【感想】魔法少女消耗戦線 another record -ちいさきものたちのゆめ-
ブランド: metalogiq 発売日:2022-06-24
シナリオ:丸谷秀人(まるちゃん) 原画:上田メタヲ
⚠️ここからネタバレあり⚠️
◾️ネタバレ感想
隠れた名作だと証明したファンディスク。
本編を好きになったらプレイ必須。
★はじめに
冒頭でいきなりですが、まずは感謝を。
FD作ってくれてありがとうございます!!
本編『魔法少女消耗戦線』は陵辱抜きゲーの要素を内包した正真正銘のシナリオゲー。
素晴らしいのは人類対エイリアンの戦争の最前線基地を舞台としたSF設定と、尊厳を蹂躙され「消費される少女」という凌辱設定。
この2つの設定が完璧に合致し、物語としてどちらの要素も一切妥協無し。
更には相互関係が不可欠だった事でしょう。
本編プレイ中はまるで世紀の大発見をしたかのような高揚感を伴って、物語ラストまで駆け抜けました。
これこそまさに埋もれた名作。
強烈に惹きつけられ、今では推し作品となりました。
そのFDである本作は、期待通りに見たかったものを余すことなく提供してくれました。
絶対勝利の設定を踏襲した本編の補完、変わらない「可哀そう=エロ」のテーマ通りに尊厳が蹂躙される絶望的展開はお見事。
更にはFDらしい戯れのエピソードを入れ込みつつ、新たな驚きも与えてくれる。
本編の価値を高め、より尖った作品としてくれた英断に賞賛を贈りたい。
さて、この感想記事は批評空間に投稿した感想に加筆修正をしたショート感想になります。
どうぞお付き合いください。
本編の感想も貼っておきます。
★アリシャ・オラオンは死んだ
いくつかの短編の中でも飛びぬけて満足度が高いエピソードでした。
短いながらも“魔法少女消耗戦線らしさ“のような、極上のエロスを伴った尊厳の破壊、悲壮感、刹那的な儚さがしっかり描かれていました。
本編では断片的な情報のみだったみのり達以外の魔法少女。彼女達が男達に蹂躙されている描写は文章で軽く留め置く程度だったので、何が起きていたのか気になってたんですよね。
このエピソードの主役であるアリシャとキバキ。
本編では名前のみで立ち絵すらなかったからこそ、プレイヤーとしては興味津々。
本エピソードを読み終えれば、本編との印象が180°変わったキャラクターとなりました。
カテドラルの異常性を別視点で色濃く伝えていたと思います。
てっきり快楽に堕ち切った救えない魔法少女と思っていたのに、実際には全く違ったのが驚きでした。
必死に耐え忍んでいる姿や、絶望しながらも希望を信じている姿は輝いて見えましたし、その輝きが潰えていく哀しさは、なんともやるせないものでした。
男たちに蹂躙され身体は快楽に浸るも、心は屈しない意志の強さ。
過去の悲惨な経験含め、感情移入するには十分でした。
2人の関係性は一見希薄に見えるようで、精神の繋がりは強力。
ここにドラマが生まれるわけです。
これは分かり手の采配。素晴らしい。
心が折れてしまうような絶望のなか、僅かな心のオアシスとして二人の結びつきは一緒にタバコを吸う事。これがなんとも叙情的。
甘い煙の香りと、紫の環が天井に登り静かに消えていく描写。
どうやら月に2回ほどしかない時間だそうで、なおかつ会話を交わすのはタバコを1本を吸う時間だけ。
この刹那に2人の今まで生きてきた理由の吐露と交わされた約束。
感傷的とか哀愁という言葉では表せない情念のようなものがあり、演出自体が抜群に2人の心情を表していたと感じました。
死者となったアリシャは最後にキバキとの約束を果たすわけですが、イベントCGの力もありかなり強烈に印象に残るシーンとなりました。
あぁ、救われませんよ、こんなの。
この一抹の切なさや悲壮感こそ味わい深いもので、まさに魔法少女消耗戦線らしさなんでしょうね。
★イリューシャの過去
どうやら思ってた以上に可哀そうな状況でした…。
アイドル時代に枕営業していたことは本編で触れられていましたが、まさかここまで酷かったとは‥‥。
芯が通った強い意志の少女が、抗いようもなく状況に押しつぶされ蹂躙されていく。
そこには尊厳などはなく、ただ真っ黒な欲望の捌け口とされ堕とされる姿はあまりに可哀そうで‥‥。
可哀そう過ぎて心でガッツポーズして泣きました。
お気に入りヒロインのイリューシャが酷い目にあってズタズタにされる。
これ以上に歓喜する事がありますか?
