【雑感】ことばを贈った時のこと

私は小さなカフェをしておりまして、
小さいながらもメニューが今風なオシャレなものではないため
珍しいとご来店くださるお客様がおります。

たくさんのお客様の中でも
特に印象に残った方がおります。

ダブル抱っこ、それと、上の子の手を繋いでやってきたお母さんです。
ダブルで抱っことはどういうことかと言いますと、
後ろにおんぶ、前に抱っこという状態のことを指します。
双子ちゃんの親御さんでそれをすると伺ったことがあります。
抱っこひも、という両肩と腰で抱っこの負担を軽くしてくれるサポート育児用品があったとしても、首が座っているかあやしいほど小さな子は、生後3ヶ月の平均としても体重が一人5kgはあるかと思いました。
それを、2人。
上の子もいる。

お母さんの目は覇気がありません。
上の子のためだけに、車で当店までやって来て、双子ちゃんを一人ずつ降ろして抱っこひもも装着し、店でテイクアウトの品を買う。帰りも同じことをするのです。
それがどれほど大変なことか。

目の前のお母さんと私は違う時を過ごしていますので、決して全てを理解することはできません。
ですが想像することはできます。
私も、何度もその目をしたことがありました。
大変さは人それぞれで、理解できるものではないと知っていても、
目の前のお母さんが大変か、大変ではないかと聞かれたら、
大変だろうということは言えると思いました。

注文を、1つだけしか買わないことにお母さんは恐縮していました。
気にすることなど1つもないのに。

元気が出るように、お菓子をちょこっと入れておこうかとも考えましたが、
アレルギーがあったら困りますし、晩ごはん前に菓子類はあげたくない家庭かもしれません。
私にもできること、と考えて、お手紙を書きました。

後日、Instagramを通じて返信が届きました。

その時の驚きと嬉しさは、今でも忘れることができません。

ことばとことばの短いやりとり。
良かった。
お手紙を書いて良かった。
所詮、自己満足だと思っていました。
でも。
何か、匙一杯ほどでも、気が楽になればという私の気持ちは
お母さんに届いていたようでした。

言葉は人を傷つけもしますが、人を嬉しくさせることもできる。

初心にかえるためにも、
いつまでも覚えておきたい出来事でした。

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