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【感想】魔法少女消耗戦線 DeadΩAegis

ブランド: metalogiq    発売日:2021-03-26
シナリオ:丸谷秀人 原画:上田メタヲ

⚠️ここからネタバレあり⚠️





◾️ネタバレ感想

これ考えた人、天才では?
この作品、凄いです。

★はじめに

何か素晴らしい出会いに恵まれた時、嬉しいという感情だったり高揚感が心を満たしてくれますよね。
この作品との出会いはまさにそうでした。

そもそものきっかけは何気なく見ていた批評空間で、気分だったダークで心抉る作品を探していた時。
ふと目に止まった「魔法少女」のタイトルに不思議天啓のようなものを感じたことでした。
うーん、タイトルは聞いたことあるけど‥‥と、気になって調べてみたらビジュアルも素晴らしく、シナリオも高評価。タイトルだけ見れば「魔法少女」とあるので、何となくファンタジー萌え作品だと思っていましたが、それはとんでもない勘違いだったわけで‥‥。
「消耗」が罠でしたね。

興味に導かれるまま、半信半疑ながら直感を信じてプレイを開始し、その不安は直ぐに払拭されます。

これは名作の予感‥‥?

衝撃でした。
設定があまりにも尖っていて勝利している。
とんでもない作品を見つけたとテンションは爆上がりで、そのままの勢いを保ったまま一気に最後まで駆け抜ける事に。
これこそ隠れた名作。
個人的に推し作品となりました。

さて、この感想記事は批評空間に投稿した感想を加筆修正したものになります。
コンパクトな感想ではありますが、ネタバレ含めて感じたことを語らせていただきます。
どうぞお付き合いください。


★プレイした印象は

結論を言えば期待を超えたダークホース作品でした。
もちろん完璧とは言いませんが、物語の壮大さと絶望的な展開に先が気になって仕方がなく、個人的にはかなり没入感が高かったと感じました。

本作は陵辱抜きゲーの要素を内包した正真正銘のシナリオゲー。
クリア後には予想していた斜め上の結末に衝撃を受け、強烈に心惹かれることとなりました。

人類対エイリアンの戦争とその最前線基地を舞台としたSF的設定と、尊厳を蹂躙され「消費される少女」という凌辱設定。
これが完璧に合致しています。
しかも物語としてどちらの要素の一切妥協無しで、更には相互関係が不可欠だった事が称賛に値します。
これこそまさにR18だから実現出来た作品と言えるでしょう。

宇宙の前線基地という局地を舞台にした閉鎖的な世界観ながらも、物語の規模は壮大。
ダークな作風らしく、閉塞的な空気感に放たれた見目麗しい乙女たちの絶望的な惨状が、これでもかと徹底的に描かれてています。
上田メタヲさんの描く美麗なヒロインたちが陵辱されながらも、人類の未来の為に戦うってだけで既に切ないったらないですよね。

しかもメインヒロインのみのりは人類の未来のためと覚悟をしている。
好きな人への思いを断ち切ってでも、憧れた魔法少女という希望を信じているんです。
カテドラルでは陵辱で開発されていく身体に戸惑い、消費される運命に抗い立ち向かうものの、快楽に堕ちていく様は惨めで胸が苦しくなるほど。
ヒロインへの思い入れが強くなるほどプレイヤーの感情は乱され、心抉られながらもどんどん深みにハマっていく。

そこに生優しさなんて一切なく、徹底的に身体と心を追い詰められるヒロインの悲惨な姿は扇情的で、伴うエロスは極上。

この少女の葛藤や、希望のフラグが一つ一つ丁寧に折られていく展開こそ見どころで、ヒロイン同様にプレイヤーの心さえも蹂躙して虚無を味わえる素晴らしい体験となりました。
まさに自分が求めていた真っ黒な要素が網羅されていたので、これに高評価をつけるのは必然でした。



