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Valse Brillante Op.34-1聴き比べ

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一応上から順に聴くといいかと思います。 全てC=261.6263Hz、平均律のみストレッチはデフォルト、他はストレッチなし。 音源はGarritan CFX Concert Gr…
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ショパンのワルツ第2番として知られる、華麗なる円舞曲作品34の1曲目。1835年作曲と推定。ドイツ、テッヘンのトゥン=ホーヘンシュタイン嬢に献呈された。


例の如く打ち込みデータを平均律と不等分音律3種類で鳴らしたものをマガジン形式でまとめます。全てC=261.6263Hzで統一している他、平均律以外はストレッチを切ってあります。
また、一部プラルトリラーを補助音から始めています。コーダはこれで

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調律:キルンベルガー第1、ストレッチなし

曲紹介や概要はマガジン内の平均律版をご覧ください。

ここで紹介するのはキルンベルガー第1法(以降第1)で鳴らしたものです。
キルンベルガーの音律は現在だと第3法が知られていますが、ここで紹介する第1は、白鍵がハ長調純正律、それ以外の5度もスキスマのFis-Des以外純正という、理論上では最強の音律です。しかし純正律なので、D-Aの5度が狭くて聴くに堪え

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調律:ラモーのミーントーン H. Legros案、ストレッチなし

これまでの平均律とキルンベルガー第1とは毛色の異なる音律で鳴らしてみました。
ショパンは1831年に父の故郷フランスへと渡り、パリを生活拠点としますが、当時主流だった調律がミーントーンをベースとしたテンペラメント・オルディネールだったせいか、その流れをくむラモーの音律でもいける曲があります。
この曲だと主和音と属和音の5度As-E

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調律:ダランベールが著書内で「取り上げている」テンペラメント・オルディネールの桒形案(論文の記述に即して書くとややこしい……)、ストレッチなし
出典:「不等分か等分か――フランス18世紀音律の色彩、その曖昧さの魅力」桒形亜樹子 東京藝術大学音楽学部紀要 (35), 59-73, 2009、東京藝術大学音楽学部
https://ci.nii.ac.jp/naid/120005610545

先述の

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調律:ヴェルクマイスターIII(第1技法第3番)、ストレッチなし

聴き比べと言いつつポピュラーなウェルテンペラメントがないのはどうかと思い、(なぜかバッハに絡めて未だに信者の多い)ヴェルクマイスターIIIでも鳴らしてみました。とはいえ流石ヴェルクマイスター。純正5度の多い領域なので響きも割とすっきりしていて、曲中にH-Gesの狭い5度も使われていないのでかなり相性はいいです。
キルンベルガー第1

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調律:キルンベルガー第2、ストレッチなし

先述のキルンベルガー第1版で名前を出したので、キルンベルガー第2でも鳴らしてみました。

思った通り、この曲には相性抜群でした。より一般的にはこちらの方がいいかもしれません。キルンベルガー第2は、第1でD-Aにまとめていたシントニックコンマのウルフ(ヴォルフ)をD-A-Eに分散させたもので、違いはAの音だけです。よって変イ長調、変ニ長調のこの曲の主だった

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