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パンケーキはおいしい。

マックでパンケーキを食べる。大好きなドリフターズや嵐を聞きながら、黙々と食べる。

それだけで私は幸せで、こんなに好きに動けていることを考えると、やっぱり別れてよかったんだなぁと思う。

自分がなくて、周りに合わせて、周りが正解だとして生きてきた。元恋人のパワーはとても大きくて、自分を投げ捨てて生きていたんだなぁと思う。

よく一緒にマックに行った。私はそれほど行くタイプではなかったけど、特段嫌いってこともなく、彼が運転する横でほかほかのマックの袋を抱えているのは好きだった。

たまたまパンケーキを頼んだ。小さい頃、ハンバーガーの濃い味が食べられなかった私は、ナゲットとパンケーキがお決まりだった。

一個ちょうだい、とパンケーキを食べた彼は、即座に「まずい!」と言った。

私はこのとき、私を否定された気がした。これはまずい食べ物なんだ。私の味覚は間違ってるんだ。パンケーキは食べちゃいけないんだ。

それから彼の前でパンケーキを頼むことは一度もなかった。

でも今食べてもパンケーキはおいしいし、私は好き。野菜を欲する歳になったから、サイドサラダをつけて。ハンバーガーの濃い味は、今でも少し苦手だから。

わからない人には本当にわからないことだと思う。食の好みなんて人それぞれで当然だし。でもその当然が、私には通用しない。

好きな食べ物も、好きな音楽も、好きな服も、好きな場所も、我慢して生きていたその時間は、初めて感じるあたたかさと引き換えのように、大事なものが奪われていた。

次に共に生きられる人と出会えたら、私は私の好きなものを大事にしたい。一緒にマックに行っても、パンケーキを美味しく食べたい。それだけは、強く思う。

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