見出し画像

児童書『たんたのたんけん』/感想

誕生日にたんたのもとに届いたのは、
送り主不明の「たんけんの ちず」。
たんたは、地図を辿って
探検に出かけることにする。
すると、ヒョウの子もついてきて・・・。

豊かな自然を満喫する、
のどかで楽しい2人の探検物語です。

読んであげるなら4・5才、
自分で読むなら小学校低学年向き。

探検の道中には、見所がいっぱい。
「きりんの まつ」、「うしの しっぽ川」、
「わにの石」、「みつばりのはら」、
「ライオンいわ」、そして「ジャングル」・・・。
その一つ一つに立ち寄るシーンに
ウキウキします。

「わにの石」で一休みする
たんたの様子をどうぞ。

 くさのなかに、あかちゃいろをした
わにそっくりの ひらべったい石が、
ながながと のびています。
 たんたは、わにの石に こしをおろすと、
ストローベリィ・キャンディを、
手のひらに のせてみました。
 ザラメが とけて、うすももいろに 
すきとおっています。

とってものどかなシーン。
たんたたちとご一緒したい気持ちになります。

たんたに負けず劣らず、
ヒョウの子「バリバリ・バリヒ」も可愛いです。
特に、ジャングルを抜けた先にある、
怪しげな「おばけ」の家での
まぬけっぷりは最高。

椅子の下にスリッパが
ひっくり返っているのを見たバリヒが一言。

「おや、ぎょうぎのわるい。」

開けっぱなしの胡椒の瓶を見て、

「おや、おばけは、こしょうの
 ふたを わすれている。」

壊れた棚を見て、

「おばけは、きっと、この たなに
 つかまって、てつぼうの
 れんしゅうをしたのさ。ばかだな。」

でも、お風呂場にあった
スポンジのネコやバスタオルを見つけると・・・

「このねこ、ぼくのと おなじ。」/
「このタオルもだ!」

あれ?あれ?
つまり、この「おばけ」の家って・・・・・・。
たんたとバリヒによる、「おばけ」の家の
探検の結末には大満足でした。

印象的なセリフや歌も、
この物語を楽しく彩っています。

舞い込んできた地図をポケットにしまい、
たんたは胸を張って言います。

「ぼくは ライオン山 たんけんたい、
 たんの・たんた たいちょう」

リズムが面白くて、
声に出して読みたくなります。
たんたは歌も歌います。

あしたは まえの日
きょうは まえのまえの日
いよいよ ぼくの たんじょう日

きのうは まえの日
きょうは ほんとの日
いよいよ ぼくの たんじょう日

これ、つむぐの誕生日が近づいたら
絶対一緒に歌いたい(笑)。
絵本や幼年文学を読んでいると、
「つむぐと、こんなこと
 いっしょにしてみたい!」
という発見があって、ワクワクしてきます。

本をきっかけに、楽しい思い出を
いっぱい作っていけたらいいな。

『たんたのたんけん』
中川李枝子さく、山脇百合子え
学研、1971年

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?