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私の左指にある指輪

そろそろクリスマスのシーズンか、テレビを見ていると某有名ブランドのアクセサリープレゼントのCMが流れる。

私も昔は、付き合っている彼氏(がいれば)から、クリスマスにそのブランドのものをプレゼントされて、うっとりするのが夢だった。

現実は厳しくて、彼氏ができにくく、恋愛にはとても奥手で、せっかく結婚間際まで話が進んだ男性もいた。しかし、「君とは付き合えない」と様々な理由を突きつけられて、婚約破棄になって、高熱を出した経験はある。

今、私の左指には3つ指輪がある。ひとつは本当の結婚指輪。あとは、出産で指が太くなったからと主人が数年後買ってくれたチタンの指輪。そして、カトリック信者になってから、仲良くしていたシスターが在籍する修道会のお店で購入した「指ロザリオ」である。

今の主人と結婚が決まり、結婚指輪を買いにいったけれど、婚約指輪で素敵な指輪を贈ってもらったし、結婚生活は質素にしたいと考えていた。「ペンさん、もう少しかわいいのでいいんやで」と言われたけれど、婚約指輪と同じブランドでも、一番安い指輪でいいと押し切った。

結婚してから、数ヶ月後に妊娠した。妊娠すると、指が浮腫みやすいと聞き、取れなくなる前に、結婚指輪を外した。

体重制限があったので、それほど指のサイズは変わらず、産後に元の指に戻すことはできた。ところが、その後産後の肥立が悪く、産後うつになり、しかも気分障害やホルモン異常を起こし、体重増加。

もともとの結婚指輪は、左小指にしかできなくなった。薬の影響で、太ったし、動けなくなる日が続いたので、太るのもしかたない。神経衰弱で痩せていくよりは、マシだとあきらめた。

でも、左薬指に主人とのお揃いの指輪がないって寂しい。精神的にもかなり弱っていたので、数年後に、チタンの安い指輪だけれど、結婚指輪の代わりに主人がプレゼントしてくれた。この時期、金属アレルギーがひどい時期で、チタンなら大丈夫だろうと、主人が探してくれた。

この指輪をしている人は、たぶん少ないと思う。カトリック信者として洗礼を受けてから、シスターとお友達になり、所属している修道会が運営しているお店に遊びにいった時に購入した。

カトリック信者は、敬虔な信者さんになると、いつもどこでも祈る。シスターの話によると、電車に乗っていても、この指ロザリオを使って祈りを続ける。

アクセサリーにもなるけれど、ロザリオの祈りをいつでも手軽にできるのはいいなぁと購入した。

私のうろ覚えな話ではあるけれど、「左指は自分の大切な人と繋がる。特に薬指はとてもとても大切な人と繋がっている」と聞いた。

主人が最初に買った指輪のサイズが合わなくなって、しょんぼりしていた私の気持ちがなかなか理解できず、理解できてから「遅れてごめんね」と買ってくれた。

指ロザリオは、「祈る」ことで神様と繋がりが深くなるとして、薬指にサイズを合わせた。

指輪ひとつで、いろんな人が「そんなに拘らなくても」と思うかもしれないけれど、何か誰かともつ物はひとつあると、何かの魔法にかかったように、嬉しくなったり、元気になるものだ。

今の生活はというと、病気を発症してから、徐々にいろんな世界が見えて、病気発症時より、「自分」をコントロールできるようになった。指輪を見るたびに、あの時、その時、様々な思い出が蘇る。

指輪は、本当に「記憶をためていく、誰かと繋がる」魔法の道具だ。


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