言語化能力が重要な理由①

エンタメを作る会社に新卒で入り、まず最初に驚いたのは、「自分の言語化能力の低さ」だった。

大学までは正直「自分は言語化能力が高い方の人間だ」と無意識で驕りがあったと思う。
だがそれは今思うと、「ままごとレベルの言語化」であった。就職先で求められているのは「シェフレベルの言語化」だったのだ。

それから数年の勤務を経て、エンタメ作品を複数人で作る際に最も重要なスキルは「言語化能力」であると確信した。

もちろんエンタメ以外においても言語化能力は重要視されて然るべきだが、エンタメにおける言語化は他よりも数段レベルが高いように感じられる。正直仕事を始めてから「言葉に出来ない」という事がなくなった。

では、何故「言語化能力」とやらが重要なのか。
その理由を「普遍的な理由」と「エンタメ的な理由」の2つに分け、今回は「普遍的な理由」の方に焦点を当てて書いてみたい。

◯普遍的な理由
一言で言うと...
「言葉に出来ないということは考えていないことと同義だから」

これは多くの人が聞き覚えあるフレーズかと思うが、半分合っていると思う。
何故かと言うと、「自分でも自分の思考なんてわからないから」だと自分は考えている。

言葉は人に何かを伝えるためにある。
その「人」の中に「自分自身」も含まれているという考え方だ。

「なんとなくホッとした」
「どういうわけか不安だ」
「なんかこの企画ダメだな」
などの漠然とした感情は「ブラックボックス内の思考」がもたらしている。
そのブラックボックスを開けるために言葉が必要になる。

つまりは「言葉に出来ないということは考えていないことと同義だから」というワードは厳密に訳すと「言葉に出来ないということは自分の思考を自身が把握する事ができてないこと」と自分は考えている。

そして「自分の思考を自身が把握する」という事が何よりも大切である。
その理由は大まかに下記の2点からだ。

・自分の考えを出力可能になる。
自分の思考を自身が把握できないと、当然ながら人に自分の思考を伝えられない。凄く良い思考ができても宝の持ち腐れになる。
逆に自分の思考を把握出来ていれば、人に伝えることも可能になる。

・自己分析が出来るようになる
自分自身が何を良いと思い、何を悪いと思うか、何が得意で何が不得意か、を詳細に把握することが出来ない場合、自分の取り扱い説明書がいつまでも出来上がらないので、自分のタイプがわからない。
逆に自身のタイプがわかれば、自分が活かせる場がわかってくる。
タイプ不明のポケモンで戦うなんて無謀だろう。自分が何タイプにこうかばつぐん、で何タイプにこうかはひまひとつなのか、言葉にしなければわからないのだ。

今回はざっくり普遍的な理由において「言語化能力の重要性」について書いたが、エンタメ的な理由はまたいつか言葉にしたい。
まだまだ言語化の効能はあるが、全てのベースは「思考のブラックボックスを開けること」だと自分は考えている。

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