★「可哀そう=エロ」のテーマ

情け容赦なく徹底的に「消費」される少女たちの悲惨な姿が描かれていました。
そのなかで素晴らしいのは、組み上げられた完璧な搾取構造の設定と使い方。

戦闘では性的興奮を高め力を発揮し、帰還後は検査と称した蹂躙で躰は開発されていく。また、能力強化の為に行われる徹底的な尊厳の破壊。無残にも消費(搾取)され尽していく少女。

人類の為に、憧れの背中に追いく為にカテドラルに来たみのりの覚悟を、尊厳の破壊をもって希望をへし折っていく展開は絶望すぎで可哀そうのレベルではありません。

また心を通わせた七虹とイリューシャの存在は救いでしたが、同じように消費される運命を思うと辛さがただ増すばかり。
この異常な状況は必然であると受け入れるしかなく、プレイヤーに理解させて精神を抉ってくる悲劇の構造はお見事。

また、SF設定と陵辱設定の関連性に破綻が無く合理的に使われている事こそ、本作が勝利している理由でした。

精神を抉る物語を期待した自分としては、この時点で既に勝利を確信しました。

だって序盤からほんとに辛かったんだもん…。

ヒロインたちがめちゃくちゃに可愛いからこそ、悲壮感や尊厳を蹂躙される姿が余計に苦しくも、その感情がだんだん歓喜に染まる自分自身にドン引き。
本作を楽しむ才能と属性持ちだった事にひたすらエロゲの神に感謝しました。アーメン。


★まさかの超展開

3つ目の選択肢後に物語は大きく分岐しますが、どちらのルートも超展開。TRUEルートがどちらだったかに関しては人によって意見が割れそうです。
(公式のTRUEルートがどちらかは知りません)

個人の意見を述べるなら、物語としてのTRUEは「天使ルート」で、精神的なTRUEは「月ルート」と言ったところでしょうか。
この2つの結末はそれぞれが対になっていて、両方クリアしてこそ意味を成すように感じられました。

望んでいた物語は間違い無く「天使ルート」の美しさなど微塵も無く墜ちたみのりが…という展開ですが、心に響いたのは「月ルート」で成長したみのりの「魔法少女はここにいる」という言葉でした。
ここからは2つのエンディングについて。


【天使ルート】
C.C.との戦いの終結、搾取構造(既得権益)の崩壊、相互理解を描ききっていました。
みのりの蹂躙が徹底的に描写された非情な展開で、イリューシャや七虹を喪い精神が崩れ落ちていく中、さらにはカテドラル内で起きたキルケの暴走。

物語序盤からクローズドであった舞台装置が「おおいなるもの」と「ちいさきもの」、世界の搾取構造の崩壊へ超展開していくのは凄すぎて呆気にとられました。

誰がこんな展開になると予想できます?

物語の帰結は人類の相互理解のような人間賛美にて締められるのも素晴らしい流れであったと思います。
そして本作がシナリオゲーであったことの証明ともなりました。


【月ルート】
みのりがカテドラルを外から見ることで世界の搾取構造を思い知り、光臣の元にいる事でその悪に加担している自分に迷いが生じながらも、最終的にはみのりの成長を描いた帰結は爽やかでした。

このルートで良かったことはみのり、七虹、イリューシャの3人が再び一緒になった希望を見れたこと。

これは尊みの極み‥‥。

ただその裏では先輩3人の命は潰えます。その犠牲(キルケに関しては当然)も含め、次へ続く台詞が光を放ちます。

特殊戦技兵はもういない。
そして魔法少女は、ここにいる。

この作品をプレイして唯一泣いたのはこのシーンとなりました。
このシーンを以て精神的に救われたのは月ルートであったという理由となりました。


★みのりと光臣について

2つのルートで明確に立ち位置が変わっていたのが光臣。
天使ルートでは蛇の一族(既得権益)から脱し、みのりと一緒になるという愛に殉じた事はある種の救いに思えました。
みのりは最期、光臣と心を通わせて愛することを喜びと出来た事でしょう。

