発芽

わたしがパートナーシップに目覚めたきっかけ

 noteマガジン「パートナーシップを磨く」は、日本中の人々が、日ごろの体験に引き当てながら「パートナーシップ」について深められるフィールド。パートナーシップのあるコミュニケーションが日本中に広がり、イキイキと働く人が増え、しあわせに生きられる人を増やすことを目指しているコーチのHOSUです。

 連投87日目。

 「うっ・・・(沈黙)」と絶句した体験が始まりでした。

 自分のコミットメントに生きているのに、ある人のひと言で、「うっ・・・(沈黙)」と詰まって言葉が出なくなり、「パートナーシップが欠けると、こんなに人は動けなくなるんだ・・・」という体験でした。

 それは、昨年7月に「SDGsカードゲーム勉強会」に参加した時に、体験しました。

 2015年に国連にて「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、具体的な行動指針としてSDGs(持続可能な開発目標)が掲げられました。
 「SDGsってなんとなく知っているけど、よく知らないな」ということで、カードゲームで体験学習ができるなら面白そうだなと思って、ふらっと参加しました。

 参加者には、クリエイター、教師、飲食関係者、医療関係者など11人の個性あふれる人が参加していました。
 勉強会では、SDGsとは何か?ということを学び、中盤でゲームで体験しました。 そのカードゲームの中で、最初に持ち出した「うっ・・・」となったんです。

 が、その前に簡単にゲームの概要をお伝えすると・・・
◯ゲーム上の世界に生きる個人として参加する。
◯ゲーム上の世界の「経済」「環境」「社会」の状況は、ホワイトボードにバロメーターとして示されている。
◯一人ひとりに「個人のゴール」が与えられる。
◯各自に「プロジェクト」「お金」「時間」のカードが配られ、それらを使ってゴールの達成をめざす。
◯「プロジェクト」は、世界のバロメーターによって実行できるかどうかが決まる。(例:環境レベルが5以上必要、等)

 当然、「持続可能な開発目標」を体験するゲームなわけですから、わたしは「これは一人でやるゲームじゃなく、みんなで協力しながら進めていくものなんだろうな」と思っていました。そのため、他の人がどんなゴールを持っているのかをこっそり確認していました。

 しかし!

 ゲームスタートの号令がかかる前から、「もう始めていいんですか?」と、自分がゴールすることにまっしぐらな感じの場になり、「みんなで力をあわせて、世界をよくしつつ、ゴールをめざしましょう」「わたしのゴールは環境をよくすること(環境ポイント10ポイント集める)です」とコミットメントを宣言することもできず、他の参加者の動きに戸惑いながら、自分も個人で動いてみました。

 わたしは環境をよくするプロジェクトがミッションで、時間とお金を使ってプロジェクトを実行しても、お金も時間も返ってこないので、どうやっても一人では自分のゴールにたどり着くことができない。一方で、「お金」や「時間」を一定量集めるゴールの人は、前半で早々にゴールして終わっていました。

 中間で休憩時に、ファシリテターから「経済レベルは上がりましたが、社会と環境のレベルが下がっています。さて、皆さんは、こんな世界を次世代に残していくのでしょうか」と投げかけられたところ、後半は空気が一変!

 まずは世界のバロメーターをよくしていくために、誰がどんなミッション(ゴール)を持っていて、誰がどんなプロジェクトカードを持っているかを共有し始め、どれを実行すれば世界をよくしつつ、個人のゴールが実現できるのか?を自然と話し合い始め、誰かのプロジェクトを他の人が支援するという場になったんです!

 そうすると、すでにゴールしていた人たちも、「僕はお金が余っているので投資しますよ」「わたしは時間が余っているので差し上げます」と、申し出てきてくれるではありませんか!

 ところが、そんな折に、絶句する事態が突然訪れました。

Aさん:何が必要なんですか?
わたし:お金がなくて困っています。
Aさん:いくら必要なんですか?
わたし:500Gです。
Aさん:じゃ、500G投資してもいいですけど、どんな見返りをくれますか?
わたし:(うっ・・・沈黙)

その沈黙でわたしにあったことは
・「え?あんたゴールしてんねねんからもうええやん」
・「これ以上なんかよこせって強欲やな」
・「実行しても見返りでお金も返せないし、何も返せない…」
でした。本当に、絶句ってこういうことを言うんだっていうくらい、ノドが締め付けられて、何も言えない自分がそこにいました。

 でも、現実世界はそうなっていますよね。
 投資家は、見返りを要求してくる。 それが資本主義社会では当たり前。

 で、ゲーム終了後に思ったんです。

 「わたしは環境を良くすることがミッションです。あなたやあなたの子孫が安心して暮らせる地球を作ります。それが、あなたへの見返りです」

 これが言えれば良かったんだって。

 自分のコミットに生きて、それが創り出す価値や未来の可能を、いつも感じながら生きていたら、あの時、「うっ・・・」と詰まるのではなく、「創り出した環境が見返りです」ってキッパリ言えていただろうな。

 もっと言うと、ゲーム開始時点で「わたしは環境を良くすることがミッションです」とみんなにコミットメントを宣言できていたら、わたしのことをわかったうえで、見返りを要求せずに応援してくれる協力者を現せたかもしれません。

 パートナーシップの始まりは、「自分を言う」だけど、それをしなかった自分がいた。
 相手の反応に左右されて、言えなかった自分がいた。 (あぁみんなゲーム始めちゃった…しかたないか、様子見よう…)

 だから、コミットメントを宣言することって、パートナーシップの創作の第一ステップである「自分を言う」そのもの。相手の反応を気にしてコミットメントを宣言できない自分がいるって、とてつもなく、自分自身、いや、コミットメントを小さく扱う行為だよなって思ったんです。

 自分は何者か。
 自分は何に関心があるか。
 自分は何を大切にしている自分か。
 自分は何を望んでいるか。

 「自分を言う」ことが、パートナーシップの源泉になるけれど、それが言えない相手や環境だと、人は自分の存在を自分でも大切にできている感覚を失い、何かをあきらめ、その後はその無力感にさいなまれ、ますます自分を表現しなくなり、人とのつながりを感じられず、孤独感がつきまとい、延いては生きがいを失う・・・。
 そんな風に、力や生きがいを削がれながら生きざるを得ない人を減らしたい。そういう人が生まれてしまう環境を改善したい。
 そんな一心で、このnoteも投稿を続けています。

 パートナーシップは、人がより良く生きていく上で欠かせないものだけど、その創り方を知らない人が多すぎる。
 まだまだ、パートナーシップが日本中に浸透するには道半ばだし、達成できるかどうかはわからないけれど、パートナーシップを感じる瞬間が、より多くの人に増えることを、本当に心から願っています。

記事に価値があると認めてもらえることは、何より嬉しいですし、とても力づけられます。いただいたサポートはパートナーシップの価値が大きくなる使い方につなげます。