いや、ない!!
哀しい事ですけど、間違いなくイリューシャの魅力を底上げしてくれたエピソードでした。
過去の知ったうえで本編のイリューシャを思うと泣けてきますね。
深彫りによりキャラ造形を更に際立たせて描いたことで、イリューシャの背負ってきたものがプレイヤーの心を抉る。
最後までエピソードを見届ければ、拳を天に掲げ歓喜するのも仕方ないんです。
だからこそ、歪んだ自分にドン引きして、別の意味で泣きました‥‥。
この状況から本編に続き、カテドラルの日々が待っているわけですからね。
★キルケと残雪の過去
本編プレイして一番気になっていた残雪脱走の真相と、キルケが愛憎から暴走して黒幕となる理由が描かれました。
過去語りエピソードなので、本編の「消費される少女」の完全な搾取構造が完成する前ですが、抗いようなく身体を弄ばれる展開は期待通りの歪んだエロスを見せてくれました。
特にキルケは散々無惨‥‥。
弱い少女が強い男達に好き勝手にされるって絶望感が凄まじい。その後の暴走に繋がる展開は復讐の快感がありましたよね。
彼女の愛憎こそが、本編へ繋がる大きな伏線になっていたので、歪んだ愛の醜さの原点が見れて満足。
そしてこのエピソード最大の魅力は3人の英雄の中で残雪というヒロイン。
魅力パラメーターカンスト状態。
強い信念を持ち、真正面から立ち向かう姿のカッコ良さは憧れすら感じてしまいます。
その下地をしっかり見せたからこそ、快楽に堕ちる姿は悔しくて堪らなかった‥‥。
このエピソードは本編に過去編として差し込んでも良かった気もしますが、よくよく考えればサイドストーリーとして見せたからこそクローズアップ感があったのかもしれませんね。
やっぱりFDで良かったんだなという結論でした。
★ちいさきものたちのゆめ
グランドエンドと言われても納得できてしまう熱い展開のIFストーリーでした。
ただこれは個人的感想ですが、大団円のように見えて、結局は世界の搾取構造は維持されているように感じました。あくまでエンタメ物語の範囲内という印象です。
救いの無い完全シリアス路線が魅力だった本編とは異なり、時折コミカルが挟まれるのは若干の違和感も。個人的には、あくまでダークに徹底してほしかったのが本音です。
そうは言っても、ファンディスクに含まれる追加エピソードとしてはボリュームもあり、物語自体は面白かったので満足しています。
特にアリシャ・キバキの約束が絡むのは胸アツでした。
★やっぱり辛いえちシーンについて
本編同様に凌辱シーン中心で上田メタヲさんの原画が素晴らしいものでした。
ただ、肝心の内容に関しては攻撃力が若干下がっていた印象です。
シーン数はFDにして少なく尺も短め。願わくば、リゼットとキルケの情事を見せてほしかったですね。過去編の流れからするとあっても良かったじゃないかと少し寂しいのが正直なところです。
その分の補填ではないですが、イリューシャの過去の抗えない恥辱と、残雪の流されるままに快楽を受け入れる状況が見れたことは素直に嬉しかったですね。
本作の魅力そのものだったと思います。
◾️最後にまとめ
改めて設定が勝利していた名作だと結論づけます。
このFDに関しては本編が好きだった方は必須の作品でした。
終わってしまった事に寂しさを覚えつつ、振り返れば素晴らしいプレイ体験となりました。
最後に謝辞を。
推し作品との出会いをくれたmetalogiq皆様、本作に関わった全ての方に感謝を。
またこの感想にお付き合いくださったあなたにも最大限の感謝を。
ありがとうございました。
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