繰延税金資産(負債)とは?具体例で税効果会計を分かりやすく理解!

 中小企業診断士の「財務・会計」でちょくちょく出てくる繰延税金資産(負債)ですが、どういう時に資産になり、どういう時に負債になるか分かりにくいですよね。今回は僕がどう理解し覚えたかを共有できたらと思います!

繰延税金資産の基本的な考え方

 繰延税金資産は、基本的に「払うべき税金の額よりも多めに払った分、未来の税金が減るのでこれを資産として考える」というイメージです。逆に、繰延税金負債は「払うべき税金よりも少なめに払った分、未来の税金が増えるのでこれを負債として考える」というイメージです!

具体的にどんな時に繰延税金資産が発生するのか?

 よくある例としては、「減価償却費の期間を間違えてしまった」ことから繰延税金資産が生じることが挙げられます。以下、例題で詳しく説明させていただきます!

例題

X社はある有形固定資産を600万円で購入しました。X社の会計担当はこれを償却期間2年、残存価額0で計算して減価償却したが、税法上償却期間が3年であったため繰延税金資産(負債)が発生した。発生したのは繰延税金資産か?それとも繰延税金負債か?また、発生した額はいくらか?法人税は30%とする。

例題の解説

①会計上は600万円÷2年で300万円を減価償却費として計上している。この金額を費用として計算し、払う税金の額を計算する。

②実際は600万円÷3年で200万円が減価償却費として計算され、その金額から算出された税金を請求され納めている。

③減価償却費として計上された分は利益から控除され、その控除された利益から税金は算出される。よって、「会計上支払ったつもりでいる税金<実際に払った税金」となっています。この、「実際に払った税金-会計上支払ったつもりでいる税金」が「会計上、将来払わなくて良い税金」となり、繰延税金資産として計上されます。

④具体的な金額としては、100万円分が費用として計上されなかったことになるので100×0.3=30万円分会計上よりも多く税金を払っている。よって、「繰延税金資産:30万円」が答えとなります。

(※注意!よくある間違えは、③で「会計上払ったつもりでいる金額」=「実際に払った税金」とし、「実際に払わなければならなかった税金」>「実際に払った税金」と考えてしまうことです。こう考えると、「実際に払わなければならなかった税金」-「実際に払った税金」=「将来追加で払わなければならない税金」となり、繰延税金負債となってしまいます。こうならないための考え方としては、「国が計算する税金が必ず正しい」、つまり「実際に引かれる税金が正しい税金」であることを頭に入れておけば大丈夫です!)

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