谷崎潤一郎「細雪」読了・感想 ~やっぱさぁばか腹立つヤツについてさぁ愚痴るしかねぇだね~
谷崎潤一郎「細雪」を読み終わった。俺は家から大学まで電車で1時間くらいかけていくので、その時間を主に使って読み終わった。大体3、4ヶ月くらいかかったと思う。英単語辞典のような分厚いものを開いてずっと読んでいた。何となくスマホをいじっている周りとは違った文化人を気取ることで優越感に浸ることができた。爆サイとかであだ名付けられてないといいな。
(読んだことない人はあらすじなら色んなとこに転がってるし、何なら青空文庫で無料で読めるよ)
言わずと知れた名作「細雪」の感想を偉そうに綴るにあたって、大概のことは既に言い古されているであろう。
幸運なことに、俺は些細でくだらないことにばかり目が付く。感想を言い明かされた作品に、俺という新たな観点から突かれる感想で、文壇に新たな風を舞い込ませたろっか!?
「むかつくキャラ」は、その作品を映えさせる。名作「聲の形」でも、いじめは駄目だよねとか、人には優しくしないとねとか、そういう道徳的なことでなくて、もっぱら河合というキャラがうざいという話で盛り上がっている。愚人にとっては、作品の本質的な部分よりも、浅い層のうざキャラとか、そういったものの方が目につきやすいし語りやすい。皮肉な話だね。
やっぱり俺も愚かなる凡人(最低級のゴミ)の一人であり、やっぱむかつくキャラの話をしなくてはこの腹の虫がおさまらない。ちなみに全員超脇役です。
(この先ネタバレあり)
①陣場夫妻(上巻)
雪子の作中2度目の野村との見合いを受け持った。見合いの前に雪子の姉の幸子が流産してしまう。流産後も具合が悪いことを伝えていながらも、車ででこぼこ道を移動しまくったり何度も幸子を呼んで立ち上がらせたりで見合い中一切幸子に対する配慮が無く、幸子と夫の貞之助を苛立たせる。これとは別の理由で破談に終わるが、下巻にて後述の壬生婦人を介して、破談に終わったことに対して陣場夫人がキレていたことが明らかになる。
ばか腹立つわ。自分から仲人になったのにいざ縁談がなくなったらキレるなんて害悪以外の何者でもないだろ。
②沢崎𤋮(下巻)
雪子の作中3度目の見合い相手。確かいいとこの人で女遊びばっかしてて、雪子と会ったけど顔審査してすぐ帰った後に乱雑な断りを入れた。
腹立つっけね。でも雪子側も相手方の親が精神病だからっていう今の時代で考えてみりゃ完全コンプラアウトな理由で縁談断ってるからね。
③壬生夫人(中・下巻)
中巻にて、幸子が具合悪い時にわけわかんねえ東京のマダムを連れて押し掛ける。幸子は空気の読めなさにむかついてぞんざいな態度をとることで抵抗するも、それを察することなくしばらく居続ける。
下巻にて、雪子の作中4度目の橋寺との見合いを受け持つ。井谷という同じく仲人の女性と押せ押せ精神で乗り気でない相手を無理やり呼びつけて手柄を得ようとする。
だんだん橋寺が雪子と仲良くなって、橋寺が雪子へ電話をかけてデートに誘うも、雪子がコミュ症ぶっかまして黙ってしまう。橋寺がそれにむかついて破談となる。後に井谷の口から壬生夫人が橋寺よりもぶちぎれてたことが発覚する。
こいつが作中1番むかッ腹立ちます。基本的に作中登場してくる仲人に良い人はいない(仲人内では井谷くらいしか良い人いなかった)。
こいつ、「陣場夫人がキレてたよ」って幸子にチクる時に、
と言っときながら、この始末ですわ。
このシーンを電車内で読んでいたんだけど、マジで落ち込んじゃった。現実の世界とごっちゃになっちゃって、何となく人間が嫌いになった。(この作品自体すげーリアリティが追求されてるから、現実性めちゃ高いよ!)
幸子はキレていいと思う。俺だったらガチでこの話で縁切りですわ。もし自分だったらどうしてやろうとか、空想しちゃうね。いったん嫌になった人とは徹底的に距離を置きたいタイプなので。だもんで俺、小学校と中学校の同級生の連絡先一人も知りません。全員死ね!
こいつを一言で表すならば、縁談成立の手柄が欲しくてごり押し作戦仕掛けるも失敗でキレる大失礼ぶっかましマダムですわ。
陣場夫人と壬生夫人が徒党組んで悪口言ってるんじゃないかと思うともっとむかつけるのでおすすめ!
他にもむかつくキャラいっぱいいるんだけどね。辰雄とか、辰雄の姉の菅野とか、板倉の母親とか、板倉受け持ったやぶ医者とか。奥畑はあそこまでいくとギリ可哀想なんだよな。ムカつきより同情が勝っちゃう。
でも、全体通してめちゃくちゃ面白かったのでおすすめです。ばかくそ長いけど。多分上中下巻通して60万字くらいあるとおもう。
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