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公認会計士試験を通じて身につけた勉強法について〜暗記編〜

アナキンです。

公認会計士論文式試験が終わって結果発表待ちの段階ですが、会計士試験の勉強を通じて身についた知見などをここに還元していこうかと思います。プロフェッショナルを目指す勉強をしているので、かなりマニアックかつテクニカルな内容も出していこうかなって思っているのですが、その前にもう少し一般的で会計士試験の勉強以外でも使えそうな汎用的なテクニックを公開した方が世の中のためになるかなと考えを改めました。

勉強法なるものは巷にたくさんありますので、ご自身の環境や使いやすいやり方でやるのが一番だと思いますので、私の勉強法はその中の1例として考えていただけるとよろしいかと思います。勉強法シリーズとして、数回noteで書いていくつもりです。

とりあえず、資格試験に限らず勉強する上で一番のハードルとなるであろう暗記について、私なりのやり方やコツなどを公開してみます。

過去にテクニカルな内容と暗記方法をミックスさせた記事もありますので、興味がある方はこちらも参照ください。

最近の近況などはこちらを参照してください。


1.暗記レベルの評価について

まず考えていきたいのは暗記レベルです。これはどういうものかと言うと学習すべき内容について、それぞれの論点をどのレベルまで暗記しなければいけないのかということです。具体的には①1言1句完全に暗唱できる丸暗記レベル、②キーワードやキーフレーズは完璧に覚えるレベル、③キーワードやキーフレーズを再現することはできないが自分の言葉で説明できるレベル、④自分で説明できないが文章の正誤判定はできるレベル、この4段階があります。①→②→③→④の順番で暗記のレベルは落ちていきます。当然ですが①の丸暗記は大変ですし、④の正誤判定レベルは労力が落ちます。

公認会計士試験の出題範囲はとても膨大なものになります。科目数も6科目をこなさなければならず、一番ボリュームが大きい財務会計のテキストなどは計算で約2000ページ、理論で約500ページとなります。このすべてを①の丸暗記レベルまでやり込むことは不可能であり現実的ではありません。しかし、だからといって全ての論点を④の正誤判定が出来るレベルで暗記していると、短答式試験には合格できたとしても論文式試験では戦えなくなってしまいます。

実際の試験勉強としては①の丸暗記レベルから④の正誤判定レベルのうち、全てを①レベルまで覚えたり、逆に全てを④レベルに留めるということはなく、①から④のレベルの間で上手く調整することとなります。


2.暗記レベルの分類

暗記レベルが①から④まであるというのはご理解いただけたと思いますが、ではどのようにして各論点の暗記レベルを①〜④で分類すればいいでしょうか?

これは各論点の重要度を応じて分類してくださいとしか言えません。そして、学習初期の段階ではどの論点が重要で、どこが重要ではないかという判断はできるわけがありません。そこは予備校の講師やテキストの記載や過去問や答練などを駆使して、どこが重要なのかを把握していくしかありません。

私の個人的な意見ですが、最近の公認会計士論文式試験で丸暗記レベルが求められる論点というのはそこまで多くはないかなと感じております。そして、暗記レベルも科目によってかなり偏りがあるように思います。財務会計は②のキーワードやキーフレーズの暗記が重要だと思いますし、管理会計は定義などは①レベルが必要で他は②〜③レベルが求められます。監査論が一番丸暗記ものが多いかなと感じますね。監査の目的などは完全に暗唱できなければいけませんし、監査基準の一般基準あたりや、各種リスクの定義、ここら辺は①レベルですかね。企業法は①レベルだと事業譲渡の定義ぐらいでしょうかね、各種の規範をできる限り②レベルにする。租税は③〜④レベル、経営は①〜④レベルまで種々雑多。という感じですかね。

ある論点を①レベルで覚えて、ある論点は③まででいい、などのご判断は予備校講師に質問するなり、ご友人に聞いてみるなり、自分で問題集やテキストや答練や過去問から判断するなり、工夫してその判断基準を明確にしてください。


3.暗記するための順番

ここまでに各論点をどこまでのレベルで暗記するのか分類できたとします。ではそれぞれの論点をどのように暗記していけばいいでしょうか?私の暗記法はここでも先ほどの暗記レベルに沿って暗記をしていきます。

どういうことかと言いますと、暗記レベルの低い方から④→③→②→①の順番で頭に入れていきます。最初は④の正誤判定をできるレベルを目指します。そこから徐々に暗記レベルを上げていって、③の自分の言葉で説明できるレベル、②専門用語やキーフレーズを用いて説明できるレベル、①暗唱丸暗記レベル、と段階を踏んでいきます。

ここでのポイントは、例えば監査論の監査の目的のような①丸暗記が求められる論点であっても、最初から丸暗記を目指しません。

「財務諸表の監査の目的は、経営者が作成した財務諸表が一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の経営成績、財政状態、及びキャッシュフローの状況を全ての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら集めた監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することにある。財務諸表の表示が適正である旨の監査人の意見は、財務諸表には、全体として重要な虚偽の表示がないということについて、合理的な保証を得たとの監査人の判断を含む。」

上記の文章は監査の目的ですが、最初からこれを暗記するのはとても辛いものがあります。この文章は長いですし、何より監査論での重要な論点が凝縮されている文章ですのでいきなり理解せず丸暗記することは無理です。ですので、最初は「監査人は財務諸表が適正に表示しているかどうかを意見として表明する」ぐらいのレベルで監査の目的を暗記します。当然講義やテキストを読む際には全文に目を通しますし、この文章に含まれている論点についても理解することは必要です。そして、問題演習や自主的な復習でテキストを読み返すときに、前回暗記した内容を徐々に肉付けしていきます。

例えば、監査論の学習が進んでいき、二重責任の原則の理解が進んでいけば、「財務諸表」という単語を「経営者が作成した財務諸表」というように、より正確な表現で暗記できるようになります。保証レベルの論点の理解が進めば、「合理的な保証を得たとの監査人の判断を含む」という一文も付け足していけます。理解が進むと暗記の精度や労力が格段に変わっていきます。ですので、理解が完全ではない学習の初期段階から丸暗記を目指すというのは、とても労力がかかる割りにリターンが少ないです。

このように暗記という作業でも段階と順番を踏んで暗記をしていくことが大事だと考えております。簡単で単純なところから徐々に暗記を積み上げていくことが精度の高い暗記と理解につながります。ですので、暗記をする順番というものを意識して勉強することが効果的かつ効率的な勉強になります。

それと、巷でよく論争になる、暗記が重要なのかvs理解が重要なのか、問題がありますが、私はこの論争が好きではありません。暗記も理解も両方大事だと考えているので、暗記のみ、又は理解のみ、という状態では片手落ちでとても危ない勉強法だと思います。

暗記するためには理解が必要ですし、理解するためには暗記が必要です。

今回の記事では暗記するために理解が必要になるという側面を説明しましたが、理解するために暗記が必要という側面も今後解説していきます。


では、勉強の暗記方法については解説してみました。

まだまだ暗記方法のテクニックはありますので、次回も引き続き暗記方法について解説します。ではまた。


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