をまとめて説明しておりました → 第1回:Web解析士ってどんな仕事?

1、サイト表示の仕組みについて 

まず、ウェブの仕組みとしてですが、GooglechromeやFirefox、Safariなどのウェブを閲覧するソフトウエアを「ウェブブラウザー」と呼びます。そのウェブブラウザーに対して、このサイトを見たい!という「リクエスト」をウェブサーバーに対して行います。そのリクエストに対して何らかの「レスポンス」が帰ってくることで、その結果のページが表示されるという仕組みになっています。

このウェブサーバーとのやりとりを自動的に記録したファイルを「アクセスログ」と言います。ウェブページや画像ファイル、JSファイル、CSSファイルなどをリクエストした履歴も含みます。

2、アクセス解析のローデータについて

アクセスログファイルは、解析ツールなどで加工されていない状態のデータということから「ローデータ」とも呼ばれます。ローデータには、1回のアクセスで1行、アクセスされた順に下記のような情報が記録されます。

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上記のアクセスログ情報の種類や順序は、ログフォーマットと言われる書式で保存されるのですが、それは2種類のパターンがあります。

Common Log Format:世界中で最も使われているウェブサーバーソフトウェアである「Apache HTTP Server」で使われているログフォーマットです。次のような項目が記録されます。サーバが情報を収集できなかった項目は「-」で埋められます。

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Combined Log Format:Common Log Formatに、ユーザーエージェント(OSやウェブブラウザーの種類)と参照元(リファラー)情報を追加したフォーマットです。最近では、アクセスログには、この「Combined Log Format」を使うことが一般的です。

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上記以外のログフォーマットについては、W3C拡張ログファイル形式や、IISなどがあり、そこには下記のような項目が含まれています。

リファラー(参照元)

IPアドレスとホスト名

パラメーター

ステータスコード

代表的なコードとして、200:正常にリクエストが受けつけられた/307:リダイレクト/403:リクエストされたコンテンツへのアクセスは禁止されている/404エラー:コンテンツが存在しない)

ユーザーエージェント

クローラー

転送容量


3、アクセス解析でよく使う4つの視点

アクセス解析ツールでは、ログデータを解析しやすいように、集計や絞り込みができるようになっています。そのために使われ視点が、下記の4つです。

①ディメンション:データの項目です。日別やページ別、流入元別といった、データを集計するときの項目です。AAでは、指標の内訳を表示する項目をディメンションと呼び、デフォルトで取得できる項目のほか、「コンバージョン変数(eVer)」や「トラフィック変数(Prop)」もディメンションと呼ばれます。

②メトリクス(指標):データの指標です。ページビュー数や直帰率、滞在時間といった数値や合計、平均や割合、状況を把握したり評価したりするための指標となる項目です。AAでは、コンバージョンとして認定されているeventsの設定や売り上げ金額や売り上げ個数といったものもメトリクスとして扱われます。

③セグメント:データとして記録されるユーザーの行動を特定の条件で絞り込む機能です。GAでは、セグメント条件を一度に適用させる場合を「条件(condition)」、「昨日Aページを見て、そのあと今日はBページを見た」というような行動の順番を考えたセグメントをかけるときを「シークエンス(sequence)」と呼びます。

④フィルタ:特定の条件に合致するデータを含めたり、除外したりして集計するための機能です。GAの「アドバンスフィルタ」は、表示データをその場で一時的に絞り込むことができる機能で、通常のフィルタのように他のページに遷移したときに、その絞り込み条件は適用されないことに注意です。


4、オウンドメディアに関する指標

オウンドメディアの指標は、主にアクセス解析ツールを使って調べます。そこでよく使う指標は次で説明するものです。

1. ページビュー数(PV):ページの閲覧数。PVは、サイトの規模を表す指標として用いられます。大手のポータルサイトでは月間PV数が数十億〜数百億にもなっていて、広告などを出稿する時に媒体としての集客力を表す指標としても活用されています。

