やっすいアイスが食べたい!
2024.04.28
ペギンの日記#28
「やっすいアイスが食べたい!」
一般に売られているアイスには、明確なヒエラルキーがある。
主に乳固形分の割合で4段階で区分される。上から順に
アイスクリーム
アイスミルク
ラクトアイス
氷菓
である。要するに「どれだけ濃いアイスか」という基準で4つに分けられ、アイスの裏面に表記されているのだ。
例えばハーゲンダッツは「アイスクリーム」に当たり、対してガリガリ君は「氷菓」に当たる。基本的にカースト上位のアイスの方が美味しいアイスとされ、値段も高い。
という基礎知識を踏まえた上で今回、私は”ラクトアイス”と”氷菓”が好きだという話をしたい。
小さい頃から安いアイスしか食べてこなかった。
夏の暑い日に親と一緒にスーパーに入り、アイスをねだる。大抵「予算1000円以内で家族全員の分を買ってきなさい」と言われるので、買い物が後半に差し掛かったあたりで、かごを持ってアイス売り場に行く。それぞれのアイスについた値札と家族みんなの顔を頭の中に並べ、アイスの組み合わせの最適解を探る。この「1000円以内で皆の分」と言われた時点で、私の目には200円を超えるような”アイスクリーム”や”アイスミルク”は入っていない。だから結局、ひとりひとりに150円分くらいの単品アイスを買い、あまりは箱アイスやピノ、アイスの実で埋める、という買い方になる。
私の夏は、常に安いアイスと共にあった。
そんなこんなで成長した私。中学2年のときに人生で初めてハーゲンダッツのバニラ味を食べるという経験をする。しかし悲しきかな、私にはハーゲンダッツと爽の違いを感じ取ることはできなかった。そのとき既に私の舌は、安価なアイスによって洗脳されていた。
その体験があってからというもの、私は高価なアイスを毛嫌いしてきた。大して差が無いのなら、安いアイスをたくさん食べていたい。それに、高級アイスを食べるときに妙に気を遣うのも嫌だ。椅子に座ってかしこまって食べるアイスより、くだらないテレビを見ながらソファーに寝転がって食べるアイスの方が何倍も楽しい。
今日はチリチリと鋭い日の光が降り注ぐ日で、気温こそ高くないものの、身体はどんよりと暑かった。最寄りのコンビニに行き、一目惚れしたラムネアイスを買う。
もちろんこれもラクトアイス。
自分の分だけ買ってしまったという背徳感とともにフローズンラムネを抱え、人目がなければスキップでもしようかという気分で家に帰る。
台所の引き出しからスプーンを出し、アイスの蓋を開け、テレビをつけ、ソファーにダイブする。
テレビを見ながら、思いっきりアイスを頬張る。ラムネの甘酸っぱさとアイスの爽快感が、一瞬で口に広がる。
やっぱりこれじゃないとね〜。
まだ本格的な夏じゃないし、フローズンラムネの正確な味は覚えていないし、それを食べながらテレビで何を食べていたのかも覚えていない。ただ残っているのはダラダラとアイスを食べたという記憶。全部今日のことなのに…。
今シーズンのアイスデビューがこんなんでいいのか!?とも思うが、たぶん、きっと私のアイスはこれで正解だ。
アイスを食べれて幸せな日曜日だったという感覚が、しっかりと私の中に残っているのだから。
これからも、やっすいアイスを食べていく。
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