ゆっくり生きたいのに

ゆっくり生きたい

というのは、迷惑な願望なのだろうか？

今日は朝からパン屋さんに行った。焼きたてが並ぶ開店直後のお店のなかは、ほかほかといい匂い。

「1個だけ買う」と決めて入ったので、今の気分に沿ったものを吟味する。

サンドウィッチもメロンパンもピザトーストもクリームパンも迷ったけれど、はじめに目に入ってきたチョコチップがたっぷり入ったスコーンに決めた。

店員さんがてきぱきとレジの対応をしてくれる。

でもそのてきぱきさが、苦手だなぁと思った。

笑顔はなくて、声のトーンもきつくて、とにかく早く行動するようにセッティングされているみたいだった。

お店を出て家に向かって歩きながら、ゆっくり生きたいというのは迷惑な願いなのかなぁと思う。

てきぱきしてなくていいから、そんなに急いでないから、1つずつゆっくり対応してほしい。

私はお金の計算が苦手で、今日みたいに現金で支払うとき、うまく小銭を数えられなくて少し時間がかかってしまう。さらには言葉の処理が少し遅いタイプで、咄嗟に言われた何かを理解できず、フリーズしてしまうことが時々ある。

そんなときに、みんながてきぱきとした空気の場所だと、「流れを止めてしまった…！」と申し訳なくなる。

だけど、この世の中は、というか今私が生活している世界では、とにかくスピードが求められていて、今朝のパン屋の店員さんも正解の一人なんだろうなぁと思う。

笑顔がなくてもただ素早く処理できればそれでOK。忙しい世界の流れを止めないことが正解。そんな気がしてしまう。

仕事でもなんでも、とにかく早くできることが正解だといろんなところで言われてきた。とにかくやれ、と。間違えてもいいからやってみろ、と。

どうしてそんなに急がなきゃいけないんだろう。

「人の時間を奪っているから」と言われると、ごめんなさい、となるんだけれど。

そしたら私は、ずっとずーっと、急いで生きていかなきゃいけないのかなぁ。

それはなんだかつらい。

私はゆっくり生きていきたいのに。

あ、スコーンはめちゃくちゃおいしかったです。また買いにいこーっと。