2. セッション数(訪問数/Visit/訪問回数):ウェブサイトにアクセスしたユーザーが、サイト内を閲覧し、離脱するまでの一連の行動のことです。一定時間(ほとんどが30分)をすぎた場合や、日付をまたいだ時は、セッションが切れます。その設定はツールによって変更することができるので、場合によってはセッションの定義を変更し、分析し直すことも可能です。

3. 新規セッション率:全セッション数のうち、初めて訪問したユーザーのセッション数の割合のことを指します。

新規セッション率(%) = (新規ユーザーのセッション数 ÷ 全セッション数) × 100

4. ユニークページビュー数(ページ別セッション数/ページ別訪問数):同セッション内で同一ページを複数回見ても、重複してカウントしないページビュー数を指します。

5. ユーザー数(訪問者数/UU/Visitor):一定期間にウェブサイトに訪れたユーザーの数のことです。基本ウェブブラウザー単位でユーザー数をカウントするため、SPとPCで別々のデバイスで同じページを見たときは、それぞれカウントされるということです。(何故ならCookieによってユーザーを認識しているから)ただ、サイトのログイン機能を活用して、設定上で「User ID」を利用すれば、違うデバイスだったとしても同じユーザーとしてきちんと認識することができます。

6. 新規ユーザー率(NewVisitor)/リピーター率(ReturningVisitor):新規ユーザー率は、全ユーザーに占める新規ユーザーの割合を指し、リピーター率は、全ユーザーに占める再訪問によるユーザーの割合を指します。それぞれ合計したら100%になるということです。

7. 直帰数・直帰率(≒Bounce):直帰とは、サイトの入り口となった1つのページ(LP)だけを見て、他のページへ遷移せずにサイトから離脱した行動を指します。直帰数はそのセッション数で、直帰率はその割合です。

サイト全体の直帰率(%) = (直帰数 ÷ セッション数) × 100
ページごとの直帰率(%) = (ページで直帰した数 ÷ 閲覧開始数) × 100

8. 離脱数・離脱率:ウェブサイト外への移動やウェブブラウザーを閉じるなど、サイトを離脱する行動やセッションが切れる行動を指します。つまり、直帰は離脱に含まれます。一般に、離脱数はページごとに判断し、該当ページを最後に離脱したPV数を指します。離脱率は、該当ページにおけるPV数と離脱数の割合です。

離脱率(%) = (離脱したページビュー数 ÷ ページビュー数) × 100

9. 平均ページ滞在時間・平均セッション時間:計測対象をユーザーがどのくらいの時間を見ていたかを指します。

10. ページ/セッション(ページパーセッション):1回の訪問あたりのPV数のことです。一般に、ウェブサイトに訪れたユーザーの興味関心度合いを表す指標として使われ、「訪問別ページ数」「平均ページビュー数」とも呼ばれます。

11.コンバージョン数:ウェブサイト運営の目的を達成することや、ユーザーが行う特定のアクションを指します。

12.コンバージョン率:ウェブサイトの全体のセッション数のうち、コンバージョンを達成した数の割合を指します。ウェブサイトに100件の訪問があり、そのうち10件がコンバージョンした場合、CVRは10%です。

コンバージョン率(%) = (コンバージョン数 ÷ セッション数) × 100

13.ヒット数:ページに関連するファイルも全部まとめて、ウェブ解析ツールにデータを送信している数のことです。データの処理量に比例するものなのでサーバー負荷と連動しやすいのが、ヒット数の特徴です。


5、広告に関する指標

次は、インターネット広告効果に関する指標の代表例です。

1. インプレッション数:広告効果想定において、インターネット広告が表示された回数を表します。広告が1ページに複数ある場合は、インプレッションは広告の数だけカウントされるため、PV数より多くなります。