「おおいなるもの」とか「ちいさきもの」というSF大設定も本筋には重要でしたが、どんな形であったとしても一緒になれた事実が重要です。
二人の子供であろう少女が残雪に会いに行き終幕したことは、救いでもあり儚くもある。

また、月ルートでは蛇の一族から脱することは出来ず、どこまでも搾取構造の一部としてみのりを手に入れようとする光臣。
ただ結果だけ見れば、みのりは世界を見る目線が上がり成長に繋がります。
光臣は過去のものとして、もう二度と会う事も無いでしょうね。

2つのエンディングが対としてあることには、この二人の関係性も非常に重要であったと思っています。


★精神を抉るえちシーンについて

えちシーンでまず言いたいのは、上田メタヲさんの原画が最高だったという事。
ビジュアルの魅力がシーンの全てであったと感じます。

あまりにも素晴らしすぎる‥‥。

尊厳の破壊と陵辱で快楽に墜ちた少女たち。
熟れた果実が朽ち果てていく様に美しさなどは微塵も無く、どこまでも醜悪なものと表現されていました。
それでもビジュアルはやはり美しいわけで。

内容としては尺は短め、内容濃いめ、精神的にはめちゃくちゃキツめ。
シーンのプレイ内容を見れば他にもっとハードな作品は幾らでもあるでしょう。
でも本作は絶妙に調度良いハードさなんですよね。しかもバリエも豊富。

SF設定でエイリアンのような未知の存在が出てきますから触手プレイはお約束。
因みに自分はその属性は持ち合わせていませんので、画面をほえーっと眺め黙祷‥‥かと思いきや、これもアリかもという芽生えも。
どうやら少し扉が開きかけたようです。(知らんがな)

人体実験や輪姦もめちゃくちゃ酷い事をされて、時には目を背けたくなるほど辛い惨状。それでも画面を刮目してしまう理由は、やはり絵が良いのですよ。ビジュアルの魅力があまりに強い。

では精神的にキツめとは何なのか。
序盤は主人公のみのりは検査と称した性的な虐待は受けるものの本番には至らない展開が続きます。
これがじわりじわりと効くわけです。

主人公がみのりというメインヒロインを兼ねてますので、キャラハンの執拗な性的虐待はNTRのような感覚で脳が拒否反応を起こしてきます。

しかもみのりは挫けそうになりながらも、心の奥底までは堕ちることは無い。その抗いがさらに拍車をかけ感情移入してしまいます。

物語の展開で躰は抗えず雌奴隷にされ、心をへし折られ、天使ルートで8月の大侵攻以降は男性士官たちによる、徹底した凌辱行為でさらに心は壊れていく。

「可哀そう=エロ」のテーマを邁進すればするほど、精神的負荷が指数関数的に上がっていきます。
まぁめっちゃえっちではありましたが・・・。
その為か光臣との和姦シーンがオアシスに感じます。

本作は凌辱抜きゲーの側面もあるので、その手を属性をお持ちの方には大変お勧めできます。


◾️最後にまとめ

クローズドな世界で完成されていた搾取構造。
それをひとつ高い視点から眺めてみれば、世界の全てそのものであったという物語の展開。
これを、みのりたち「魔法少女」を通して圧倒的な説得力をもって描かれました。

ライター丸谷秀人さんの本作での文章は、序盤はかなり硬質に感じましたが、徐々に角が取れ情感が色濃く乗った文章に変わっていった気がしています。

絵も素晴らしい。シナリオも素晴らしい。キャラも良い。
また丸谷秀人さん×上田メタヲのタッグ作品を期待してしまいますね。

素晴らしい作品との出会いをくれたmetalogiq皆様、本作に関わった全ての方に感謝を。
またこの感想にお付き合いくださったあなたにも最大限の感謝を。
ありがとうございました。

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