pelicannodance

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願えば願うほど

 案外願いというものは簡単に叶うものだ。なんなら人生なんてものはかなりちょろいものなのかも知れない。和弥は平日昼下がりの教室でうつらうつらと船を漕ぐ数人の級友を視界の両端に意識する。さらに相槌を求めて瞳をのぞき込むそぶりをした先生に応えるべく、わかりやすく頷いた。この数学の授業も今日までに4回あった小テストの結果は散々なもので、今この教室で起きている級友の人数よりも点数が低かった。このままでは赤点から逃れようがない。和弥は先生からの心証をよくするべく、せめて授業中は起きていた

    • センター分け論

      イマドキの大学生男子は基本的に2パターンに分類できる。マッシュヘアかセンター分けかである。大学生男子の髪型にこの2種類以外のものは存在せず、全員をこの2パターンに振り分けることが可能である。そしてセンター分けをさらに2パターンに細分化できる。「実利的なセンター分け」と「下心のセンター分け」である。 「実利的なセンター分け」とはその名の通り、実利面を追い求めた結果のセンター分けである。おじさんのセンター分けを想像してもらうのが一番早い。おじさんにセンター分けごときで個性を創出

      • 能を観たことがある

        日本人として生まれたからには、日本の文化や芸能はやはりある程度は踏襲しておきたいという思いがありつつも、なかなかそれを実行に移せるだけの勇気と時間とお金がない。そんな中でも、実は私はかつて歌舞伎と能を鑑賞したことがある。 歌舞伎を鑑賞したのは中学1年生のころだったと記憶している。が、私の物心は中学2年生のときにリセットされていて、それ以前とそれ以降ではっきりと記憶の境目が存在しているので、ほとんど思い出せない記憶になっている。 能を鑑賞したのは中学3年生の修学旅行のときだ

      願えば願うほど