2. リーチ数:広告を表示したユーザーの数を指します。計測はユニークユーザー数単位となります。

3. クリック数:バナーやリンクをクリックした数となります。一般的には、セッション単位でカウントします。

4. 広告費用:広告にかかった費用のことです。インターネット広告では、インプレッション課金やクリック課金が主流です。

5. CPM(Cost per M / Cost per Mille):広告掲載料金の単位の一つです。インプレッション1000回あたりの料金を表します。インプレッション単価、imp単価とも言います。

6. クリック率(CTR):ウェブページ上に広告が表示された回数のうち、広告がクリックされた回数の割合のことです。

CTR(%) = (クリック数 ÷ インプレッション数) × 100

7. クリック単価(CPC):広告の表示によって得られるユーザーのクリック1回あたりのコストを表す指標です。CPCは、Cost per clickの略。

CPC(%) = 広告掲載費用 ÷ クリック率(CTR)

主に広告掲載後の効果測定時の指標で、クリック単価はサイト訪問者獲得単価と考えることができます。リスティング広告や一部のディスプレイ広告は、最初からクリック単価で買い付けができることから、「PPC(Pay per click)広告」とも呼ばれます。

8. 顧客獲得単価(CPA):コンバージョンなど商品購入や会員登録などの利益につながる成果を1件獲得するのに費やすコストのことです。CPAは、Cost per Actionの略です。

CPA(円) = 広告掲載費用 ÷ コンバージョン数

9. ROAS(広告費用対効果):広告の費用対効果を表す指標の一つで、広告費用に対して得られた売上金額の割合を意味します。ROASが100%以下であれば、その広告キャンペーンにかけた広告費用は売り上げよりも高くなったということを意味しています。

ROAS(%) = (売上 ÷ 広告費) × 100

10. ROI(投資利益率):ROIは投資利益率の略称で、企業が広告などに対して投下したコスト(投資)に対して、得られる効果(利益)の割合を指します。費用が利益を上回る場合は、ROIはマイナスになります。

ROI(%) = (利益 ÷ 費用) × 100 ※利益=売上−費用



6、ソーシャルメディアに関する指標

次は、ソーシャルメディアに関する指標です。ソーシャルメディアのアカウントの管理画面やサードパーティが提供するソリューションを使って測定することができます。一般的な用語となっているため、5のエンゲージメント数だけを説明します。

1. リーチ数

2. クリック数

3. いいね!数

4. シェア数

5. エンゲージメント数/エンゲージメント率:いいね!やクリックなど、ソーシャルメディア上でユーザーが反応した(「アクション」)数を総じて「エンゲージメント数」と言います。エンゲージメント率は、リーチ数のうち、何らかしらのアクションに繋がった数が占める割合です。

エンゲージメント率(%) = (投稿へのアクションした人数 ÷ 投稿時点でのリーチ数) × 100

6. フォロワー数

7. 総再生時間

8. 表示回数

9. 平均試聴時間

10. チャンネル登録数


7、ビジネスに関する指標

ビジネスに関する指標では、P/Lに記載される要素がよく出る指標として挙げられます。

1. 売上高

2. 売上原価

3. 広告収入:オウンドメディアに広告を掲載して得た収入です。

4. 変動費

5. 固定費

6. 販売管理費:人件費や広告費用、家賃など、販売に必要な経費のことで、販管費とも言います。

7. 売上総利益(粗利):一般的には、売上から変動費を差し引いた額を言います。「粗利」とも言います。

8. 利益(営業利益):売上総利益から販管費を差し引いた額のことです。ここに営業外収支が加わり、経常利益となります。


以上が、第2回の内容でした。計算式は実際の事例をもとに、このに書いてあるものを参考に実際に自分で計算してみるとより身につくかな、と思います。また、この本の他に、「改訂版 ウェブ解析士認定試験2020問題集 ~改訂版 公式テキスト2020(第11版)対応~」というのがあるのでそちらを買って、実際に問題を解いてみるのが一番良いかもしれません!

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Fin

参考文献:【改訂版】Web解析士認定公式テキスト2020

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