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〈ぴよぴ世〉

じつは…

「あの世」と「この世」の間には「ぴよぴ世」という楽園がある。


桃源郷、竜宮城とも呼ばれ昔話に描かれているが、訪れた人は「この楽園のことは決して他言しない」と約束をしてこの世に帰るので他に情報はない。

その昔は誰もが気軽に訪れ、心身を癒した場所。お金もいらない、自分が何者で在るかの証明もいらない。ぴよぴ世では願うことはなんでも叶い、誰がどんなでも咎められない。

重い病に苦しんでいてもここへくれば痛みもスッと引き、心が暗く落ち込んで苦しみ死んでしまいたい時もここでは一切の重荷を下ろすことができる。

ただ在るだけで歓迎され喜ばれ、誰かが心底で望むことを皆で手伝う。

最もサイコーなのは立ち直らなくても良いことだ。

治らなくていい。直らなくていい。もちろん、できないままでいい。どんなでもいい。それでも誰も困らないなら、なんだったら愉快になったら、なんだったらなんだったらひらめきが冴えるなら、いったい私たちはどうなると思う?

「おはよう!好い1日を!
あなたがただ安らぐこと以上に素敵なことはないからね!」
ぴよぴ世で人々がよく口にする言葉。

ぴよぴ世にくれば、
癒され元気が湧き、好奇心と冒険心がむくむくと起き上がってくる。すると不思議に「この世」へ戻り冒険の続きをしたくなる。(別にずっとぴよぴ世にいても好いのだが、みないそいそとこの世へ戻っていく。)

しかし、この先にいつか起こるかもしれない略奪を恐れた何者かがぴよぴ世の門を閉ざし現在に至るー

わたしは、この忘れられた「ぴよぴ世」をこの世につくりたいのだと思う。

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〈人気のお土産〉
ぴよぴ世では思い込みの解除やレッテル剥がしが人気の娯楽になっている。この世から来る人たちがぴよぴ世へ持ってくるお土産の中でも人気が高いのが偏見や思い込み。「見かけない顔だね!ぴよぴ世へはいつ来たの?で、例のお土産まだもってる?」。もっているなら、一緒にぴよぴ世ツアーに出かけるのだ。「えええっ!どういうこと?」「えっ!ほんとうに?信じられない!夢みたいだっ!」と、ぴよぴ世の現実に触れ、それが自分にも起きることを知ってこの世から来た人々の顔が、ぱぁっと明るくなるのを見るのがぴよぴ世の人たちは大好物。

ぴよぴ世では起こり得ない、この世の話も大人気。

(「この世」と「あの世」の間には「ぴよぴ世」がある)

描く行為が好物、つくることが快楽。境界線なくイラストを提供したくなる病。難しいお話をやさしく描くのも得意。生きることすべてを描きデザインする。旅をして出会って描きたいつくりたい。だからサポートは大歓迎です。 ( ・◇・)ノ